更新日:2025年1月8日
犬が痙攣をおこす原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、痙攣をおこす原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
犬が痙攣をおこしていたら、多くの飼い主さんがびっくりされるのではないでしょうか。
寝ているときや激しい運動の直後で筋肉がピクッと痙攣するような場合は心配はいりません。
しかし、病気の影響で痙攣を起こしている場合は早急な受診が必要です。また、てんかん発作の場合は対応が異なります。
筋肉疲労
過度に運動をすることで、筋肉が疲労しピクピクと痙攣を起こすことがありますが、とくに心配する必要はありません。
また、就寝時に四肢をビクッと動かしたり、バタバタを走るようなしぐさをしたりすることもありますが、それらも問題ありません。
以下の病気などにより痙攣が生じることがあります。
てんかん
脳の構造そのものは正常で、機能にのみ異常が起こる病気です。「突然脳に嵐が起こる」と表現されることもあります。
てんかん発作は、部分的で小さな発作から、全身を痙攣させる大きな発作までさまざまで、発作が起こる間隔もまちまちです。
脳炎
壊死性髄膜脳炎(通称 パグ脳炎)、壊死性白質脳炎などがあります。
脳腫瘍
脳に腫瘍ができることにより、痙攣などの神経異常が生じることがあります。
水頭症
脳脊髄液が正常量以上にたまることで、脳に障害を起こす病気で、さまざまな神経異常が生じます。
中毒
自然毒、薬品、細菌の毒素などの影響により急性中毒や慢性中毒を起こします。
腎機能不全
腎臓の機能障害が起こった場合、尿として出るはずの毒素が体内にたまり震えや痙攣などの神経症状が現れることがあります。
急性腎不全は、急激な腎機能の低下により死に至ることもありますが、適切な救急処置を行うことにより腎機能が回復する可能性があります。
一方、慢性腎不全は、腎臓が数か月から数年にかけて、徐々に機能低下を起こす病気です。
初期の頃は、ほとんど症状が出ないケースがありますが、残念ながら悪くなった腎臓は元に戻りません。
肝機能不全
急性肝臓病、慢性肝臓病、門脈シャントなどにより、肝臓の機能障害が起こった場合、肝臓で代謝されるはずの毒素が体内にたまり、震えや痙攣などの神経症状が現れることがあります。
低血糖
血液中の糖が著しく減少した状態をいいます。血糖値が下がることにより、発作などの神経症状が現れます。
以下に、受診の目安について説明します。
病院へ行く必要のない痙攣の症状について
筋肉疲労が明らかな原因として考えらえる場合は、落ち着くかどうか様子を見ましょう。
なお、特発性てんかんと診断されているうえで、痙攣の回数が許容範囲内や、てんかん発作の様子が見られる場合は、周りの物に当たってケガをすることがないよう見守りながら、発作が治まるのを待ちましょう。
そのほか、声をかけたり抱き上げたりすると、さらなる発作を生む場合があるため、静かに見守るようにしましょう。
ただし、長時間続くほか、一つの発作が治まる前に、次の発作が治まるような場合は、早急な受診が必要です。
病院へ行く必要のある痙攣の症状について
上記が原因として当てはまらない場合は、病気や中毒、臓器機能不全、低血糖などを疑い、受診しましょう。
筋肉疲労による痙攣は、取り立てて予防する必要はありませんが、健康な体を維持することが予防につながります。
そのため、栄養バランスのとれた食事を十分与えて、適度な運動をさせることが大切です。
また、そのほかの疾患が原因で痙攣を起こしている場合は、処方された薬をしっかりと投薬することや、定期的に受診をすることが一番の予防法です。