更新日:2025年9月10日
同年代の人はどのくらい貯蓄があるのでしょうか?年代別の貯蓄額や、そもそも収入のうちどれくらいを貯蓄に回せばいいか、貯蓄がなかなかできない時期はあるのか、家計調査のデータを元に紹介します。
この記事の監修者
ファイナンシャルプランナー(CFP®資格/1級FP技能士)、生活経済ジャーナリスト
坂本 綾子
大手出版社の女性誌・経済紙等でフリーランスの記者として金融・経済記事を執筆。2010年にファイナンシャルプランナー事務所を設立。中立的な立場で金融商品やサービスを開設する記事の執筆に加えて、自治体の消費生活センター等でお金のセミナー講師も行う。消費者の家計相談にも対応している。
大手出版社の女性誌・経済紙等でフリーランスの記者として金融・経済記事を執筆。2010年にファイナンシャルプランナー事務所を設立。中立的な立場で金融商品やサービスを開設する記事の執筆に加えて、自治体の消費生活センター等でお金のセミナー講師も行う。消費者の家計相談にも対応している。
貯蓄は急な収入の途絶えや老後の不安に備えるためにも重要ですが、収入のうちどれくらいを貯蓄に回すかは悩ましいところです。
長期的なキャッシュフローを試算した場合、教育費や住宅の頭金など現役時代に必要なお金を貯蓄から支払いながら、老後資金もある程度貯めるには手取りの20〜30%を貯蓄していく必要があります。
理想の貯蓄額としては手取りの20〜30%、税込み年収に対しては15〜25%程度を目安にすると良いでしょう。
では、平均的にどれくらい貯めているのか、「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」(金融経済教育推進機構)より、年代別のデータを紹介しましょう。
この調査は20歳以上80歳未満を対象として行われています。ただし20代の回答者は人数が少ないため、あくまで参考としてご覧ください。
下の表は、20代のシングルと2人以上の世帯(年齢は世帯主)について、年収別に貯蓄がない世帯の割合、貯蓄額の平均値と中央値(データを多い順または少ない順に並べた時の中央の値)をまとめたものです。
<20代の年収別金融資産保有額>
年収 | 20歳代 シングル | 20歳代 2人以上世帯 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 | 中央値 | 資産非保有 | 平均 | 中央値 | 資産非保有 | |
300万円未満 | 98万円 | 10万円 | 38.6% | 218万円 | 20万円 | 23.7% |
300-500万円未満 | 233万円 | 60万円 | 26.1% | 354万円 | 92万円 | 27.7% |
500-750万円未満 | 430万円 | 310万円 | 11.4% | 354万円 | 210万円 | 15.2% |
全体 | 161万円 | 15万円 | 36.6% | 382万円 | 84万円 | 22.8% |
2人以上世帯より、シングルの方が貯金額は少なめとなる傾向があります
貯蓄額のうち、平均値よりも実態を表しやすいと言われる中央値を見ると、年収が高くなるにつれて、貯蓄額も高くなっています。
貯蓄がない(金融資産非保有)人もいます。シングルは全体の約37%、2人以上世帯は約23%です。ただし、この調査では、貯蓄(金融資産)を「運用または将来に備えて蓄えている部分」としています。
例えば普通預金に一定の残高があっても、生活費との認識なら貯蓄に含めないケースもあるでしょう。貯蓄ゼロといっても、回答者により金融資産がほぼゼロの人から多少はある人まで幅がありそうです。
20代は仕事を始めてからの年数もまだ短く、これから収入が伸びる可能性は大いにあります。まずは貯蓄の習慣をつける時期と言えます。
<30代の年収別金融資産保有額>
年収 | 30歳代 シングル | 30歳代 2人以上世帯 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 | 中央値 | 資産非保有 | 平均 | 中央値 | 資産非保有 | |
300万円未満 | 226万円 | 35万円 | 42.9% | 237万円 | 56万円 | 32.1% |
300-500万円未満 | 463万円 | 106万円 | 26.3% | 284万円 | 58万円 | 33.5% |
