更新日:2024年4月23日
猫の脱水症状の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、脱水症状を起こす原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
脱水は体液が少なくなっている状態です。猫では、下痢や嘔吐などでたくさんの水分を失ってしまったり、食事や飲み水が制限されていたりする場合に、脱水症状を起こします。また、尿から必要な水分がたくさん失われてしまうことで起こることもあります。脱水は、単純に水分が失われるだけではなく、電解質のバランスも失われるため、体にさまざまな不調を起こします。
病気以外で起こる下痢や嘔吐
子猫などでは、食事の内容や量の変更などの影響で下痢や嘔吐をして脱水症状を起こすことがあります。下痢や嘔吐をしたあとに、食事をしっかり食べられているか、下痢や嘔吐が続いていないかを確認しましょう。下痢や嘔吐による脱水の場合、水分だけではなく、必要な電解質も一緒に摂取できる猫用の経口補液などを飲ませると有効な場合があります。
食事や水を十分に与えられていない
通常の生活下ではありえないことですが、食事や飲み水が与えられない環境にいる場合は、脱水症状を起こします。
利尿剤の使用
治療で利尿剤を使用している場合、尿量が増えて脱水症状を起こすこともあります。
獣医師の指示とおりに使用している場合は問題ありません。
以下の病気などにより、脱水症状がみられることがあります。
下痢や嘔吐を引き起こす疾患
感染性腸疾患、炎症性腸疾患、消化管腫瘍、中毒、食物アレルギー、膵炎、腸閉塞などの病気が原因で、脱水症状を起こすことがあります。とくに、くり返し何度も起こる嘔吐、水様性の下痢、などがみられる場合は危険性が高いです。
腎臓病
腎臓は、尿を作り排せつする過程で、血液から老廃物を取り除いて体から出してくれる働きをしています。腎臓の機能が低下すると、尿と一緒に必要な水分も排せつしてしまい、脱水症状を起こします。
糖尿病
糖尿病は、インスリンが足りない、もしくは正常に働かないことによって血中の糖が増える病気です。血液中にたまった糖分が尿の中に排出されることで、尿として排せつさせる水分量が増えて脱水症状を起こすことがあります。猫の糖尿病では、インスリンは出ているが不足している、もしくはインスリンは出ているが体が反応しない、というパターンが多いです。
適切な食事療法を行うことで改善されることもあります。体内のインスリンが十分に分泌されたり、機能したりすることで、注射によるインスリン投与が将来的に不必要になることもあります。
熱中症
熱中症は、過度の熱に対して体が熱をさげられない状態になることで、41℃を超える高熱を出し、多臓器機能障害が引き起こされます。
最悪の場合、命に関わることもあります。
電解質が入っている飲み物を与える
体から水分や電解質が失われる主な原因として、下痢、嘔吐などが挙げられます。病気以外の下痢や嘔吐の場合、猫用の経口補液などを飲ませると、よい結果を生むことがあります。猫が飲まない、飲めないような状態の場合は、スポイトなどを使って、少しずつ与えてあげるようにしましょう。あくまで応急処置なので、水分を与えたあとは、早めに受診するようにしましょう。
腎疾患などの病気で脱水を起こしている場合は、摂取する水分に注意が必要です。
早急な受診
腎臓病や糖尿病などで脱水を起こしている場合は、水や経口補液を飲ませるだけでは治療にはなりません。また、消化器疾患の場合も原因に対しての治療が必要となります。激しい下痢や嘔吐がみられる、慢性的な下痢や嘔吐がみられる、尿量がいつもより多い、尿の色が薄い、尿の匂いがあまりしない、などの場合は、早めに受診をすることをおすすめします。