更新日:2024年4月23日
猫の震えの原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、震える原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
猫が震えていたら、寒いのかな?と思う飼い主さんは多いかもしれません。しかし、震える原因は寒さだけではなく、病気やケガの可能性もあります。早急な受診が必要な場合もあるので、日頃からよく観察し、異変に気付けるようにしましょう。
寒さ
寒いときに発熱するために身体を震わせることが多いです。室温を確認し、寒いようであれば部屋を暖めてあげましょう。
子猫の場合、体温調節がうまくできず、低体温となり震えることがあります。
加齢による筋肉の衰え
高齢猫の場合、年とともに筋肉が衰え、排便のときなど力を入れるタイミングで震えることがあります。
以下の病気などにより、震えが生じることがあります。
病気やケガによる痛み
多くの病気やケガで痛みは生じますが、強い痛みによって震えが生じることは多いです。外傷であれば、見た目で気付けますが、そうでない場合、寒さなどで震えているのか、病気なのかを判断することは難しいので、受診し検査するようにしましょう。
水頭症
脳脊髄液がなんらかの原因で正常量以上に貯留し、脳内を圧迫して障害を起こす病気です。
元気がなくなる、震える、痙攣を起こすなど、さまざまな症状がみられます。
てんかん
脳の構造そのものは正常で、機能にのみ異常が起こる病気で、体が硬直する、四肢をバタバタさせる、などの大きな発作、震える、あくびを繰り返すなどの小さな発作、などの症状がみられることもあります。
脳腫瘍
脳に腫瘍ができることにより、震えや痙攣などの神経異常が生じることがあります。多くは高齢の猫でみられますが、腫瘍の種類によっては、若齢の猫や中年の猫での発生が多いものもあります。腫瘍の種類によって、腫瘍が1つだけできる、腫瘍が複数同時にできる、腫瘍が大きくなるのに時間がかかる、急速に大きくなる、など発症の仕方はさまざまです。
脳炎
脳の炎症で、感染によるものや免疫介在性のものなどがあります。
中毒
自然毒、薬品、細菌の毒素などの影響により、急性中毒や慢性中毒を起こして、痙攣、下痢、嘔吐などの症状が現れます。
腎機能不全
急性腎臓病、慢性腎臓病などにより、腎臓の機能障害が起こった場合、尿として排せつされるはずの毒素が体内にたまり、震えや痙攣などの神経症状がみられることがあります。
肝機能不全
急性肝臓病、慢性肝臓病、門脈シャントなどにより、肝臓の機能障害が起こった場合、肝臓で代謝されるはずの毒素が体内にたまり、震えや痙攣などの神経症状が現れることがあります。
低血糖
血液中の糖が著しく減少した状態です。血糖値が下がることで脳に影響があり、震えや痙攣などの神経症状がみられます。
早期の受診
病気やケガの痛みによって震える症状が多くみられます。痛み以外でも、中毒、神経の障害、臓器の機能不全が原因で血液中に毒素がたまる、低血糖などの原因あります。また、てんかん発作の予兆として、震える、あくびをする、という小さな症状がみられることもあります。通常、猫はあまり震えることはありません。くり返し震える、激しく震える、元気がなくなる、体重が減少する、意識がはっきりしない、などの症状がみられた場合は、すぐに受診するようにしましょう。
猫が震えている場合は、なにかしら身体に異変が起こっているサインです。早く気付いてあげることで、病気の重症化を防げる可能性があります。日頃から猫の様子を観察して、小さな異変にも気づけるようにしましょう。