更新日:2024年4月23日
猫の鼻水の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、鼻水の原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
猫も生理現象の範囲内として鼻水がでることはありますが、くしゃみの直後などを除き、鼻水が垂れているのを見たことがある飼い主さんは少ないかもしれません。そのため、鼻水がでていると感じたときは、結構な量の鼻水がでている可能性があります。また、鼻水が長引いたり、鼻水の色が変化したりする場合は病気の可能性があります。
鼻への刺激で起こる生理現象
鼻水は、鼻腔に刺激があったときに起こる生理現象です。ほこりを吸い込んだり、散歩中に何か匂いを嗅いだり、水を飲んだときに鼻に水がついたりした際に起こります。鼻水がでることがあっても、問題はありません。
以下の病気などにより、鼻水が生じることがあります。
猫風邪(上部気道感染症)
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、そのほかのウイルス、細菌、などの感染により、くしゃみ、鼻水、涙、咳などの、風邪の症状が起こります。体力のない子猫や高齢の猫が、猫ヘルペスウイルスに感染すると重症化して急激に元気がなくなったり、脱水症状を起こしたりすることがあります。
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスは、一度感染すると、症状が治まってもウイルスは体内に残ってしまいます。普段は症状がでなくても、出産やほかの病気で体力が落ちていたり、強いストレスがかかったりしたときなどに、ぶり返すことがあります。ワクチン接種で感染を予防できるので、しっかり予防しておくことが重要です。
鼻炎
鼻の粘膜が炎症を起こしている状態のことです。鼻の粘膜が刺激を受けることにより、鼻水、くしゃみなどの症状がでます。
鼻水は、最初はサラサラとした形状ですが、症状が進んでいくと、ネバネバとした鼻水になる、膿が混じる、鼻粘膜から出血し血液が混じる、といった症状がみられることもあります。膿が副鼻腔内にたまると蓄膿症を発症することがあります。
鼻腔内異物
鼻腔内に異物があるときにくしゃみが起こりますが、猫の鼻の穴は小さいので外から異物が入ることは少なく、嘔吐した際の嘔吐物などが入り込むことが原因となる場合が多いです。
鼻腔内腫瘍
腫瘍ができると、鼻水がでたり、鼻から出血がみられたり、顔が腫れたりすることがあります。
歯周病
歯垢の中の細菌が原因となって起こる炎症で、歯肉だけではなく、歯や歯の周囲にある靭帯、歯を支える骨にも起こります。歯周病の症状が進行すると、歯を支える骨が溶けていき、最終的に鼻までつながる管ができます。口から入った雑菌が、その管を通って鼻に入り刺激されることで、鼻水、くしゃみがでるようになります。
肺炎
病原体が肺に感染することで、肺が炎症を起こす病気です。食べ物や胃内容物などを誤嚥することにより生じる誤嚥性肺炎や、寄生虫やアレルギーによる肺炎もあります。肺炎にかかると、発熱、呼吸音の異常、元気消失、咳、鼻水、呼吸困難、食欲減少といった症状がみられます。
鼻水の状態のチェック
病気の初期段階では、鼻水は透明でサラサラとしています。症状が進んでいくと、黄色っぽいネバネバとした鼻水になる、膿が混じる、血液が混じる、といった形で鼻水の状態が変化します。鼻水の色や粘度をチェックして、病気に早く気付けるようにしましょう。
早期の受診
家に来たばかりの子猫や、野良出身の猫、外によく遊びに行く猫などがくしゃみをしたり、鼻水がでていたりする場合は、風邪が疑われます。
また、猫が外に遊びにでかけていなくても、庭に野良猫が遊びにきて網戸越しに対面することで感染したり、外出時に野良猫と触れ合った飼い主さんを通じて感染したりします。猫風邪は、放っておくと悪化していくことがあるので、早めに受診するようにしましょう。
一般的には、鼻腔に炎症や刺激がある場合にくしゃみ、鼻水などの症状がみられますが、炎症や刺激の原因は、細菌感染、ウイルス感染、アレルギー、異物などさまざまです。また、ひどい歯周病から鼻腔まで炎症が達すると、鼻炎が起こることもあります。大量の鼻水がでたり、鼻水に血液が混じったりするようなときは、すぐに受診するようにしましょう。