更新日:2023年5月31日
猫の目やにの原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、目やにの原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。

この記事の監修者

獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
目やには、目を保護している粘液に、古くなった細胞、目に入ったほこり、ゴミなどの老廃物が混ざってできたものです。
目に少量の目やにがついている場合は、体の代謝の働き(生理現象)によるものなので、あまり心配する必要はありません。しかし、大量の目やにがでているときは、目の感染や傷などが考えられます。目の病気の場合は、目やに以外に、目の充血、涙が増える、目を気にしてこする、目を細めるなどの症状がみられることが多いでしょう。
体の代謝の働き(生理現象)
目やには、老廃物と目を保護している粘液が混ざりあってできるものです。通常は、まばたきをするときに涙で流れます。
就寝時はまばたきをしないので、寝起きに目やにが残ることがあります。これは、体の代謝の働き(生理現象)の範囲内として考えてよいでしょう。
そのため、少量の目やにであれば気にする必要はありません。柔らかいガーゼやティッシュなどでそっと拭き取ってあげましょう。
目やにがたくさんでている、黄色や緑色をした粘り気のある目やにがでている、などの症状がみられる場合は、目の炎症や病気などが考えられます。異変に気付いたら受診して必要な治療を行いましょう。
以下の病気などにより目やにが生じることがあります。
猫風邪(上部気道感染症)
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、そのほかのウイルス、細菌、などの感染により、くしゃみ、鼻水、涙、咳などの、風邪の症状が起こり、目やにがでることもあります。体力のない子猫や高齢の猫が、猫ヘルペスウイルスに感染すると、重症化して、急激に元気がなくなったり、脱水症状を起こしたりすることがあります。
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスは、一度感染すると、症状が治まってもウイルスは体内に残ってしまいます。普段は症状がでなくても、出産やほかの病気で体力が落ちていたり、強いストレスがかかったりしたときなどに、ぶり返すことがあります。ワクチン接種で感染を予防できるので、しっかり予防しておくことが重要です。
角膜炎
黒目の表面を覆っている角膜の炎症です。目を痛がる、目をしょぼしょぼさせる、などの症状がみられます。
ゴミなどの異物が目に入る、目をこする、物が当たる、などして目に傷がついてしまうことなどが原因で起こります。また、病原体の感染や、涙が少ないことが原因になることもあります。
結膜炎
まぶたの裏側から白目の表面を覆っている結膜の炎症です。炎症が起きると目にかゆみや痛みがでて、目を気にしてこすろうとする、涙や目やにが多い、結膜が赤い、まぶたが腫れる、などの症状がみられます。病原体の感染のほか、砂・ほこりなどの異物、アレルギー、涙の減少が原因で発症することもあります。
生後間もない子猫が、目が開く前に結膜炎を起こした場合、まぶたが癒着したり、目が正常に成長しなかったりすることもあります。
眼瞼内反、眼瞼外反
遺伝的素因などにより、まぶたが内側に入っていたり、外側に反ってしまったりすることがあります。
まぶたが内側に入ると、外側の毛が生えている皮膚が眼球に当たり角膜が傷つきます。また、内側や外側に反っていることで、上下のまぶたがしっかり閉じないため、外からの刺激を受けやすくなったり、涙が隅々まで行き渡らないため、傷つきやすくなったりします。
慢性化してくると目やにが生じることがあります。
鼻涙管閉塞
先天的な病気または炎症などにより、目から鼻へ涙を通す鼻涙管が閉塞したり、狭くなったりすることがあります。慢性化してくると目やにが生じることがあります。
鼻炎
鼻の粘膜が炎症を起こしている状態のことです。鼻の粘膜が刺激を受けることにより、くしゃみ、鼻水、目やになどの症状がでます。
鼻水は、最初はサラサラとした形状ですが、症状が進んでいくと、ネバネバとした鼻水になる、膿が混じる、鼻粘膜から出血し血液が混じる、といった症状がみられることもあります。
ぬるま湯などでふやかしてから拭き取る
目に感染を起こすことなどで、目やにがたくさんでます。また、鼻炎により目と鼻をつなぐ鼻涙管にも炎症が波及した場合も目やにがでます。目やにがついたままだと、まぶたが炎症を起こすため、ぬるま湯などでふやかしながらやさしく拭き取りましょう。
エリザベスカラーの装着
目を気にして床にこすりつけたり、前肢でひっかいたりすることがあるので、自宅にエリザベスカラーがあれば装着するようにしましょう。
目の傷は進行が早く、放っておくと重症化することもあるので、あまり様子はみずに早めに受診しましょう。