更新日:2023年5月31日
犬の嘔吐の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、嘔吐の原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。

この記事の監修者

獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
勢いよく食べた
勢いよく食べて吐いた後、また食べているようであれば、あまり心配しなくても大丈夫でしょう。
早食い防止用の食器を使用したり、少量ずつ与えてみたりするといいでしょう。
空腹時間が長い
胃がからっぽの時間が長く続くと、胃酸がたくさん分泌され、胃液を吐くことがあります。
朝ごはんの前に黄色っぽいものを吐いているときは、このケースが多いです。
まずは、少量のフードを与えてみて、よく食べて、吐くしぐさがなければ、少し時間をおいてから残りのフードを与えてみてください。
空腹による嘔吐が疑われるような場合でも、吐き気が続いたり、食欲不振がみられたりするようなときは、病院に行くようにしましょう。
食事内容や量を変更した
消化できないものや刺激物などを食べた
ストレス
内服薬の影響
以下の病気などにより、嘔吐することがあります。
感染性腸疾患
細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が感染することによって消化器症状を起こします。
炎症性腸疾患
原因不明の炎症により慢性的に消化器症状を起こします。
腸粘膜が異常な免疫反応を起こすことが要因になっていると考えられています。
膵炎
膵臓に炎症が起こる病気のことです。膵炎には、急性膵炎と慢性膵炎があります。
急性膵炎は、膵臓内の消化酵素が突然活性化されることで、膵臓自体を消化して炎症が起こる病気で、強い痛みをともなうことがあります。
軽度であれば命に関わるようなことはありませんが、重度になると合併症が起こり死亡することもあります。
一方、慢性膵炎は、少しずつ膵臓に炎症が起こり、膵臓が硬くなっていく病気で、腹痛などが起こることがあります。
腫瘍
犬では、腸にできる腫瘍としては腺癌、リンパ腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、炎症性ポリープなどがあります。
中毒
自然毒、薬品、細菌の毒素などの影響により急性中毒や慢性中毒を起こします。
食物アレルギー
特定の食べ物に対してアレルギー反応を起こす場合、食物アレルギーと診断されます。
異物誤飲
異物を飲み込んでしまったことにより、胃が刺激を受けたり消化管が通過障害を起こしたりして嘔吐が生じることがあります。
腸閉塞
腸が完全にふさがれている状態、もしくは、腸の内容物が深刻な通過障害を起こしている状態をいいます。
腸管の中がふさがってしまう「機械的閉塞」と腸管が正常な動きをできなくなる「機能的閉塞(麻痺性腸重積)」があります。
腎機能不全
腎臓の機能障害が起こった場合、尿として出るはずの毒素が体内にたまり嘔吐することがあります。
急性腎不全は、急激に腎機能が低下し死に至ることもありますが、適切な救急処置により腎機能が回復する可能性があります。
一方、慢性腎不全は、数か月から数年にかけて、徐々に腎機能が低下する病気です。
初期の頃は、ほとんど症状が出ないケースがありますが、残念ながら悪くなった腎臓は元に戻りません。
肝機能不全
急性肝臓病、慢性肝臓病などにより、肝臓の機能障害が起こった場合、肝臓で代謝されるはずの毒素が体内にたまり嘔吐することがあります。
脳炎
壊死性髄膜脳炎(通称 パグ脳炎)、壊死性白質脳炎などがあります。
熱中症
過度の熱に対して体が熱をさげることができなくなる状態で、41℃を超える高熱になり多臓器機能障害が引き起こされ、嘔吐することもあります。
気温や湿度が高いところでの過度の運動、車内に閉じ込められていた、水分補給のできない環境にいた、などが原因となることが多いです。
嘔吐は胃腸炎でよくみられる症状です。若い犬では誤飲事故による腸閉塞もよくみられます。
また、中毒や、神経の炎症、脳炎、臓器の機能不全で血中に毒素がたまり嘔吐する場合があります。
嘔吐は、さまざまな病気の症状として起こります。
激しい嘔吐がみられる場合は、早急に病院へ行くことが重要です。
嘔吐の回数が少なくても、以下のような症状がみられる場合は病院へ行くようにしましょう。
犬が吐くことは珍しいことではない、といわれています。
しかし、定期的に嘔吐を繰り返すようであれば、なにかしら身体に問題が生じている可能性が高いので、健康診断をかねて検査をしてもらうと安心です。