更新日:2024年4月23日
猫の熱がでる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、熱がでるの原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
猫の平熱は人よりも高く、だいたい38度台くらいです。平熱には個体差があるので、体温測定をして平熱を知っておくことをおすすめします。動物病院でストレスを感じているようなケースでは、やや体温が上昇することがありますが、安静時の体温が39.5度以上になることはあまり考えられません。平熱を大きく上回る熱がある場合は、なにかしらの病気の可能性があります。
以下の病気などにより、発熱が生じることがあります。
感染性疾患
ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫や原虫感染などにより、発熱の症状がみられることがあります。呼吸器や消化器、泌尿器などへの感染が多くみられ、血液に感染するものもあります。病名例としては、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、肺炎、歯根膿瘍、気管支炎、感染性腸炎、腎盂腎炎、膀胱炎、感染性関節炎、敗血症などがあります。定期的なワクチン接種で防げる病気もあるので受けておくとよいでしょう。
炎症性疾患
刺激、異物、毒物、中毒、薬剤、自己免疫などにより炎症性疾患が起こります。急性肝炎、中毒性肝障害、膵炎、腹膜炎、胸膜炎、炎症性腸炎、食道炎、血管炎、多発性関節炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスなどがあります。病気によって異なりますが、発熱、痛み、食欲不振などの症状は、共通してみられることが多いです。
悪性腫瘍
悪性腫瘍の影響により発熱することがあり、腫瘍熱とも呼ばれています。とくに、白血病、リンパ腫、形質細胞腫、肥満細胞腫や、肝臓・腎臓・骨・肺・リンパ節の腫瘍、転移している場合、などで発熱が起こりやすいといわれています。
熱中症
熱中症は、過度の熱に対して体が熱をさげられない状態になることで、41℃を超える高熱を出し、多臓器機能障害が引き起こされることもあります。気温や湿度が高い場所で過度な運動をした、車の中に閉じ込められていた、水分補給ができない環境にいた、などが原因となることが多いです。熱中症は、一般的な「熱が出る」という症状とは異なる部分がありますが、飼い主さんが知っておいたほうがいい症状です。
早期の受診
熱があるということは、身体になにかしらの感染や炎症が起こっていると考えられます。おそらく、発熱と同時に元気消失などの症状と、感染や炎症が起こっている場所により、呼吸器症状、消化器症状、運動失調などがみられると思います。発熱がみられたらすぐに受診するようにしましょう。また、夏の暑い時期に、激しい開口呼吸やよだれ、体温の上昇などがみられたら、熱中症の可能性があるので、すぐに身体を冷やして受診するようにしましょう。
体を触っただけでも、いつもより熱があるかどうかはある程度把握できると思いますが、できるだけ体温計で測るようにしましょう。どうしても難しい場合は、耳の中を触って熱を確認しましょう。耳の中を触って確認する方法が、熱があるかどうかが一番わかりやすいです。平常時に耳を触って、その温度を覚えておくと発熱しているかどうかの判断がしやすいでしょう。