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更新日:2024年10月16日

地震保険料控除とは?年末調整での書き方と控除額の計算方法

地震保険は、年末調整や確定申告で所得控除を受けられることをご存じですか?
この記事では、地震保険料控除の概要、対象の条件や控除額のほか、保険料控除申告書の書き方をわかりやすく説明します。


この記事の要点
  • 地震保険料控除とは、支払った保険料に応じて所得控除を受けられる税制優遇制度
  • 一定の要件を満たす長期の火災保険は、旧長期損害保険料控除の対象となり、所得控除を受けられる
  • 持ち家、賃貸住宅の住居形態にかかわらず、地震保険に加入している場合は地震保険料控除を受けられる
  • 地震保険料控除額の上限は、所得税が5万円、住民税が2.5万円

この記事の監修者

平野 敦之

CFP(R)資格/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅ローンアドバイザー/宅建士/2級DCプランナー/平野FP事務所

平野 敦之

東海大学卒業後、証券会社・損害保険会社で実務を経験した後に独立。相談業務や執筆、大学講師や企業研修などを行う。メディア出演多数。

東海大学卒業後、証券会社・損害保険会社で実務を経験した後に独立。相談業務や執筆、大学講師や企業研修などを行う。メディア出演多数。


地震保険料控除とは

地震保険料控除とは、1年間で支払った地震などの損害部分の保険料や掛金に応じて、所得金額から一定額が差し引かれる所得控除であり、税制優遇制度です。

2006年(平成18年)の税制改正で新設された控除で、対象となるのは火災保険にセットで加入している地震保険などの保険料や掛金です。
火災保険のみの加入では、控除は受けられません。

旧長期損害保険に係る経過措置

地震保険料控除が新設された一方で、火災保険を含む従来の損害保険料控除が廃止されました。 ですが、2006年(平成18年)12月31日までに締結された契約に関しては、以下の要件を満たす場合のみ、経過措置として旧長期損害保険料控除を受けられます。

旧長期損害保険料控除の対象となる要件
  • 2006年(平成18年)12月31日までに契約を締結していること
  • 満期返戻金があり、保険期間または共済期間が10年以上の契約であること
  • 2007年(平成19年)1月1日以降にその損害保険契約などを変更していないこと

地震保険料控除の対象になる旧長期損害保険とは具体的に、積立型傷害保険や年金払積立傷害保険、積立型火災保険などです。
旧長期損害保険料控除の対象となる保険がないか、一度、自身の契約を確認してみてください。

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地震保険料控除の対象となる契約と条件

地震保険は単独で加入できないため、火災保険とセットでの契約が必須ですが、地震保険料控除の対象となるのは地震保険料部分のみなど、適用範囲に一定の条件があります。

まず、控除の対象となる契約は具体的に、控除を受ける本人、もしくは同一生計の配偶者や親族が所有する居住用家屋などの建物、生活用動産を補償の対象としている地震保険契約です。

生活用動産とは、家具や衣類など、日常生活で必要な家財のことを指します。

では、ここからは地震保険料控除が適用される範囲などの条件について、細かく説明します。

地震保険料控除を受けるには、常にその建物に居住していることが必須となります。
賃貸住宅、持ち家などの住居形態は問いませんが、別荘や空き家など、常に使用していない建物は控除の対象外です。

別荘については、地震保険に加入できるものの、住宅として常時使用していないため、地震保険料控除は受けられません。

また、補償の対象となる建物が店舗兼住宅(併用住宅)の場合は、住宅として使用している面積の割合部分のみ、控除の対象となります。住宅に使用している面積が90%以上ある場合は、支払った保険料の全額を控除の対象にできます。

そのほか、控除を受けられるのは、実際に保険料負担をしている契約者である1名のみです。
累進課税制度によって、所得が高いほど所得税が高くなるため、共有名義の建物を補償の対象として地震保険に加入する際は、たとえば所得の高い方などを契約者にすることで、より節税につながる場合があります。

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地震保険料控除額の計算方法

地震保険料控除を受けられる条件がわかったところで、控除額を計算してみましょう。

地震保険料控除の計算方法は、下記の表1、2のとおりで、地震保険料と旧長期損害保険料で異なります。

複数年分の保険料を一括で支払った場合は、「一括払保険料÷保険期間(年)」の計算式で算出した保険料を、1年間の支払金額として申告しましょう。

なお、控除額の上限は所得税の場合、地震保険料が5万、旧長期損害保険が1.5万円です。住民税の場合は、地震保険料が2.5万円、旧長期損害保険料が1万円となります。

表1 所得税における地震保険料控除額の計算方法

  年間支払保険料額 控除される金額
@地震保険料 50,000円以下 支払金額の全額
50,000円超 一律50,000円
A旧長期損害保険料 10,000円以下 支払金額の全額
10,000円超20,000円以下 (支払金額×1/2)+5,000円
20,000円超 一律15,000円
@、A両方がある場合 @、Aの控除額の合計
※上限50,000円

