更新日:2024年1月31日
犬の便秘の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、便秘の原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
便は健康のバロメーターといわれることも多く、犬の便をチェックしている飼い主さんも多いと思います。
しかし、下痢に比べると、なんとなく見過ごしてしまうことが多いかもしれません。
食べ物や運動の見直しで改善する便秘もあれば、病気の症状として現れる便秘もあるので、注意して観察するようにしましょう。
食べ物の影響/水分不足
繊維質を過剰に食べる、自分の毛や消化しない異物を飲み込む、水分不足、などによって便が硬くなり便秘になります。
食事の変更をしたり、積極的に水分が取れるように、ドライフードをふやかして与えたり、スープを与えたりするのもいいでしょう。
運動不足
運動不足で消化管の動きが悪くなり便秘が起こることもあります。
ケガや病気で運動を控える必要があるという場合を除き、十分に運動をさせるようにしましょう。
加齢
加齢により筋力が低下して、便秘がちになることがあります。
生活環境の問題
トイレの場所が落ち着かなかったり、汚れたままだったりすると、排便を我慢して便秘になることもあります。
トイレは人の出入りが激しい場所は避け、常に清潔に保つようにしましょう。
内服薬の影響
まれに、病気の治療で飲んでいる薬の影響で便秘になることがあります。
処方された薬を飲み始めてから排便しづらいなどの様子が見られたときは、かかりつけの医師に相談をしてください。
以下の病気などにより、口臭が生じることがあります。
肛門に痛みを生じる病気
肛門嚢の炎症や、肛門の周りに細長い穴が開いていく病気などがあります。
直腸に痛みを生じる病気
直腸内の異物、直腸脱、直腸の炎症などがあります。
異物誤飲
飲み込んだ異物が原因で便秘が生じることがあります。
会陰ヘルニア
会陰(陰部から肛門にかけての場所)の筋組織にヘルニアが起こる病気です。
骨盤内に存在すべき臓器や脂肪が逸脱することで、肛門付近が腫れてきます。
オスで発症することがほとんどです。
直腸憩室
直腸の一部が袋状にふくらみポケットのような小部屋ができる病気です。
会陰ヘルニアとともに起こることが多く、排便が困難になるなどの症状が現れます。
骨折
交通事故などにより、骨盤や四肢の骨折することで排便が困難になります。
前立腺疾患
オスは尿道の周囲に前立腺があります。
その前立腺が炎症を起こしたり、腫瘍化したりすることがあります。
腫瘍
直腸内の腫瘍やポリープ、直腸近辺の臓器の腫瘍、リンパ節が腫れあがるなどの症状が起こることで、便が通りにくくなります。
脊髄疾患
脊髄の炎症や損傷などにより、神経伝達に異常が生じ、排便機能が正常に働かなくなることがあります。
便自体も消化管の動きも正常なのに排便時に痛みがあるため我慢をしてしまい便秘になる、というケースがあります。
これは、肛門の病気や、直腸の炎症、骨盤や四肢の骨折などがあてはまります。
これらが原因で便秘が起こっている場合は、治療で痛みの原因を取り除けば便秘も改善されます。
次に、便の通り道が狭くなり便秘になるケースがあります。
これは、前立腺疾患、直腸の腫瘍、直腸憩室、会陰ヘルニアなどがあてはまります。
また、神経の問題で排便障害が起き、便秘になるケースとしては、脊髄疾患、椎間板疾患などがあります。
どの病気も経過をみて治るものではありません。
排便しづらい様子がみられたり、便が細くなったり平らになったりする場合は、早い段階で病院に行くようにしましょう。