更新日:2024年9月10日
猫の鼻炎とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
鼻炎は鼻の粘膜が、なんらかの原因により炎症を起こしている状態のことです。鼻の粘膜が刺激を受けることで、くしゃみ、鼻水などの症状がでます。鼻の粘膜に細菌が増えますが、細菌だけが鼻炎の根本の原因になっていることは少なく、多くは二次感染で発症していると考えられています。
猫の鼻炎の原因は、ウイルス感染、真菌(カビ)感染、腫瘍、異物、歯周病などの口腔内疾患などがあります。また、原因がはっきりしないものもあります。
猫の鼻炎は、再発したり、慢性化したりすることも少なくありません。
とくに、鼻の短い短頭種(ペルシャ猫など)では、慢性鼻炎が起こりやすいといわれています。
副鼻腔の粘膜が炎症を起こし、分泌物や膿などがたまると副鼻腔炎となります。
鼻炎の一般的な症状はくしゃみと鼻水です。目と鼻は鼻涙管という管でつながっているため、鼻涙管も炎症を起こします。そのため、涙が鼻に流れにくくなる、涙があふれる、目やにが出る、などの症状もみられます。また、鼻が詰まると、鼻呼吸がうまくできず、口をあけて呼吸したり、苦しそうに呼吸したりするようになります。
初めは、鼻水はサラサラとした形状ですが、ネバネバとした鼻水になったり、膿が混じったり、鼻粘膜から出血し血液が混じったりすることもあります。
鼻腔内腫瘍が原因の場合は、人の鼻血のような出血がみられることがあります。
特発性鼻炎
原因がはっきりとわかっていませんが、アレルゲンや鼻腔に常に存在している菌などが関与していると考えられている鼻炎です。
ウイルス性鼻炎
猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)、猫カリシウイルス(猫カリシウイルス感染症)などが原因で起こる鼻炎です。
鼻炎のほかに、角膜炎や結膜炎などを起こすこともあります。
真菌性鼻炎
クリプトコッカスなどの真菌(カビ)感染によって起こる鼻炎です。
アレルギー性鼻炎
ハウスダストや花粉などの原因物質である「アレルゲン」を吸入することにより鼻炎を起こします。
そのほか
鼻腔内に侵入した異物(植物の種など)の刺激で発症するものや、鼻腔内腫瘍によるものなどがあります。また、歯周病などの口腔内の病気が歯根から鼻腔まで拡がって、鼻炎を起こすこともあります。
慢性鼻炎は、鼻の短い短頭種(ペルシャ猫など)に起こりやすいといわれています。
歯周病や腫瘍は、高齢の猫でリスクが高まるため、高齢猫でも注意が必要です。
投薬
細菌や真菌、アレルギーが原因の場合は、抗生物質、抗真菌薬、炎症を抑える薬などを投与します。
1〜2週間ほどで良化することもありますが、特発性鼻炎やアレルギー性鼻炎などは治療の効果がみられなかったり、継続的な内服薬が必要になったりすることも多いです。ウイルス感染により風邪症状のひとつとして鼻炎が起こっているケースでは、数日の治療で良化することも多いです。
投薬とともに鼻腔内の洗浄を行うこともありますが、この治療では全身麻酔が必要となります。
外科治療
腫瘍が原因の場合は、腫瘍の種類によって、手術、放射線治療、抗がん剤など治療が行われます。
鼻腔内の異物混入が原因の場合は、異物を除去する手術が行われます。異物が除去できれば症状はよくなります。
歯周病などの口腔内の病気が原因の場合は、歯周病の治療、悪くなっている歯を抜くなどの処置が行われます。
鼻炎にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:ロシアンブルー(3カ月)
内容:通院1日(鼻気管炎)
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 1,000円 |
| 皮下注射(インターフェロン) | 2,000円 |
| 内服薬(抗生物質7日分) | 700円 |
| 処方 | 500円 |
| 合計 | 4,200円 |
ワクチン接種
細菌感染が原因による鼻炎は、定期的にワクチン接種を行うことで、発症リスクを軽減できます。
飼育環境の整備
寒かったり、空気が乾燥していたりすると、感染症にかかりやすい状況となり、鼻炎を引き起こす可能性があります。
生活環境を適切な温度・湿度に保つことや、換気をこまめに行い、空気をきれいにすることも大切です。
また、突然くしゃみを連発したり鼻水が出るようなときや、嘔吐後にくしゃみや鼻水が増えるような場合は、異物を吸い込んだり、嘔吐物が鼻の方に入り込んでしまったりする可能性があるので、早めに受診をするようにしましょう。