更新日:2024年9月10日
猫の外耳炎とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
耳は、「外耳」「中耳」「内耳」に分けられますが、外耳に炎症が起こっている状態を外耳炎といいます。耳の穴から鼓膜までの間の「耳道」に炎症が起こります。
炎症が起こる原因には、細菌や真菌(カビ)などの繁殖、耳ダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギーなどの過敏症、異物混入や腫瘍などがあります。耳あかが大量に出ている、耳がくさい、などの症状がみられる場合、外耳炎などの病気の可能性があります。
重度の外耳炎や中耳炎、内耳炎が疑われる場合は、CTやMRIなどの検査が必要となることもあります。
これらの症状がみられる場合、耳または耳の中に炎症を起こしている可能性があります。軽度では、耳を気にする回数が増える、といった症状しかみられないこともあり、頭を振ったり、首のあたりをかいたりするしぐさが、耳のかゆみからくる行為だと気がつかない飼い主さんも少なくありません。
また、重度では強い炎症による痛みから、耳の付近を触られることを嫌がる、耳道が腫れ耳の穴がふさがる、耳の中から膿が垂れてくる、などの症状があらわれることもあります。外耳だけではなく、耳の奥の中耳や内耳にも炎症が広がり、中耳炎、内耳炎になることもありえるので、早めに受診するようにしましょう。
【一般的な特徴】
細菌感染による外耳炎
黄色い耳あかやドロッとした耳あかがでます。耳あかは膿んだ臭いがします。
かゆみや痛みがあり、耳や頭を振る、耳を床などにこすりつける、などの行動がみられます。
真菌感染による外耳炎
茶色い耳あかがでます。耳あかは独特のくさい臭いがします。
かゆみや痛みがあり、耳や頭を振る、耳を床などにこすりつける、などの行動がみられます。
耳ダニによる外耳炎
大量の黒い耳あかがでます。
激しいかゆみをともない、頭を振る、頻繁に耳を引っかく、耳を床などにこすりつける、などの行動がみられます。
菌の感染
ある種の細菌が原発的に感染して外耳炎を引き起こすこともありますが、ブドウ球菌(細菌)やマラセチア(真菌(カビ))など、正常な耳道に存在する菌が何らかの原因で増殖することが原因となることが多いです。皮膚のバリアー機能が落ちている、外傷がある、耳の中の湿り気が多い状態、などの場合に感染しやすくなります。
寄生虫による感染
耳の中にダニが寄生することで炎症が起こります。
アレルギー
アトピー、食物アレルギーが原因で炎症が起こります。
異物
耳の腫瘍、植物の種が耳の中に入ってしまうことなどが原因で炎症が起こります。
一般的に、細菌や真菌による外耳炎が多く、これらは多湿になる梅雨時期などに悪化することがあります。
かかりやすい猫種はとくにありません。
折れ耳のスコティッシュ・フォールドは、耳の中の様子が見えづらく、異常に気付きにくい傾向があるため注意しましょう。
投薬
一般的に、耳の洗浄を行い耳あかを取り除いてから、原因となっているものに対して有効な薬を使用します。
多くは点耳薬ですが、場合によっては内服薬を用いることもあります。
軽度の炎症の場合、1週間ほどで良化します。重度の炎症の場合、痛みを伴うため耳の洗浄は控え、炎症を抑える薬を使用しながら、定期的に通院して少しずつ洗浄するため、治療が長期化することもあります。異物混入や腫瘍が原因の外耳炎の場合、それらを取り除く処置がとられます。
外耳炎にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか? 保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:ノルウェージャン・フォレスト・キャット(1歳)
内容:通院1日(細菌性外耳炎)
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 700円 |
| 点耳薬 | 2,000円 |
| 合計 | 2,700円 |
猫種:マンチカン(1歳)
内容:通院1日(マラセチア性外耳炎)
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 700円 |
| 処置 | 500円 |
| 合計 | 3,200円 |
こまめな観察
外耳炎は再発することも多い傷病です。
耳を床にこすりつける、耳をかゆがる、耳がくさい、耳あかが多い、などの症状がないか、こまめに観察するようにしましょう。
異常があると感じた場合は、すぐに受診するようにしましょう。
定期的な検診
定期的に受診して検査を行うことで、炎症を早期発見し、重症化を防ぐようにしましょう。
耳の掃除
耳あかを見つけたら綿棒で取りたくなりますが、綿棒は耳あかを押し込んでしまったり、猫が動いて耳道を傷つけてしまったりする危険性があるので使わないようにしましょう。コットンにイヤークリーナーを含ませて、見える範囲で汚れている部分をきれいにしてあげるようにしましょう。耳を清潔に保つためには、耳掃除が必要ですが、やり過ぎると耳を傷つけてしまうこともあるので、耳掃除の仕方や頻度は注意しましょう。