確定申告 医療費控除の対象と還付金の計算方法

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確定申告 医療費控除の対象と還付金の計算方法

確定申告シーズン! 病気や出産などで多額の医療費を支払った人は、「医療費控除」によって税金の一部を取り戻せる可能性があります。
今回は医療費控除の対象となるもの・ならないものやいくら取り戻せるかを具体的にご紹介しましょう。

2018年1月17日掲載

このページの要点をまとめると・・・

医療費控除とは、自分や家族のために支払った医療費の一部を税金から控除する制度

その年の1月1日から12月31日の間に支払った医療費が対象になる

医療費控除は確定申告で申告する

治療のために必要とした費用が医療費控除の対象になり、差額ベッド代や美容整形などは控除対象にならない

以下、記事の詳細

確定申告の医療費控除とは

医療費控除とは、納税者が自分または自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費を、納税のときに控除してもらう仕組みです。
医療費控除の対象となる費用には、実際にかかった治療費以外にも、通院のための交通費、入院中の食事代などが含まれます。

医療費控除を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。

  • 納税者(控除を受ける人)が、自分または自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費であること
  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること
    ※年内に治療を受けていても支払いが翌年度になる場合は、その年の医療費控除の対象にならない
  • 医療費控除の額は、実際に支払った医療費等の合計額から(1)と(2)の金額を差し引いた額
    (1)生命保険などから支給される入院給付金、健康保険などから支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などの合計額
    (2)10万円
    ※その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合は、総所得金額等の5%の金額
  • 納税者が、生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費も合わせて、医療費控除の確定申告を行うこと
    ※「生計を一にする配偶者その他の親族」とは、共働き夫婦の配偶者、社会人として収入を得ている子供なども対象
    一般的に、家族の中で一番収入が多い(納税額も多い)人が親族の医療費を支払い、医療費控除を申告すると還付金が多く戻る
医療費控除の場合、生計を一にしていれば家族の所得金額の要件はありません

平成29年1月から、セルフメディケーション税制がスタート

平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、一定の取り組みを行っている人が、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のためにスイッチOTC医薬品を一定額以上購入した場合、所得控除を受けることができます。これをセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)といい、医療費控除と好きなほうを選択できます(併用はできません)。

一定の取り組みを行うとは・・・?

その年中に健康の保持増進、疾病の予防への取り組みとして健康診査や予防接種、がん検診などを行っている場合をいいます。

スイッチOTC医薬品とは・・・?

要指導医薬品、一般用医薬品のうち、医療用から転用された薬局で買える医薬品のことをいいます。

控除額はどのくらい?

スイッチOTC医薬品の購入金額の合計(保険金等で補填される金額は差し引く)のうち、1万2000円を超える部分を控除額とします。限度額は8万8000円です。

  医療費控除 セルフメディケーション税制
対象額 10万円以上 1万2000円以上
限度額 200万円 8万8000円
対象になるもの 治療費や検査費、医薬品の購入など
(以下の表を参照)
スイッチOTC医薬品

医療費控除の対象になるもの・ならないもの一覧

医療費控除の対象となるかどうかの判断は、それが治療のために必要な行為なのかどうかに依存していると考えてよいでしょう。

健康診断を受けた場合でも、検査によって異常が見つかった場合は治療扱いとなり、診断費用を医療費に含めることができます。
しかし、異常が見つからなかった場合には、予防のための検査の扱いとなり、医療費控除は受けられません。

以下に、医療費控除の対象になる費用と、ならない費用の例をあげるので参考にしてください。

  医療費控除の対象になる費用 医療費控除の対象にならない費用
入院
通院
・医師による診療や治療
・医師等による一定の特定保健指導
・看護師、准看護師による療養上の世話
・付添人を頼んだときの付添料
・入院中に病院で支給される食事
・通院や入院のための交通費(電車やバスなどでの移動が困難な場合のタクシー代を含む)
・身の回り品の購入(寝巻き・洗面具など)
・差額ベッド代
・病院外から自費で取り寄せた食事
・入院時の寝具、洗面具の費用
・入院時の借用料(テレビ・冷蔵庫など)
・自家用車で通院したときのガソリン代・駐車場代
出産 ・定期検診や検査(妊娠診断後)
・通院費用(妊娠診断後)
・出産で入院するときのタクシー代(ほかの公共交通手段によることが困難な場合)
・助産師による分娩の介助費
・不妊治療・人工授精
・母体保護法の規定による妊娠中絶
・無痛分娩のための講座受講
歯科
眼科
・眼科医、歯科医による診療や治療
・不正咬合の歯列矯正(噛み合わせが悪くて機能的な問題がある場合)
・金やポーセレンを使った歯科治療
・レーシック
・オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)
・手術後の機能回復のため短期間装用する器具(斜視・白内障・緑内障など)
・美容整形のための歯列矯正
・眼鏡、コンタクトレンズの購入
・補聴器の購入
医薬品 ・病気やけがの治療や療養に必要な医薬品の購入
・医師等の処方や指示による医薬品の購入
・疲労回復、健康増進のためのサプリメント
その他 ・治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術
・医療用器具の購入や賃借
・義手、義足、松葉づえ等の購入
・6か月以上寝たきりの人のおむつ代(医師による証明書がある場合)
・健康診断費用(異常がみつかり治療を受ける場合)
・介護福祉士等による喀痰吸引等
・介護保険制度で提供される一定の施設・居宅サービス(※1)
・診断書の作成
・予防接種
・健康診断費用(異常がみつからない場合)
  • (※1)平成29年4月1日から、介護保険制度で、要介護者または要支援者が提供を受ける居宅サービスや介護予防サービスのうち、療養上の世話の費用に相当する金額は、医療費控除の対象となりました。対象となる人がいる家庭では、医療費控除を多く受けられる可能性があります。くわしくは、国税庁のサイトを参考にしてください。