500-750万円未満 | 751万円 | 473万円 | 19.6% | 547万円 | 205万円 | 18.5% |
750-1,000万円未満 | 535万円 | 350万円 | 0.0% | 851万円 | 465万円 | 13.6% |
1,000-1,200万円未満 | 1,375万円 | 0万円 | 75.0% | 1,314万円 | 1,000万円 | 12.7% |
1,200万円以上 | 2,926万円 | 400万円 | 20.0% | 4,151万円 | 1,000万円 | 6.7% |
全体 | 459万円 | 90万円 | 33.4% | 677万円 | 180万円 | 24.5% |
平均値、中央値とも全体的に20代よりも高く、年収が上がるにつれて貯蓄も増えています
30代は平均値、中央値とも全体的に20代よりも高く、貯蓄残高が積み上がってきているのがわかります。シングルも2人以上の世帯も、年収が上がるにつれて貯蓄も増えています。
表には記載していませんが、年収のボリュームゾーンはシングルが500万円未満です。ボリュームゾーンの貯蓄額は平均値が約230〜460万円、中央値が35〜110万円となります。
シングルで年収500万円以上は少なくなりますが、貯蓄の平均値は1000万円を超えていて、貯めている人とそうでない人の差が開いてきているようです。
一方、2人以上世帯の年収のボリュームゾーンは300万円以上750万円未満です。
シングルよりも2人以上世帯の方が貯蓄額の平均値も中央値も低くなっているのは、結婚した場合、30代は住宅購入を検討したり子どもが生まれたりするなど、出費がかさんでくる時期だからでしょう。家計管理の重要性が増してきます。
年収1000万円以上になると、シングルも2人以上世帯も貯蓄額が1000万円を超えます。ただし、30代で年収1000万円以上の人はかなり少ないのが現実です。
貯蓄ゼロと回答している人は、シングルが全体で約33%、2人以上世帯は約25%です。
<40代の年収別金融資産保有額>
年収 | 40歳代 シングル | 40歳代 2人以上世帯 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 | 中央値 | 資産非保有 | 平均 | 中央値 | 資産非保有 | |
300万円未満 | 443万円 | 10万円 | 39.6% | 284万円 | 10万円 | 41.0% |
300-500万円未満 | 654万円 | 125万円 | 28.8% | 438万円 | 120万円 | 26.7% |
500-750万円未満 | 2,244万円 | 1,400万円 | 8.9% | 599万円 | 270万円 | 23.8% |
750-1,000万円未満 | 2,539万円 | 1,000万円 | 11.1% | 1,359万円 | 700万円 | 16.0% |
1,000-1,200万円未満 | 1,600万円 | 1,600万円 | 0.0% | 1,840万円 | 980万円 | 15.8% |
1,200万円以上 | 6,638万円 | 4,000万円 | 25.0% | 3,839万円 | 1,550万円 | 1.3% |
全体 | 883万円 | 85万円 | 33.3% | 944万円 | 250万円 | 25.7% |
2人以上の世帯では、子どもがいる場合、人生で最も教育費の負担が大きくなる時期にあたり支出も膨らむ傾向があります
40代はいよいよ人生の中盤の時期、30代と比べて貯蓄が大きく増えているイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし調査の結果はそうではなく、年収のボリュームゾーンはシングルは500万円未満で30代と変わりません。
一方、2人以上世帯は年収のボリュームゾーンが500万円以上750万円未満と30代と比べて上がります。年収750万円以上の世帯も増えています。
2人以上の世帯では年齢が上がったことで年収が増えているにも関わらず貯蓄額に大きな変化がありません。支出も膨らんでいることがうかがえます。
出産年齢にもよりますが、子どもがいる場合、40代後半から50代は人生で最も教育費の負担が大きくなる時期にあたります。住宅を購入して住宅ローンの支払いを抱えている世帯もあるでしょう。
家族としてのさまざまなイベントがあり、お金も必要になるのが40代の2人以上世帯と言えそうです。
