更新日:2024年8月29日
猫の心筋症とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
心筋症は、心臓に機能障害を起こす心筋の病気です。
猫でよくみられる心筋症は、肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症の三つです。
このほかに、不整脈原性右室心筋症、どれにも分類されない分類不能心筋症などもあります。
心筋症により心臓の機能が障害を受けるため治療が必要になります。
症状が出てしまうと、その後、何年も元気で過ごすことは残念ながら期待できません。
肥大型心筋症
圧の負荷やホルモン性の刺激などの心筋が肥大する原因はありますが、それらがなにもないにもかかわらず、心筋が肥大する病気です。
とくに左心室の心筋が肥大します。心筋の肥大により、左心室は狭くなり、左心室へ血液が流入しづらくなり、左心室から全身に送られる血液量も少なくなります。ほかの心筋症に比べ、動脈血栓症(血栓が動脈につまる病気)の発生が多いことも知られています。
なんとなく元気がない、などのわかりにくい症状から始まることが多いです。
拡張型心筋症
心室の内側の空洞部分が拡がり、心室の収縮機能が低下する病気です。
以前は、肥大型心筋症に次いで多い猫の心筋症でしたが、今では少なくなっています。
拘束型心筋症
心筋の内側の筋肉などが繊維化を起こすことにより、心室の拡張機能が低下する病気です。
心室の収縮機能は維持されています。
心筋症を発症しても、初期段階では、元気がない、食欲が低下する、といった症状がみられることはありますが、それ以外の目立った症状はあらわれません。病状が進行すると、心臓の機能低下によって肺や胸に水がたまり重度の呼吸困難を起こしたり、動脈血栓症によって血管に血栓が詰まり、その先の臓器が機能不全を起こしたりして死亡することもあります。血栓は、後ろ肢の血流を阻害する場所にできることが多く、突然歩けなくなったり、後ろ肢の麻痺を起こしたりします。
肥大型心筋症
遺伝子が要因のひとつだと考えられていますが、詳細は明らかになっていません。
拡張型心筋症
タウリン欠乏が原因で起こります。
キャットフードにタウリンが添加されるようになってからは、この病気はほとんどみられなくなりました。
しかし、タウリン欠乏がなくても発症するケースもあります。
拘束型心筋症
遺伝子やウイルス感染、ほかの病気からの続発などが考えられていますが、詳細は明らかになっていません。
肥大型心筋症
ラグドール、メインクーン、アメリカンショートヘア、ペルシャなどで遺伝的関与があると考えられていますが、雑種での発生も多いです。
拡張型心筋症
アビシニアン、シャムなど。
拘束型心筋症
好発品種はわかっていません。
投薬
心室の拡張障害により起こるうっ血性心不全への治療が行われます。
心臓に作用する薬や、末梢血管を広げる薬、余分な水分を尿として排せつさせる薬などが使用されます。
呼吸困難を起こしている場合は、酸素吸入により状態を落ち着かせることが優先されます。
血栓を溶かす治療
動脈血栓症を起こしている場合は、血栓を溶かす治療を行います。
心筋症にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:アメリカン・ショートヘア
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察料 | 1,000円 |
| レントゲン検査 | 3,500円 |
| 超音波検査 | 5,000円 |
| 内服薬 | 3,000円 |
| 合計 | 12,500円 |
残念ながら効果的な予防法はありません。
子猫のときからバランスのよい食事と適度な運動で健康な体を作っておくことや、肥満にさせないことは大切です。
また、定期健診を受け、早期発見、早期治療できるようにしましょう。