1.生命保険料控除はどのくらい受けられる?
はじめに制度の概要を確認しましょう。生命保険はその内容に応じて「一般」「個人年金」「介護」に分類され、年間の支払額に応じてそれぞれの区分ごとに最大4万円(合計12万円)(※1)の所得控除が認められています。
控除される金額は所得税、住民税で異なり、詳しくは下記の算式で求めた金額となります。
【図表1】
支払保険料(1/1~12/31) | 控除額(所得税) |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料全額 |
20,000円超~40,000円以下 | 支払保険料×1/2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 支払保険料×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 40,000円 |
【図表2】
支払保険料(1/1~12/31) | 控除額(住民税) |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料全額 |
12,000円超~32,000円以下 | 支払保険料×1/2+6,000円 |
32,000円超~56,000円以下 | 支払保険料×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 28,000円 |
- (注)支払保険料は、割戻金などがある場合はその金額を差し引いた残りの金額となります。
2.控除を受けるために必要な準備は?
生命保険料控除は年末調整もしくは確定申告で受けることができます。通常であれば、毎年10月から11月頃、契約している保険会社から保険料控除証明書が送られてくるので、年末調整に間に合います。
しかし、契約が12月になってしまった場合は、その情報を年末調整に反映することは難しいので、確定申告で控除をしてもらうことになります。
通常の所得税の確定申告の期限は3/15ですから、年明けに控除証明書がきてからでも十分間に合いますし、還付申告でしたらその翌年の1/1から5年以内であれば、税金の還付を受けられますので、さらに時間の心配は要りません。
3.保険料の払い方や契約の仕方で控除額が変わる?
保険料の払い方として「月払い」「半年払い」「年払い」「一時払い」があり、まとめて払うほど保険料は割安になります。
しかし、12月に契約となった場合は必ずしも「保険料が割安=お得」とはいえない状況です。では、簡略化した形で以下のようなケースを考えてみましょう。
保険料が月払い1万円、年払い12万円の保険を12月に契約した場合、月払は1か月分の1万円しか控除対象になりません。しかし年払いにすれば、支払保険料が12万円となり8万円の控除が受けられます。この差を所得税額に直すと、税率が10%の人であれば7000円の節税が可能です。
このことから、このタイミングでの年払い契約は、月払いより割安な保険料ということ以外にもさらにメリットのある契約方法になることが分かります。
では、年払いより保険料の安い一時払いではどうでしょうか。保険料控除に関しては年払いが毎年受けられるのに対し、一時払いは保険料の支払いがある契約初年度のみの控除となり、翌年からは受けられません。
また、万が一契約期間中に亡くなってしまった場合、一時払いでは既に払い込んだ保険料は返還されないというリスクもありますので、
保険料の割引でよほどの差がない限りは「年払い」の方が選択しやすいでしょう。
12月契約というタイミングでは、契約初年度は確定申告の必要が出てしまい煩わしいかもしれません。しかし2年目からは、保険会社にもよりますが支払保険料の見込額を年末調整に間に合うように送ってくれる場合もあり、後日正式な控除証明書が届いた段階で、勤務先で差替えてくれれば、
年末調整で控除を行うことも可能になります。
また、これも2年目からですが保険料の支払い方法を月払いにすることによっても年末調整での控除が可能になります。保険加入を検討中の方は、まだ最大限の控除を受けるのに間に合いますので、年内の保険料の払い方で還付税額の取りこぼしが無いよう賢く控除を受けられるようにしましょう。
(※1)H23年12月31日以前に契約したいわゆる旧契約に基づく控除額は、上記の3区分ではなく「一般」「年金」の2区分となり、所得税の控除額は最大で各50,000円、住民税では35,000円となります。
(※2)2026(令和8)年分は、子育て支援の一環として、23 歳未満の扶養親族がいる世帯の一般生命保険料控除が最大60,000円に引き上げられます。
出典:令和7年度 税制改正の概要(厚生労働省関係)(厚生労働省)