更新日:2024年8月21日
犬の歯周病とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
歯周病は、歯垢の中の細菌が原因となって起こる炎症です。
歯肉だけではなく、歯や歯の周囲にある靭帯、歯を支える骨にまで炎症が起こることがあります。
3歳以上の犬の8割ほどが歯周病を発症していると考えられています。
犬は人に比べると歯垢が歯石に変わるのがとても速く、歯石には歯垢が付きやすいため、悪循環が起こります。
口腔内だけの問題ではなく、細菌や細菌が生成する毒素などが全身に渡り、腎臓、肝臓、心臓などの各臓器までにも悪影響を与えることもあります。
歯周病は、適切な歯のケア(毎食後の歯ブラシなど)をすることで予防が可能です。
※歯肉炎
歯垢の中の細菌が原因となり炎症を起こすところは歯周病と同じですが、病巣が歯肉までのものを歯肉炎といいます。歯周病は歯肉炎が進行したものです。
歯が抜けたり、顔の皮膚に穴が開き歯根にたまった膿が排せつされたりすることもあります。 あごの骨に影響し骨折することもあります。
歯垢の中の細菌が原因となって起こります。
不十分な歯のケアで歯垢が残っていることなどが原因となります。
歯周病にかかりやすい犬種はとくにありませんが、大型犬よりもあごの小さい小型犬のほうが発生率や進行率が高いといわれています。
また、かむためのおもちゃ類を与えられていない犬や、かみ合わせの悪い犬、乳歯が抜けずに永久歯が生えてしまっている犬などに多くみられます。
歯垢・歯石の除去
全身麻酔をかけて歯石を除去し、歯周ポケットに入り込んだ歯垢もきれいに取り除きます。
ぐらつきがひどい歯は抜歯をし、抜いた穴は縫合します。
歯石を除去した歯の表面をつるつるに磨き、口腔内を徹底的に洗浄します。
歯周病にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
犬種:ミニチュア・ダックスフンド(11歳)
内容:手術1回、入院1日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 800円 |
| 半日入院 | 1,500円 |
| 検査 | 16,000円 |
| 全身麻酔 | 15,000円 |
| 歯科処置 | 35,000円 |
| 抜歯 | 24,000円 |
| 点滴 | 3,000円 |
| お薬 | 2,000円 |
| 合計 | 97,300円 |
自宅での歯のケアをすることが一番の予防です。また、歯磨き効果のあるおもちゃなどを日頃からかませるのもよいでしょう。
乳歯から永久歯に生え変わる時期(生後半年ころ)に、かかりつけ医に口腔内をチェックしてもらいましょう。
自然に抜け落ちない乳歯を抜歯することで将来の歯肉炎や歯周病の予防にもなります。
歯のケアに慣れさせる方法
@ 顔や口の周りを触る
A 手前の歯を触る
B 歯ブラシ(歯磨きシート)が顔の近くにあることに慣れさせる
C 歯ブラシ(歯磨きシート)で歯を触る
D 歯ブラシ(歯磨きシート)で歯を一本磨いてみる
すべてのステップは、ご褒美を与えながら行い、少しでも嫌がるそぶりを見せたらすぐにやめます。ステップを進めるのに焦りは禁物です。なかなか次のステップに進めないこともあれば、前のステップに戻ってやり直しをしたほうがいいこともあります。無理をして、嫌な思い、怖い思いをさせてしまうと、スムーズに進みませんので、少しずつ階段を上っていくイメージで行います。嗜好性の高い歯磨きペーストを利用するのもいいでしょう。