更新日:2024年11月20日
犬のてんかんとは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。

この記事の監修者

獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
てんかんは脳障害ではありますが、脳の構造そのものは正常で、機能にのみ異常が起こる病気です。「突然脳に嵐が起こる」と表現されることもあります。
てんかん発作は、部分的で小さな発作から、全身を痙攣させる大きな発作までさまざまで、発作が起こる間隔もまちまちです。
てんかん発作を初めて目の当たりにした飼い主さんは、その様子にびっくりし、「このまま犬が亡くなってしまうのでは?」と心配されます。
しかし、通常、てんかん発作はすぐに治まり、犬は何事もなかったかのように普段どおりにふるまいます。
なぜ、てんかん発作が起こるのかの詳細については不明な点も多く、いまだ議論されています。
発作を起こす病気はたくさんあるので、血液検査や画像診断などをもちいて、ほかの発作を起こす病気(脳炎、脳腫瘍、水頭症、門脈シャントなど)と見分けます。
てんかん発作は、「焦点性発作」と「全般発作」に分類されます。
焦点性発作では、体の一部がピクピクと動く、口をくちゃくちゃと噛む仕草をする、吐き気がある、などの発作がみられます。
全般発作では、全身に力が入り突っ張る、ガクガクと動く、ぼーっとして反応が鈍い様子が見られる、などがあります。
あくびを繰り返すなどの小さな発作がみられることもあります。また、発作時に排尿や排便をしたり、大きな声で鳴いたりすることもあります。
発作時には、心配して、ついつい体を触ったり呼びかけたりしてしまいますが、余計な刺激を与えることになるのでやめましょう。
まわりに物がある場合はぶつかってケガをするようなこともありますので、物をよけてあげて静かに見守るようにしましょう。
また、発作があった日や、始まった時間と終わった時間をメモしておくと病院に行った際に役立ちます。
脳の構造に何らかの障害があることによって起こる疾患を「構造的てんかん(症候性てんかん)」といいます。原因として脳炎、脳奇形、脳腫瘍、外傷などがあります。
脳の構造自体には問題がなく、機能にのみ異常が起こる疾患を「特発性てんかん」といいます。遺伝などの関与も考えられていますが、てんかんが起きる詳しい原因は不明な点も多いです。
ゴールデン・レトリバー、ビーグル、シェパード、ボーダー・コリー、ボクサー、ダックスフンド、プードル などがかかりやすいです。
投薬
てんかん発作を抑える薬を内服します。
治療の目的は「発作の回数を少なくする」ことにあるため、発作頻度が月に1回未満の場合、通常は治療開始とはなりません。
また、「発作を完全になくす」ことはできません。発作の発現が3カ月に1回程度まで抑えることが治療の最終目的ですが、発作が現れるのを抑えられるようになるまで数年かかることもあります。薬を飲みながら定期的に血液検査を行い、発作の回数と血液中の薬の濃度をみながら投薬量を決めていきます。基本的に薬は一生涯必要になります。
1日に何度も発作を起こしていたり、発作が落ち着く前に、次の発作が始まったりする場合(てんかん重積)は、入院が必要になることもあります。
てんかんにかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
犬種:ダックスフンド(5歳)
内容:入院1日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 800円 |
| 半日入院 | 2,500円 |
| 検査 | 11,000円 |
| 全身麻酔 | 15,000円 |
| MRI | 78,000円 |
| 点滴 | 3,000円 |
| お薬 | 1,600円 |
| 合計 | 111,900円 |
遺伝の可能性があるともいわれております。残念ながら有効な予防方法はありません。
てんかんの発作が起きてしまった場合は、あわてず症状がおさまるまで余計な刺激を与えず静かに見守るようにしましょう。
また、発作の症状がどんなものだったか、どのくらいの時間だったかなどを記録しておき、病院に情報を伝え、その後の治療に役立てるようにしましょう。
脳外傷を起こす原因となるような事故など、思い当たるものがないかを問診で確認します。また、どのくらいの間隔で発作が起こったのか、どのような発作だったのかなども調べます。
血液検査や尿検査を行い、てんかん以外の神経症状を起こす疾患(中毒や臓器の機能不全など)を除外します。また、神経学的検査を行い歩行や姿勢の観察、反射や知覚の確認などを行い、発作時以外に神経症状があるか否かを確認します。
診断の精度を上げるために、2次診療施設や専門医の病院で、MRI検査、脳脊髄液検査、脳波検査などを行うこともあります。これらの検査には鎮静や全身麻酔が必要となります。