更新日:2025年1月8日
猫のフケの原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、フケの原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
フケは、古くなってはがれ落ちた皮膚の角質です。そのため、皮膚が正常に代謝しているかぎりフケが出るのは当たり前です。通常、日頃の毛づくろいで除去されるため、フケが気になることは少ないでしょう。急にフケが気になるほど多くなっているのであれば、毛づくろい不足が原因かもしれません。また、場合によっては皮膚の病気を患っているおそれもあるので注意が必要です。
毛づくろい不足
日頃からあまり毛づくろいをしない猫の場合、フケが気になることもあります。そのような場合は飼い主さんが積極的にブラッシングをするようにしましょう。また、今まで毛づくろいをしていた猫が、毛づくろいをしなくなる場合、肥満で毛づくろいがしづらくなった、高齢により毛づくろいが面倒になった、関節炎などがあり体が痛くてうまく毛づくろいができない、などの原因を考慮する必要があります。
乾燥
空気が乾燥していると皮膚も乾燥します。そのため、冬の乾燥した時期にフケが目立つことがあります。
また、完全室内飼育している場合、エアコンの影響で皮膚が乾燥する可能性があるため、冬の乾燥した時期以外でも気をつける必要があります。
加湿器を使用したり、皮毛にスプレーする保湿剤などを活用したりして皮膚の乾燥を防ぐようにしましょう。
極度のストレス
極度の恐怖を感じた際に、急にフケが多く発生する場合もあります。
以下の病気などにより、フケが多くなることがあります。
感染性皮膚炎
・寄生虫によるもの(ツメダニ症、疥癬)
とくに、ツメダニ症は通称「歩くフケ」と呼ばれ、寄生した部位に大量のフケが出る特徴があります。
・真菌によるもの(皮膚糸状菌症)
皮膚糸状菌症は脱毛が主な症状ですが、フケなども起こります。猫から人に感染することもあります。子猫や高齢猫、長毛種(ペルシャ、ヒマラヤンなど)で多くみられます。局所的な場合は外用薬、毛刈りとシャンプー、原因菌に効果のある内服薬の使用して治療します。治療に数カ月かかることもあります。
アレルギー性皮膚炎
食べ物のたんぱく質に対してアレルギー反応を起こす食物アレルギーや、ノミの唾液に対してアレルギー反応を起こすノミアレルギー性皮膚炎があります。
かゆみが一般的な症状で、赤み、発疹、フケ、脱毛などがみられることもあります。
過敏性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)
環境中に普通に存在するハウスダストやダニなどに対してアレルギー反応を起こします。
かゆみが一般的な症状であり、赤み、発疹、フケ、脱毛などがみられることもあります。
脱水や栄養失調
重度の脱水や栄養失調を起こしている場合、皮膚も水分不足や栄養不足を起こし、毛がぱさつく、フケが生じる、などの症状がみられます。
早期の受診
フケ自体は皮膚の自然な代謝によるものですが、大量のフケが見られるほか、フケとともに、かゆみ、赤み、脱毛、べたつき、などのほかの症状が出たりしているときは、皮膚の病気が疑われます。かゆみから体をかくことで、炎症がひどくなったり、細菌の二次感染を起こしたりすることもあるので、早めに受診をして検査と治療を行う必要があります。皮膚の病気の原因にもよりますが、内服薬が処方されることが多いでしょう。
脱水や栄養失調が起こっているような場合は、食欲不振、元気消失、体重減少などの症状がみられたり、尿から異常に水分を失ってしまう糖尿病や腎臓病などでは、多飲多尿などの症状がみられたりします。そのため、フケの症状に気付く前に猫の異変に気付けるでしょう。
フケの予防をするには、健康な皮膚を維持することが重要です。そのため、栄養バランスのとれた食事を十分与え、しっかりと水分を取ることが大切です。
そのほか、加湿器や保湿剤の使用、ブラッシングをすることで、皮膚の乾燥を防げるため、予防につながります。
また、太ったことが原因で、毛づくろいをしづらくなる場合もあるため、適正体重を保つよう注意してください。
もしも、病気が原因でフケが出ている場合は、処方された薬や、薬用シャンプーの使用、定期的に受診をすることが一番の予防法です。