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犬のその他の病気
犬の肥満細胞腫とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
肥満細胞腫は、肥満細胞と呼ばれる細胞由来の悪性腫瘍(しゅよう)です。
犬では皮膚に出現することが一般的で、ほかの臓器などに原発することはほとんどありません。
犬に発生する皮膚の腫瘍の中で一番発生率が高い病気で、悪性度の低いものから高いものまでさまざまです。
悪性度の低いものは、できた腫瘍を外科的に切除することで予後は良好です。しかし、悪性度の高いものは転移しやすく、リンパを介して肝臓や脾臓(ひぞう)や骨髄(こつずい)に転移します。悪性度の低いものから高いものまでを、グレード1〜3で表します。また、リンパ節への転移、遠隔転移の有無などにより、病期をステージ1〜4までで分類します。
肥満細胞腫は、その見た目もさまざまで、小さいものもあれば大きいものもあり、柔らかいものもあれば硬いものもあります。
また、急激に大きくなるものや、ほとんど大きさが変わらないものもあります。肥満細胞からは、ヒスタミンやヘパリンなど、血管に作用する物質を放出します。
それらの物質により血管拡張して血圧が下がったり、出血や浮腫などが起きたり、腸に潰瘍(かいよう)ができたりすることがあります。
・皮膚に1つから複数のできものがある
一般的にはその他の症状はあまりみられません。しかし、局所的に出血や浮腫などが起こったり、ヒスタミンの分泌により胃酸が過剰に分泌され、嘔吐や下痢、腹痛などが起こることもあります。出血性胃腸炎が続発することもあります。
肥満細胞腫の悪性度(グレード)
グレード1
高分化型(低悪性度)
グレード2
中間型(中悪性度)
グレード3
低分化型(高悪性度)
獣医師が病理検査で、細胞の分化*の成熟の度合いを調べて、悪性度のグレードを判断します。
低分化細胞は、活発に増殖する傾向があるため、悪性度が高いということになります。
*「細胞の分化」とは、細胞分裂を繰り返すうちに、さまざまな機能や形態を持つ細胞に変化することをいいます。
肥満細胞が癌化することが原因です。
ボクサー、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ブルドッグなどがかかりやすいです。
外科手術、化学療法
一番の治療法は、皮膚にできた腫瘍を外科的に切除することです。また、外科手術に加え、放射線療法や化学療法を行うこともあります。
しかし、外科的に切除困難な場所に腫瘍がある、一度にたくさん腫瘍ができた、大きすぎて切除できない、転移している、などの場合では、化学療法が選択されます。また、肥満細胞腫では、癌化した細胞にだけ働く分子標的薬という薬が使用できるという特徴もあります。
肥満細胞から分泌されるヒスタミンによる消化管の潰瘍などを防ぐため、ヒスタミンと拮抗する薬や、胃粘膜を保護する薬も使用します。
肥満細胞腫にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
診療明細例 | |
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診療項目(内容) | 金額 |
診察 | 1,000 |
検体採取 | 2,500 |
細胞診断 | 4,500 |
処置 | 500 |
合計 | 8,500円 |
有効な予防法はありませんが、皮膚にしこりや腫瘍ができた場合、様子を見ずに、すぐに病院に行って検査をしてもらうことが重要です。
とくに、肥満細胞腫は虫刺されのように見えることもあるので、見た目だけで判断することは避けましょう。