医療費控除の還付金の計算方法

医療費控除の計算は次の計算式で行うことができます。200万円が限度額となります。

  • 医療費控除額=〔その年中に支払った医療費〕−〔保険金などで補填される金額〕−〔10万円 or 所得金額×5%(どちらか少ない額)〕

還付金の計算手順

@ その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費(生計を一にする配偶者、親族の全員分)の額を合計します。

平成29年度分の確定申告から、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などがあれば一覧表の作成に変えて使用することができることになりました

A 民間の生命(医療)保険から支払われた保険金、加入している健康保険組合などから支給される高額療養費・家族療養費などがあれば、対象となる医療費から差し引きます。
対象となる医療費から引ききれない場合は、その額をほかの治療のために使った医療費から差し引く必要はありません。

保険金等で補填される金額とは・・・?

保険金等で補填される金額とは・・・?

B @の対象の医療費から Aの保険金・高額療養費などを差し引いた後の金額を合計します。

C Bの合計額から10万円(総所得が200万円未満の場合、所得額×5%の額)を差し引きます。

D 残った金額が医療費控除の額となります。

※医療費控除を申告するためのパンフレットを次のサイトより入手することができます。このパンフレットの裏面の表を利用すれば、上記@〜Dのステップを手順どおりに計算することができます。

モデル例で計算してみよう

【モデル例1】
Aさん一家では、この1年間に、以下の医療費の支払いを行いました。医療費控除の申告を行うとどのくらいの税の還付があるか検討してみましょう。(費用はいずれも自己負担額)

Aさん   年収1000万円、医療費控除前の所得税+住民税は約135万円
医療費1   Aさんの妻の医療費自己負担額(病気で3か月中3週間入院)
       @入院・治療費:合計20万円
       A退院後の通院・薬代:10万円
       B差額ベッド代:6万円
医療費2   Aさんの医療費自己負担額(生活習慣病治療)
       C診察・薬代:6万円
保険金   @に対して、保険会社より6万円の保険金が支払われた

計算すると次のようになります。

1.医療費控除額は、1年間で支払った医療費の合計から保険金等で補填される金額と10万円を差し引いて求めます。
Bの差額ベッド代は医療費控除の対象外となります。
医療費控除額=医療費合計(20万円+10万円+6万円)−保険金等で補填される金額(6万円)−10万円=20万円

2.課税所得が550万円とすると、以下の所得税の速算表より所得税率は20%です。
医療費控除額20万円×所得税率20%=4万円

したがって、医療費控除の申告により、所得税は4万円還付されます。
住民税率は所得にかかわらず一律10%なので2万円安くなり、あわせると6万円の税金を減らす効果があります。

所得税の速算表

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 97,500円
330万円超〜695万円以下 20% 427,500円
695万円超〜900万円以下 23% 636,000円
900万円超〜1800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円超〜4000万円以下 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円

【モデル例2】
Bさんは、乳がんが見つかり入院・手術を行いました。治療にかかった費用と医療費控除によって還付された額について確認します。(費用はいずれも自己負担額)

Bさん   年収450万円、医療費控除前の所得税+住民税は約30万円
医療費1   Bさんの入院1か月目の自己負担の額(15日間入院)
       @手術費:8万円
       A療養費:4万円
       B入院費:9万円
       C差額ベッド代:6万円
       ※高額療養費制度の適用により、Cの差額ベッド代以外の自己負担額は、
       8万4000円に減額
医療費2   Bさんの入院2か月目の自己負担の額(10日間入院)
       D療養費:4万円
       E入院費:6万円
       F差額ベッド代:4万円
       ※高額療養費制度の適用により、Fの差額ベッド代以外の自己負担額は、
       8万1000円に減額
医療費3   Bさんのそのほかの月の自己負担の合計額
       G通院・治療:6万5000円

