更新日:2023年10月4日
猫の痙攣の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、痙攣の原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。

この記事の監修者

獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
猫に痙攣がみられたら、多くの飼い主さんがびっくりされると思います。寝ているときや激しい運動の直後で筋肉がピクッと痙攣している場合は心配ないですが、なんらかの病気が原因で痙攣を起こしている場合は、早急な受診が必要です。一方で、てんかん発作の場合は、痙攣が治まるまで静かに見守る対応をとります。
筋肉疲労
寒いときに発熱するために身体を震わせることが多いです。室温を確認し、寒いようであれば部屋を暖めてあげましょう。
過度に運動をすることで、筋肉が疲労しピクピクと痙攣を起こすことがあります。また、寝ているときに四肢をビクッと動かしたり、バタバタ走るようなしぐさをしたりすることもありますが、とくに心配する必要はありません。
以下の病気などにより、痙攣を起こすことがあります。
てんかん
脳の構造そのものは正常で、機能にのみ異常が起こる病気です。てんかん発作は、意識はあるが体が動かない、体の一部分だけ痙攣を起こす、などの部分的な発作から、全身を痙攣させるような大きな発作までさまざまで、起こる間隔もまちまちです。
脳炎
なんらかの原因によって、脳に炎症が起こる病気です。感染によるものや、免疫介在性のものなどがあります。
脳腫瘍
脳に腫瘍ができることにより、震えや痙攣などの神経異常が生じることがあります。多くは高齢の猫でみられますが、腫瘍の種類によっては、若齢の猫や中年の猫での発生が多いものもあります。
水頭症
脳脊髄液がなんらかの原因で正常量以上に貯留し、脳内を圧迫して障害を起こす病気です。
元気がなくなる、震える、痙攣を起こすなど、さまざまな症状がみられます。
中毒
自然毒、薬品、細菌の毒素などの影響により、急性中毒や慢性中毒を起こします。
腎機能不全
急性腎臓病、慢性腎臓病などにより、腎臓の機能障害が起こった場合、尿として排せつされるはずの毒素が体内にたまり、痙攣などの神経症状が現れることがあります。
肝機能不全
急性肝臓病、慢性肝臓病、門脈シャントなどにより、肝臓の機能障害が起こった場合、肝臓で代謝されるはずの毒素が体内にたまり、痙攣などの神経症状が現れることがあります。
低血糖
血液中の糖が著しく減少した状態です。血糖値が下がることで脳に影響があり、痙攣などの神経症状がみられます。
早期の受診
病気やケガの痛みによって震える症状が多くみられます。痛み以外でも、中毒、神経の障害、臓器の機能不全が原因で血液中に毒素が溜まる、低血糖などの原因あります。また、てんかん発作の予兆として、震える、あくびをする、という小さな症状がみられることもあります。通常、猫はあまり震えることはありません。くり返し震える、激しく震える、元気がなくなる、体重が減少する、意識がはっきりしない、などの症状がみられた場合は、すぐに受診するようにしましょう。
猫が震えている場合は、なにかしら身体に異変が起こっているサインです。早く気づいてあげることで、病気の重症化を防げる可能性があります。日頃から猫の様子を観察して、小さな異変にも気づけるようにしましょう。