40代で貯蓄ゼロと回答した人は、年収が上がるにしたがって少なくなる傾向があります。それでも全体では、シングルで約33%、2人以上世帯で約26%が貯蓄ゼロとなっています。
<50代の年収別金融資産保有額>
年収 | 50歳代 シングル | 50歳代 2人以上世帯 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 | 中央値 | 資産非保有 | 平均 | 中央値 | 資産非保有 | |
300万円未満 | 615万円 | 10万円 | 45.2% | 300万円 | 0万円 | 51.1% |
300-500万円未満 | 716万円 | 40万円 | 40.0% | 552万円 | 100万円 | 37.6% |
500-750万円未満 | 2,716万円 | 1,080万円 | 14.3% | 937万円 | 350万円 | 23.9% |
750-1,000万円未満 | 3,451万円 | 950万円 | 13.3% | 1,660万円 | 600万円 | 21.1% |
1,000-1,200万円未満 | 5,337万円 | 4,700万円 | 0.0% | 1,966万円 | 825万円 | 14.1% |
1,200万円以上 | 3,550万円 | 3,550万円 | 0.0% | 2,968万円 | 1,400万円 | 9.4% |
全体 | 1,087万円 | 30万円 | 40.2% | 1,168万円 | 250万円 | 29.2% |
全体的には40代よりも貯蓄額が増えています。業種などにもよりますが50代半ばが収入のピークと言うデータもあります。
いよいよ老後が視野に入ってくる50代はどうでしょうか。全体的には40代よりも貯蓄額が増えています。年収のボリュームゾーンはシングルが300万円未満と40代よりも下がっています。
2人以上世帯は500万円以上750万円未満と変わりませんが、年収750万円以上が40代よりも増えています。
会社員は、業種などにもよりますが50代半ばが収入のピークと言うデータもあります。シングルの方が貯蓄が多めなのは40代までと変わりません。2人以上世帯はシングルよりも生活費の負担が大きいからでしょう。
50代でも貯蓄ゼロの人はシングルが全体の約40%、2人以上世帯は約29%となっています。
人生には様々な場面でお金が必要になります。しっかり貯めておきたいのは主に教育資金、住宅資金、老後資金の3つです。
そして平均的には、20代から30代で結婚して子どもが生まれ、40歳前後で住宅を購入する、50代に入ると教育費の負担が大きくなり山場を迎える人が多いようです。
50代後半には、教育や住宅はほぼ目途が立ってくる人が増えてきます。ここからは、老後資金=年金だけでは足りない老後の生活費の準備が中心になります。
結婚しない、結婚しても子どもを持たない場合は、教育資金はかかりませんが、老後資金の準備が必要なことはシングル、既婚、子どものありなしに関わらず共通です。50代に入ったら、現役を退く時期に向けて老後資金をいくら貯めておくか目標を決めて実行したいですね。
また、賃貸でも住宅を購入する場合も、住まいを確保するための費用が必要です。
調査データも参考にしながら、自分が望む人生を実現するにはいくら必要かという観点から、それぞれの時期の貯蓄目標を考えましょう。
その際、実際の生活や収入に対して現実的な目標かどうかが重要です。お金を貯める方法については別の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
長い人生には貯めやすい時期と貯めにくい時期があります。子どもがいる世帯では40代後半から50代に最も教育費がかかるので30代からコツコツと貯蓄を増やすことを検討しましょう。
50代に入ったら、シングルか既婚かに関わらず老後資金を意識して貯蓄を続けましょう。
なかなか貯蓄が増えないなら、家計を見直す必要があります。ファイナンシャルプランナーから客観的なアドバイスをもらうことも検討してはいかがでしょうか。
保険以外にも家計の見直しや資産形成の方法など、お金に関するさまざまな相談ができます。
お気軽にご利用ください。
専門資格を持つファイナンシャルプランナー(FP)にオンラインで相談ができます。
ライフプラン表を用いた、プロの視点での課題分析から、家計の見直しやNISAやiDeCoを使った資産形成の方法などの提案を受けることができます。