計算すると次のようになります。

1.医療費控除額は、1年間で支払った医療費の合計から保険金等で補填される金額と10万円を差し引いて求めます。
医療費控除の対象になるのは自己負担分だけなので、高額療養費の適用になった場合はその金額で計算します。また、Cの差額ベッド代は医療費控除の対象外となります。
医療費控除額=医療費合計(8万4000円+8万1000円+6万5000円)−10万円=13万円

2.課税所得が100万円とすると、所得税の速算表より所得税率は5%です。
医療費控除額13万円×所得税率5%=6,500円

したがって、医療費控除の申告により、所得税は6,500円還付されます。
住民税率は所得にかかわらず一律10%なので1万3000円安くなり、あわせると1万9500円の税金を減らす効果があります。

医療費控除を申告するときの期限

医療費控除の申告期限

医療費控除を受けるためには、控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に提出する必要があります。
確定申告の受付期間は、翌年2月16日〜3月15日です。

医療費控除による還付申告のみを行う場合には、翌年1月から申告書の提出ができます

申告期限を過ぎた場合

還付申告は、確定申告期間とは関係なくその年の翌年1月1日から5年間できることになっています。
確定申告の時期に医療費控除の申告し忘れた場合でも、さかのぼって申告ができます。

未払い分は翌年以降の対象

医療費控除の対象となる医療を受けていても支払いを年内に行っていなかった場合は、その年分の医療費控除の申告に含めることはできません。
年明けに支払った医療費は、次の確定申告時に医療費控除の申告ができますので、忘れずに領収書を保管しておいてください。

確定申告 医療費控除での必要書類

平成29年度分の確定申告より、医療費控除の申告方法が一部改正されています。申告に必要な書類は次のとおりです。

  • 医療費控除に関する事項を記載した確定申告書
  • 給与所得の源泉徴収票(原本)(給与所得のある人)
  • 医療費の支出を証明する書類(ア or イ)
  • (ア) 医療費の領収書の金額を自分で一覧表化したもの
    (イ) 健康保険組合など作成の医療費通知書(「医療のお知らせ」など)
    ※(ア)or(イ)には次の内容について記載が必要
    i. 医療費の額
    ii. 医療費に対応して支払いを受けた、生命保険金・社会保険の額
    iii. 診療等を受けた人の氏名
    iv. 診療等を行った病院、診療所その他の名称

    ※ 通院のときの交通費は領収書不要

(ア)or(イ)の書類を提出する場合、医療費の領収書の提出は不要です(保管は5年間必要)

確定申告書には、確定申告書Aと確定申告書Bの様式があります。
確定申告書Aは、申告する所得が給与所得や公的年金等・その他の雑所得、総合課税の配当所得、一時所得のみの人用です。一般的にはAを利用します。
確定申告書Bは、予定納税額のある人などが使用します。

確定申告 医療費控除での必要書類

医療費控除の書き方を知りたい人は、「【平成29年改正】確定申告 医療費控除の申請方法とくわしい書き方」ページをご確認ください。

明細書や領収書を紛失した場合

これまで医療費控除の申告には、医療費の領収書以外は、認められていませんでしたが、平成29年度分の確定申告より、健康保険組合などから送られてくる医療費通知書(「医療のお知らせ」など)が使えるようになります。

万一、医療費の領収書も医療費通知書も両方とも紛失した場合は、病院から金額を証明する書類を再交付してもらうなどの手段も考えられますが、断られる場合も多いようです。

医療費の領収書と医療費通知書のどちらかは確実に保管しておくことを忘れないようにしてください

会社に勤めていると、年末調整で大方の税務申告ができるので、確定申告を行ってまで医療費控除を受けるのは面倒と思う人も多いかもしれません。
しかし、最近ではe-Tax(インターネットを通じて電子的に確定申告が行えるシステム)も可能になったため、紙より楽に申告が行えるようになってきています。
少々面倒と感じても、医療費控除を受ける機会があれば、確定申告を行って還付金を戻してもらう検討をしてみてはいかがでしょうか。
自分で確定申告を行うことで、納税の全体像がなんとなく理解できるようにもなります。

執筆者プロフィール
川上 壮太(かわかみ そうた)
川上 壮太(かわかみ そうた) ファイナンシャル・プランナー(CFP) CFP(R)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/サニーサイド・ファイナンシャルプランニング代表

当記事で提供する情報はあくまでも個人による一般的な意見です。当情報の利用およびその情報に基づく判断は読者の皆様の責任によって行ってください。個別の商品・サービスの詳細はそれぞれの規約・約款等をご確認ください。

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