更新日:2024年11月20日
猫の尿路結石とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
尿路結石とは、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)にできる結石のことです。
膀胱炎や、尿道閉塞の原因となるため、早期に対処していくことが大切です。
とくに、オスは尿道が細く結石が詰まって尿道閉塞を起こしやすく、それが原因で尿毒症になることがあります。
メスは尿道が太く、尿道に結石が詰まることは多くありません。
結石は、細かい砂のような結晶が集まり、大きくなることでできます。
猫でみられる結石には、いくつかの種類があります。
ストラバイト
猫で一番多くみられる結石です。
尿のpHがアルカリ性に傾くと起こりやすくなります。
療法食で結石を溶かせます。
シュウ酸カルシウム
猫の結石でストラバイトの次に多くみられる結石です。
尿のpHが酸性に傾くと起こりやすくなります。
以前に比べるとシュウ酸カルシウムの割合が増えてきていて、ストラバイトと半々くらいだと考えられます。
療法食で溶かすことはできません。
そのほか
尿酸塩、リン酸カルシウム、乾燥凝固血、シスチン、シリカなどが挙げられます。
結石により膀胱炎が生じることが多いため、頻繁にトイレに行くがほとんど排尿しない、落ち着きがない、排尿時に痛そうに鳴く、尿に血が混じっている、などの膀胱炎の症状がよくみられます。尿がキラキラとするのは、結晶成分の影響です。結晶成分が集まり大きくなって結石ができて尿道に詰まると、尿路閉塞を起こすこともあります。
※尿路閉塞
通常、腎臓から尿管を通って膀胱へ尿がたまり、膀胱から尿道を通って排せつされます。この経路のどこかで通過障害が起こることを尿路閉塞といいます。
完全な尿路閉塞が生じると、急性腎不全を起こすため、救急管理が必要となります。オス猫は尿道が細いためリスクが高まります。
水分の不足
水を飲む量が不足していて、尿が濃くなることが原因となります。
食事の内容
食事の内容により、尿のpHのバランスが崩れたりすることで起こります。
体質
体質的に結石ができやすい場合があります。
一部の純血種(ヒマラヤン、アメリカンショートヘアー、スコティッシュ・フォールド)で、シュウ酸カルシウムができやすいといわれています。
療法食
ストラバイトの場合、療法食で結石を溶かすことが治療の基本となります。
シュウ酸カルシウムは結石になっている場合、溶かすことはできませんが、今後、シュウ酸カルシウムができにくくする療法食があります。
閉塞解除
尿道が詰まっている場合は、尿道口からカテーテルを挿入し、尿道に詰まっているものを流しだす処置が第一優先となります。
外科治療
カテーテル処置で尿路の閉塞が解消されない、療法食で溶けない結石などの場合は、手術によって結石を取り除く必要があります。
尿路結石にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:スコティッシュ・フォールド(4歳)
内容:手術1回、入院3日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 800円 |
| 入院(2泊3日) | 9,000円 |
| 検査 | 25,000円 |
| 全身麻酔 | 17,500円 |
| 手術 | 45,000円 |
| 結石分析 | 4,500円 |
| 点滴 | 12,600円 |
| 処置 | 6,000円 |
| 注射 | 5,400円 |
| お薬 | 2,000円 |
| 合計 | 127,800円 |
排尿をうながす
水をよく飲ませて、排尿させることで結石ができるリスクを軽減するようにしましょう。
トイレを我慢させないことも重要です。
肥満を防ぐ
肥満になると、水を飲みに行ったり、トイレに行ったりすることを面倒くさがり、水を飲む量や排尿する回数が少なくなることがあります。
食事量をコントロールし、室内でも運動ができる環境(キャットタワーの設置など)を整え、肥満を防止しましょう。
療法食を与える
結石ができやすい場合は、再発防止用の療法食(維持食)を食べることを検討するとよいでしょう。
トイレの環境を整える
トイレを常に清潔にし、落ち着いた場所に設置する。多頭飼育の場合は猫の数+1のトイレ数を設置しましょう。
頻尿や血尿、粗相など膀胱炎を疑わせる症状の有無や、症状が始まった時期を確認します。また、尿検査を行い、血漿成分、細菌、タンパク、尿比重、pHなどを調べます。
尿検査のための採尿方法としては、自然に排尿した尿、尿道カテーテルを用いた採尿、膀胱穿刺による採尿などがあります。
採尿時に細菌が混入すると検査結果に影響を及ぼすため、できるだけ膀胱穿刺による採尿が望ましいです。
また、全身状態を確認するために血液検査を行うこともあります。
尿路結石(尿石症)では、レントゲン検査や超音波検査で、結石の位置や数、大きさを確認することが重要です。超音波検査では、膀胱の粘膜の状態も確認できます。
猫の場合、ストルバイト尿石症とシュウ酸カルシウム尿石症が9割を占めるといわれています。
なお、結石の成分を最終的に診断するためには、結石を摘出した後で、結石の分析が必要になるケースも多いです。