生命保険料控除制度が変わります!
12月に入り今年も残すところあと僅かとなりました。お給料をもらっている人は年末調整の時期となります。通常はいくらか還付がある場合が多いので、ちょっとしたお小遣いをもらうような感覚の方も多いと思います。
所得税の計算過程では、実際にもらった給与の金額(額面金額)からマイナスできるものがあり、これを「所得控除」といいます。この控除金額が多い程税額が少なくなり、お小遣い(還付額)が多くなるという訳です。
この所得控除のひとつである「生命保険料控除」は、支払保険料に応じた控除ができる制度ですが、税制改正により来年からその取扱いが変わることとなりました。納税者にとって有利不利どちらの改正があったのか? 以下、順に説明していきます。
2区分で10万円から、3区分12万円へ拡大された控除限度額
改正の内容は大きく分けて3つです。
1.控除項目の新設
2.控除項目ごとの控除額の変更
3.制度全体の控除限度額の変更
詳しく見ていきましょう。
控除項目の新設について、今までは「一般保険料」と「個人年金保険料」の2つの区分しかありませんでしたが、新たに「介護医療保険料控除」の区分が追加され3つになりました。これにより、控除できる保険の種類が増えることとなりましたが、個々の契約区分(一般、年金)ごとの控除額は縮小されています(図表参照)。
その結果、生命保険料控除制度全体での控除限度額が2区分で10万円から、3区分で12万円と拡大され、総額ではより多くの控除を受けられるようになりました。
@新制度:H24.1.1以降契約分(一般、年金、介護)
| 所得税 | 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|---|
| 20,000円以下 | 全額 | |
| 20,000円超 40,000円以下 | (年間支払保険料)×1/2+10,000円 | |
| 40,000円超 80,000円以下 | (年間支払保険料)×1/4+20,000円 | |
| 80,000円超 | 40,000円 |
| 住民税 | 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|---|
| 12,000円以下 | 全額 | |
| 12,000円超 32,000円以下 | (年間支払保険料)×1/2+6,000円 | |
| 32,000円超 56,000円以下 | (年間支払保険料)×1/4+14,000円 | |
| 56,000円超 | 28,000円 |
A旧制度:H23.12.31以前契約分(一般、年金)
| 所得税 | 住民税 | ||
|---|---|---|---|
| 所得税 | 年間支払保険料 | 控除額 | |
| 25,000円以下 | 全額 | ||
| 25,000円超 50,000円以下 | (年間支払保険料)×1/2+12,500円 | ||
| 50,000円超 100,000円以下 | (年間支払保険料)×1/4+25,000円 | ||
| 100,000円超 | 50,000円 | ||
| 住民税 | 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|---|
| 15,000円以下 | 全額 | |
| 15,000円超 40,000円以下 | (年間支払保険料)×1/2+7,500円 | |
| 40,000円超 70,000円以下 | (年間支払保険料)×1/4+17,500円 | |
| 70,000円超 | 35,000円 |
実際の影響は?
これらの改正の適用時期は2012年1月1日からとなり、実際に税額の影響を受けるのは、所得税はH24年分から、住民税はH25年分からとなります。
いくつかのケースで考えてみましょう。
旧制度からの契約は、来年以降もこれまで通りの控除限度額5万円(所得税)です。一方、来年以降からの契約は新制度の適用となり、控除限度額が4万円(所得税)となります。つまり、契約のタイミングにより、最大で1万円控除額が減少することとなります。
ここで旧制度からの契約であれば、新制度は無関係か?と言うとそうではありません。特に更新が必要な定期保険について、その更新がH24年1月1日以降であれば、その更新時から新制度の適用となってしまいます。また、特約を付加した場合なども同様で、契約内容に変更があると控除額が減額となります。
次に旧制度での契約に加え、H24年1月1日以降で新規契約した場合です。これは旧制度分の控除額によって取り扱いの違いがあるので、さらに2つのケースに分かれます。
一つ目は、旧制度からの契約分の控除額が4万円以下の場合です。この場合、翌年以降の控除額は新規に契約した保険とあわせて判定を行いますので、旧制度からのものと新規契約分をあわせて10万円以上保険料を支払うことになったとしても、控除額は5万円ではなく4万円となります。
二つ目は、旧制度からの契約分の控除額が4万円超の場合です。この場合は新規契約分を考慮しない方が結果として控除額が多くなり、納税者に有利となります。
節税以上に、保険の見直し効果が大きくなるケースも
もちろん、節税という意味では控除額が多いに越したことはないのですが、税額では実際にどのくらいの差が出るのでしょうか。仮に適用される税率が10%の場合、最大で1,000円、20%の人では2,000円の税額増となります。ただ、税額が増えると言ってもこの程度なので、それほど神経質にならなくても良さそうです。むしろ保険の見直しによる保険料の負担軽減ができるなら、その金額との兼ね合いを考えるようにした方が、結果として手元からの取りこぼしが少なくなるかもしれません。

