更新日:2024年9月10日
猫の肥満細胞腫とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
肥満細胞腫は、肥満細胞と呼ばれる細胞由来の悪性腫瘍です。
猫の場合、皮膚に発症する腫瘍として、2番目に多いことがわかっています。
内臓に発生することも多く、脾臓と消化管に生じることが一般的です。
内臓の肥満細胞腫が原発で、皮膚にできているものが転移することもあります。
皮膚にできる肥満細胞腫を皮膚型肥満細胞腫、内臓にできる肥満細胞腫を内臓型肥満細胞腫といいます。
肥満細胞腫は、悪性度の低いものから高いものまでさまざまですが、皮膚型肥満細胞腫は経過がよいものが多く、内臓型肥満細胞腫は経過が悪いものが多いです。リンパ節への転移の有無や遠隔転移の有無などにより、病期がステージ1〜4に分類されます。
肥満細胞腫は、その見た目もさまざまで、小さいものもあれば大きいものもあり、柔らかいものもあれば硬いものもあります。
また、急激に大きくなるものや、ほとんど大きさが変わらないものもあります。肥満細胞からは、ヒスタミンやヘパリンなど、血管に作用する物質が分泌される影響で、血管が拡張して血圧が下がったり、出血や浮腫などが起きたり、腸に潰瘍ができたりすることがあります。
皮膚型肥満細胞腫
頭部や頚部などの皮膚に小さなできものがみられます。
皮膚に1つだけできることが多いですが、複数個発生する場合もあります。
初期の段階ではかゆみ、痛みなども少ないため、腫瘍がある場所によって、発見が遅れる場合もあります。
皮膚型肥満細胞腫で特に1つだけできている場合は外科手術をすれば経過がよいことが多いです。
内臓型肥満細胞腫
ヒスタミンの分泌により胃酸が過剰に分泌され、胃潰瘍などが生じることがあります。
症状が進行すると、食欲がなくなる、体重が減少する、嘔吐する、などの症状がみられます。
内臓型肥満細胞腫で、特に消化管にできた場合は、予後が悪いといわれています。
肥満細胞が、がん化することで起こります。
皮膚型肥満細胞腫
シャムで発症率が高いといわれています。
内臓型肥満細胞腫
MIX(雑種)の高齢猫がかかりやすいといわれています。
外科手術
皮膚型肥満細胞腫では、皮膚にできた腫瘍を外科的に切除します。
内臓型肥満細胞腫では、脾臓に腫瘍ができている場合は、外科的に脾臓の摘出を行います。
また、消化管に腫瘍ができている場合は、消化管切除を行います。
放射線療法/化学療法
外科手術に加え、放射線療法や化学療法を行うこともあります。
外科的に切除困難な場所に腫瘍ができている、一度にたくさんの腫瘍ができている、腫瘍が大きすぎて切除できない、転移している、などといった場合は、化学療法が選択されます。
投薬
肥満細胞腫の場合、がん化した細胞にだけ働く分子標的薬という薬が使用できます。
肥満細胞から分泌される、ヒスタミンによる消化管の潰瘍などを防ぐため、ヒスタミンと拮抗する薬や胃粘膜を保護する薬も使用します。
肥満細胞腫にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
猫種:日本猫(6歳)
内容:入院1日、手術1回
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 700円 |
| 入院(日帰り) | 2,000円 |
| 血液検査 | 6,000円 |
| レントゲン検査 | 4,000円 |
| 超音波検査 | 4,000円 |
| 注射 | 3,000円 |
| 静脈点滴 | 5,000円 |
| 手術 | 40,000円 |
| 内服薬(抗生剤7日分) | 1,400円 |
| 合計 | 66,100円 |
肥満細胞腫には、有効な予防法はありません。
皮膚に「できもの」ができた場合、すぐに受診をして検査をしてもらうことが重要です。
とくに、肥満細胞腫は虫刺されのような見た目のものもあるので、見た目だけで判断することは避けましょう。