更新日:2024年4月23日
猫の鼻血の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、鼻血の原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
人の場合、鼻血はしばしばみられますが、猫の鼻の構造上、鼻からの出血がみられることはあまりありません。そのため、鼻からの出血がみられた場合は、なんらかの病気の可能性があります。場合によっては、鼻腔内腫瘍や血液の凝固異常のおそれもあるので、自宅で様子をみることはせずに、すぐに受診するようにしましょう。
以下の病気などにより、鼻血が出ることがあります。
血液の凝固異常
血小板の減少を引き起こす病気(骨髄疾患、感染症、免疫疾患、藩種性血管内凝固など)や、血小板の機能障害を引き起こす、血友病(先天性疾患)、殺鼠剤中毒(ワルファリンなどの殺鼠剤誤飲事故)などが原因で起こります。血小板が減少したり、機能障害を起こしたりすることで、血が止まりにくくなり出血しやすくなります。血液凝固異常が原因となっている場合は、通常、両方の鼻の穴から出血がみられます。
鼻腔内腫瘍
鼻腔内に腫瘍ができると、くしゃみ、鼻水、鼻血などの症状がみられます。また、顔が腫れたりすることがあります。鼻腔内腫瘍が原因の場合は、腫瘍があるほうの鼻の穴から出血がみられます。鼻腔内腫瘍が、もう片方の鼻腔内まで浸潤していくと、両方の鼻の穴から出血がみられるようになります。
鼻炎
鼻の粘膜が炎症を起こしている状態のことです。鼻の粘膜が刺激を受けることにより、鼻水、くしゃみなどの症状がみられます。鼻水は、最初はサラサラとした形状ですが、症状が進んでいくと、ネバネバとした鼻水になる、膿が混じる、鼻粘膜から出血し血液が混じる、といった症状がみられることもあります。
外傷
交通事故、ほかの猫とのケンカなどにより、鼻腔に損傷が起こり鼻血が出ることがあります。
早期の受診
外傷が原因の場合、見た目ですぐに気付けると思います。傷が小さく、鼻血も少量しか出ていない場合、たいしたことがないと考えてしまうかもしれませんが、傷口から細菌感染を起こしてしまうこともあります。細菌に感染すると、炎症を起こしたり、膿がたまったりしてしまうので、早急に受診して治療したほうがよいでしょう。鼻の内側に傷があると思われる場合も、傷による鼻血なのか、病気による鼻血なのかを見分けるのは難しいため、早急に受診したほうがよいでしょう。
外傷以外が原因の場合、血液の凝固異常や鼻腔内腫瘍が考えられます。血液の凝固異常が原因の場合は、通常、両方の鼻の穴から出血がみられます。鼻腔内腫瘍が原因の場合は、腫瘍がある方の鼻の穴から出血がみられます。鼻腔内腫瘍が、もう片方の鼻腔内まで浸潤していくと、両方の鼻の穴から出血がみられるようになります。
鼻炎は、細菌感染、ウイルス感染、アレルギー、異物など、原因はさまざまです。通常、鼻炎による出血の場合、鼻水に血が混じる程度で、鼻血が出る状態になることはありません。鼻炎の症状がみられたら、早めに受診し鼻炎の原因を特定して、適切な治療を受けるようにしましょう。