表2 住民税における地震保険料控除額の計算方法

  年間支払保険料額 控除される金額
@地震保険料 50,000円以下 支払金額×1/2
50,000円超 一律25,000円
A旧長期損害保険料 5,000円以下 支払金額の全額
5,000円超15,000円以下 (支払金額×1/2)+2,500円
15,000円超 一律10,000円
@、A両方がある場合 @、Aの控除額の合計
※上限25,000円

地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方が対象になる場合

地震保険料控除、旧長期損害保険料控除が異なる契約としてある場合は、それぞれの控除額を計算し、合算した金額が最終的な控除額になります。
ただし、所得税の控除限度額は5万円、住民税の控除限度額は2.5万円です。

一方、積立型の火災保険などのように、1つの契約が地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方に該当する場合は、いずれか一方を選択して申告します。その際、一般的には保険料控除額が大きくなる地震保険料で申告するとよいでしょう。
なお、その年の状況に応じて地震保険料控除、旧長期損害保険料控除のいずれを申告するか、選択できます。

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地震保険料控除申告書の書き方

続いては、「給与所得者の保険料控除申告書」にある地震保険料控除の書き方を、下記の図3の記入見本や記入方法とあわせて順番に見ていきましょう。

図3 地震保険料控除の記入見本

地震保険料控除の記入見本
  • 控除額の計算において算出した金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。

地震保険料控除の記入方法

@控除証明書に記載されている保険会社名(略称可)を記入

A控除証明書に記載されている保険の種類を記入
例:地震、年金払積立傷害
注意点
・1つの契約で、地震保険料と旧長期損害保険料の記載がある場合は、
いずれか一方、一般的に控除額が大きくなる地震保険料の金額を記入

B控除証明書に記載されている保険期間を記入
例:1年、5年、10年

C控除証明書に記載されている契約者の氏名を記入
例:1年、5年、10年

D保険の対象になっている建物や家財を利用している方の氏名を記入
例:1年、5年、10年

E控除証明書に記載されている「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の区分を記入
例:1年、5年、10年

F控除証明書に記載されている金額を記入
注意点
・証明額ではなく、年末までの支払い予定額である「保険料の合計額」を記入

G地震保険料の「申告額」の合計額を記入

H旧長期損害保険料の「申告額」の合計額を記入

I地震保険料の「申告額」の合計額を記入
注意点
・50,000円を超える場合は、50,000円と記入

J旧長期損害保険料の「申告額」の合計額を記入
注意点
・10,000円を超える場合は、旧長期損害保険料の合計額×1/2+5,000円の金額を記入
・15,000円を超える場合は、15,000円と記入

K IとJの合計額を記入
注意点
・合計額が50,000円を超える場合は、50,000円と記入

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地震保険料控除を申告するときの注意点

保険料控除申告書の記入方法の次は、実際に申告するときに気をつけるべき項目について、説明します。

年末調整で忘れずに、地震保険料控除を申告する

給与所得者の場合、一般的には勤務先の年末調整のときに地震料控除を申告することで、控除を受けられます。
勤務先から受け取った「給与所得者の保険料控除申告書」とともに、10月ごろに保険会社から届く地震保険料控除証明書を提出します。
なお、勤務先によっては電子データでの提出が可能な場合もあるため、年末調整の電子対応をしているか事前に確認するとよいでしょう。

同様に、保険会社によっては、地震保険料控除証明書を電子データで取得できる場合があります。電子データではなく、書類で取得した場合は、年末調整のときまで紛失しないよう、大切に保管しておきましょう。
地震保険に加入した年は、地震保険料控除証明書が保険証券に同封されていることもあるため、よく確認してください。

なお、地震保険料控除証明書を紛失した場合は、以下のページから各保険会社に問い合わせのうえ、再発行を依頼してください。保険会社によっては、専用サイト(マイページ)などからも再発行を依頼できる場合があります。

間に合わなかった場合は、確定申告で地震保険料控除を申告する

年末調整での申告が間に合わなかった場合は、2025年(令和7年)2月17日(月)から同年3月17日(月)の間に、自身で確定申告をして控除を受けます。

そのほか、自営業者やフリーランス、副業所得が年間20万円以上ある場合や、住宅ローン控除を受けたい場合なども、確定申告で地震保険料控除を申告する必要があります。

また、災害で住宅や家財などに損害を受けた場合は、確定申告で「災害減免法」による税額控除、もしくは雑損控除による所得控除を受けられます。
ただし、両方を同時に申告できないため、いずれか一方を選んで申告してください。

年末調整で控除を受けられるよう、地震保険料控除の申告方法や申告書の書き方を事前に確認しておくとよいでしょう。


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