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自転車事故による自分の治療費や事故相手への賠償に備える「自転車保険」ですが、近年加入を義務づける自治体が増えてきています。今回は「なぜ自転車保険が必要なの?」「義務化されている自治体は?」「罰則はあるの?」「自転車保険に加入するときのポイントは?」など、自転車に乗る人が知っておきたい自転車保険の疑問にお答えします。
2022年9月14日更新
以下、記事の詳細
2015年10月に全国で初めて兵庫県が自転車保険の加入を義務化してから、ほかの地域にも徐々に広がってきています。
義務化が進む理由は、自転車事故の被害者と加害者双方の経済的な負担を軽減するためです。なぜなら、たとえ自転車であっても、物を壊したり人にケガをさせたりしたら道路交通法上での交通事故であり、高額な賠償責任が発生することもあるからです。
自転車事故による高額賠償事例について、ニュースを耳にしたことがある人もいることでしょう。
たとえば2013年には、自転車で走行していた男子小学生が歩行中の女性と正面衝突して、女性がケガを負って意識が戻らない状態となった事故で、約9500万円もの賠償金の支払いが命じられました。
2014年には、赤信号を無視して走行していた男性が横断歩道を歩行中の女性と衝突して死亡させた事故により、約4700万円の支払いが命じられています。
自転車による事故であっても、賠償額の計算方法は自動車やバイクによる事故と変わりません。事故で相手にケガを負わせた場合は、ケガの治療費、仕事を休む期間の給与の補てん、慰謝料などを賠償するほか、後遺症が残ればその逸失利益※や介護費用なども支払う必要があります。
もしも自転車保険に未加入のまま事故を起こして人や物を傷つけてしまったら、すべて自分の資産から賠償金を支払う必要があります。未成年の子供が事故を起こした場合であっても、その保護者である親に支払う責任が発生します。数千万円もの高額な賠償額となるケースはもちろん、数十万円や数百万円の賠償額であっても、加害者にとって大きな経済的負担となります。
一方、加害者が自転車保険に未加入だと、被害者も困ることになります。賠償請求をしたとしても、加害者が保険に未加入で高額な賠償金額を支払うことができなければ、被害者は十分な補償を受けることができなくなってしまいます。
自転車に乗る人は誰でも加害者になる可能性がありますし、外出する人には誰でも被害者になる可能性があります。加害者と被害者の双方が経済的に困る事態を防ぐため、自転車保険の義務化が広がっているのです。
直近の国土交通省の調査によると、2022年4月時点で自転車保険への加入を義務づけているのは、30都府県1政令市です。また、9道県は「努力義務」を条例で定めています。香川県などのように努力義務から加入義務に変わるケースもあるので、現在、努力義務となっている地域は今後の動向に注意しておきましょう。
加入義務のある都道府県(30か所)
加入義務のある政令都市(1か所)
努力義務のある都道府県(9か所)
自分の住んでいる地域が義務化された場合でも、住民全員が自転車保険に加入する必要があるわけではありません。自転車保険の加入が義務となるのは「自転車の利用者」のみです。
ただし、義務化されている地域に通勤・通学する人や、観光をする人なども、自転車に乗る人は対象となることがあります。また、未成年者の自転車利用について、保護者が子供の自転車保険を準備する義務があると定めている地域も多いので注意が必要です。
自転車保険に加入しなかった場合の罰則規定を定めている自治体は、今のところありません。これは、自転車に乗っている本人ではない家族が自転車保険の契約をしているケースなどもあり、自転車保険の加入状況を証明することが難しいからだといわれています。
しかし、万一、自転車事故を起こして高額な賠償責任を負った場合、一番困るのは自分自身です。たとえ自転車保険が義務化されていなくても、自転車に乗る人は自転車事故に備えて加入しておくことをおすすめします。
自転車保険の義務化と騒がれていますが、必ずしも「自転車保険」と名前がつく保険である必要はなく、事故相手への損害賠償が補償される「個人賠償責任保険」があればよいとされています。そのため、火災保険や自動車保険、傷害保険などの特約や、クレジットカードの付帯保険などでも問題ありません。
ただし、個人賠償責任保険だけだと自分自身への補償はありません。自身のケガの治療費や死亡・高度障害などに備えたい場合には、自身への補償がついている自転車保険を選ぶとよいでしょう。
万一の高額賠償に備えて、個人賠償責任保険の補償金額は最低でも1億円以上に設定されている保険を選びましょう。同時に、賠償請求をされたときに保険会社が代わりに交渉してくれる「示談交渉サービス」がついている保険を選ぶとより安心です。
個人賠償責任保険はいろいろな保険の特約にセットすることができるため、いつの間にか二重加入となっていることが少なくありません。複数の保険で賠償に関する補償がついていても、2倍の保険金が受け取れるわけではありません。
個人賠償責任保険の補償対象が家族全員となっていて、補償金額もしっかり確保されていれば、自転車保険は家族で1つ加入していれば足りることになります。ムダな保険料を支払わないよう、今一度、加入している損害保険の内容を確認してみるとよいでしょう。
自転車保険の義務化の目的は、万一の自転車事故の際に被害者と加害者双方の経済的負担を軽くすることです。子供から大人まで多くの人が利用する自転車ですが、一歩間違えれば危険な乗り物になります。自転車保険の義務化が決まっている地域でも、それ以外の地域でも、家族全員が自転車事故に備える保険を準備できているかを確認し、日頃から安全運転を心がけるようにしましょう。
張替 愛(はりかえ あい)
ファイナンシャル・プランナー(AFP®)
大学で心理学を学んだ後、国内損害保険会社に就職。夫の海外赴任を機に独立。教育費・老後資金・女性の働き方・資産運用・海外赴任など、ひとつひとつの家庭の状況とその想いを大切にした家計相談を行う。同時に、マネー講座や執筆など、幅広く活動する。(株)プラチナ・コンシェルジュ所属
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自転車保険に加入する際のチェックポイント