更新日:2024年9月10日
猫の脳腫瘍とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
脳腫瘍は、脳や脳周辺に腫瘍ができる病気です。
脳そのものに腫瘍ができる「原発性脳腫瘍」と、別の場所にできた腫瘍が脳に転移する「転移性脳腫瘍」があります。
また、鼻腔内にできた腫瘍が広がり、脳まで到達することもあります。
「原発性脳腫瘍」で一番多いのは、脳を覆う髄膜にできる「髄膜腫」で高齢の猫でよくみられます。
ほかには、上衣細胞腫や、まれですが神経膠腫、星状細胞腫などの報告もあります。
「転移性脳腫瘍」は、悪性肺腫瘍(肺がん)などが脳に転移することで起こります。
猫の脳腫瘍はさほど多くないと思われていましたが、CTやMRI検査が行えるようになり、発見されることが増えてきています。
多くは高齢の猫でみられますが、腫瘍の種類によっては、若齢の猫や中年の猫での発生が多いものもあります。
腫瘍の種類によって、腫瘍が1つだけできる、腫瘍が複数同時にできる、腫瘍が大きくなるのに時間がかかる、急速に大きくなる、など発症の仕方はさまざまです。
「原発性の脳腫瘍」が、ほかの場所に転移することはほとんどありません。また、腫瘍が小さいうちは、大きな症状がみられません。そのため、脳腫瘍が大きくなり神経を圧迫して、麻痺や視覚障害、けいれんなどの神経症状が生じるまでは、脳腫瘍の存在に気付かず、発見が遅れてしまうことが多いです。
初期段階では、元気がない、食欲がない、なんとなく様子がおかしい、などの加齢による変化と思えるものや、認知症に似た症状もあるため、脳腫瘍に気付くことはおそらく難しいといえるでしょう。脳にできた腫瘍が神経を圧迫することなどにより、これらの症状があらわれます。また、脳のどの部分に腫瘍があるかによって症状が異なります。
遺伝や性ホルモンなどの関与も考えられていますが、原因は不明です。
髄膜腫はメインクーン、シャム、雑種などで発生しやすいという報告があります。
脳腫瘍は高齢猫で発生しやすいですが、若齢での発生もあります。
外科手術
CT検査やMRI検査により、腫瘍の大きさや場所が確定でき、外科切除が可能と判断された場合は、外科手術により腫瘍を切除します。
脳の外科手術を行える病院は限られています。
放射線療法
放射線療法が選択されることも多く、特殊な装置を使用して、脳腫瘍に放射線をあてることで腫瘍の増殖を抑えます。
放射線療法の効果が期待できるかどうかは、腫瘍の種類にもよります。放射線療法を行える病院は限られています。
化学療法
症状を緩和したり、腫瘍の進行を抑えたりする目的で、抗がん剤などを用いることがあります。
外科手術や放射線療法と組み合わせて使用するのが一般的です。
投薬
腫瘍によって起こる、けいれん発作など症状を和らげるために薬を飲む内科療法を行うことも多いです。
これは緩和療法であり、腫瘍そのものを治せるわけではありません。
腫瘍のある場所、猫の健康状態などによって、外科手術による切除、放射線療法、化学療法が行われます。
これらの治療法を組み合わせて治療を行う場合もあります。
脳腫瘍にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:アメリカン・ショートヘア(6歳)
内容:通院1日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 700円 |
| 血液検査 | 5,400円 |
| 内服薬 | 2,520円 |
| 処方 | 500円 |
| 合計 | 9,120円 |
残念ながら有効な予防法はありません。
定期的に健康診断を行い早期発見できるようにしましょう。
高齢の猫の場合、「様子がおかしいな」と感じることがあったら、年のせいだと思わずに早めに受診することが大切です。