更新日:2022年5月12日
犬の糖尿病とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の執筆者
獣医師
三宅 亜希
獣医師/電話どうぶつ病院アニクリ24 院長
獣医師/電話どうぶつ病院アニクリ24 院長
糖尿病は、インスリンが足りない、もしくは正常に働かないことにより、血液中の糖が増える病気です。
通常、血液中の糖はインスリンにより細胞内に取り込まれ、各臓器を動かすエネルギーとして働きます。
しかし、糖を取り込むことができないと、血液中の糖の濃度は増え、逆に細胞内の糖は枯渇するという状況になります。犬の糖尿病では、膵臓(すいぞう)が働かなくなりインスリンを作れなくなることが多く、注射によるインスリン投与が必要になります。人の糖尿病でいう1型糖尿病によく似ています。
人の糖尿病
1型糖尿病
膵臓(すいぞう)がインスリンを作れなくなることにより糖尿病になります。そのため、インスリン注射が必要となります。
2型糖尿病
生活習慣や遺伝などにより、膵臓からインスリンが出にくくなったり、インスリンは出ているものの作用しにくくなったりすることにより糖尿病になります。
食事療法、運動療法、血糖値を下げる薬、場合によってはインスリン注射により治療されます。
※糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病を発症しているときに起こる緊急を要する病態で、食欲低下、元気消失、脱水などの症状が見られます。細胞がエネルギーを得るために糖の代わりに脂肪を分解しますが、そのとき作られるケトン体が増えすぎることが原因となります。早急に適切な治療を行わないと死にいたることもあり、点滴を流しながらの入院治療が必要になります。
インスリンを作る膵臓の細胞が機能しなくなり、生成できなくなることが原因です。
膵臓の細胞が機能しなくなるきっかけとして、クッシング症候群や避妊手術をしていないメスの黄体ホルモン分泌、免疫介在性疾患などがあげられます。
また、肥満も1つの要因になります。
ミニチュア・シュナウザー、プードルなどがかかりやすいです。
インスリン注射
欠乏しているインスリンを補うためにインスリン注射を使用します。インスリン注射は数種類あり、効果をみながら変更することもあります。
基本的に生涯必要となり、飼い主さんが自宅で打つことになります。
食事療法
糖尿病用の食餌(しょくじ)もありますが、犬の糖尿病では、よく食べる総合栄養食を最適な量食べればよいという考え方もあります。
糖尿病にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
犬種:ミニチュア・シュナウザー(5歳)
内容:入院2日
診療明細例 | |
---|---|
診療項目(内容) | 金額 |
診察 | 1,000 |
入院(2日) | 6,000 |
検査 | 12,000 |
点滴 | 8,000 |
注射 | 6,000 |
処方 | 5,000 |
合計 | 38,000円 |
適正な食事と運動
適度な運動と食事を心がけ肥満にならないように注意しましょう。
避妊手術
メスの場合、避妊手術を受けることで糖尿病になりにくくなります。
普段から健康管理に気をつけることが重要ですが、糖尿病だと思われる症状がみられたら早めに病院に行くようにしましょう。
この記事の関連コンテンツ