更新日:2024年9月10日
猫の膵炎とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
膵炎とは、膵臓に炎症が起こる病気のことです。
膵炎には、「急性膵炎」と「慢性膵炎」があります。
膵臓はアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなどの消化酵素を作っています。消化酵素は非常に強力なので、通常、膵臓を傷つけないよう十二指腸へ運ばれてから活性化します。しかし、なんらかの原因で消化酵素が膵臓内で突然活性化することで、膵臓自体を消化してしまい、傷つけることで「急性膵炎」が起こります。炎症が起こるため強い痛みをともなうこともあります。軽度であれば命に関わるようなことはありませんが、重度の場合、合併症を起こし死亡することもあります。
一方、「慢性膵炎」は、少しずつ膵臓に炎症が起こり、膵臓が硬くなっていく病気で、腹痛などが起こることがあります。
慢性膵炎を起こしている猫では、慢性胆管炎と慢性胃腸炎を併発していることがありますが、お互いの病気がどのように作用しているのかはわかっていません。猫では慢性膵炎のほうが多くみられます。
急性膵炎
腹部が床で圧迫されると激しい痛みを感じて、腹部をかばうような体勢をとることもあります。
重度の炎症により、膵臓の周囲の組織までダメージを受けると、多臓器不全、ショックなどを起こし、死亡するリスクが高くなります。
慢性膵炎
急性膵炎とは異なり、初期段階では嘔吐や下痢の症状も少なく、はっきりした症状を確認できない場合もあり、ほかの消化器症状と区別できないことがあります。症状が進行してくると、食欲減退、体重減少などの症状がみられます。インスリンを分泌する膵臓部分に障害がでるため、糖尿病などの病気を併発し、重症化することもあります。また、慢性膵炎でも急性期には急性膵炎と似た症状がみられます。
猫の膵炎を個人で判断することは非常に難しいです。動物病院であっても、血液検査、超音波検査、レントゲン検査などにより診断されます。
少しでも様子がおかしいと感じたら、すぐに受診するようにしましょう。
詳細はわかっていません。
かかりやすい猫種はとくになく、どの猫種でもかかる可能性があります。
また、性別による発症率にも大きな違いはありません。高齢の猫で多くみられる病気です。
投薬
急性膵炎では早期治療が非常に重要であり、入院して輸液(水分や電解質などの投与)を行うことが必要です。
急性膵炎、慢性膵炎ともに、痛みを和らげるための薬や、吐き気を抑えるための薬なども使用されます。
栄養剤の投与
通常、絶食絶水して膵臓を休める必要がありますが、猫の場合は、早くから栄養を取り入れない肝リピドーシスという肝臓の病気を起こすことがあるため、栄養剤を経口投与することがあります。しかし、食欲不振で食べてくれないことが多いです。そのため、鼻から細いカテーテルを入れて食道まで通し、そこから栄養剤を補給させることもあります。膵外分泌不全を起こしている場合は、足りない消化酵素を内服することで補います。
膵炎にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:アメリカン・ショートヘア(7歳)
内容:通院1日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 700円 |
| 超音波検査 | 2,000円 |
| 皮下点滴 | 1,400円 |
| 皮下注射 | 1,200円 |
| 内服薬(4日分) | 800円 |
| 処方 | 500円 |
| 合計 | 6,600円 |
適切な食事と運動
適切な食事と運動により健康な体作りをしていきましょう。
定期的な検査
急性膵炎、慢性膵炎ともに、経過を観察していくことが大切です。
とくに高齢の猫の場合、定期的に受診し検査するようにしましょう。