更新日:2024年10月24日
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
膝には膝蓋骨というお皿状の骨がありますが、この膝蓋骨が正しい位置から外れる(脱臼する)ことを膝蓋骨脱臼といいます。
膝蓋骨を英語でpatella(パテラ)ということから、膝蓋骨脱臼を「パテラ」とも呼びます。
膝蓋骨は、大腿骨にある溝に収まるようになっており、靭帯によって支えられています。そのため、通常は膝蓋骨が正しい位置からずれてしまうことはありません。
しかし、小型犬は先天的に膝蓋骨がこの溝から外れやすく、多くは内側に外れます(内方脱臼)。
また、事故などにより脱臼することもあります。
大型犬で膝蓋骨が脱臼する際は、外側に外れることが多いです(外方脱臼)。
自然に脱臼した膝蓋骨を、肢を屈伸させることなどにより自力で元に戻すこともあり、その後、めったに脱臼を起こすことなく過ごす例もあります。
しかし、何度も脱臼を繰り返したり、後肢(後ろ足のこと)の骨が変形したり、靭帯が切れたりしてしまうこともあります。
動物病院では以下のように症状からグレード分けをします。
グレード1
膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、押すのをやめるとすぐに正しい位置へ戻る。
グレード2
膝蓋骨を指で押すと簡単に脱臼し、押すのをやめても正しい位置へ戻らない。肢を曲げたりひねったりすることで正しい位置に戻ることが多い。
グレード3
いつも脱臼している状態で、正しい位置に戻してもすぐにまた脱臼してしまう。
グレード4
いつも脱臼している状態で、正しい位置に戻せず、肢の骨がねじれるなど変形していることもある。
生まれつき靭帯などに異常があり脱臼しやすくなっている、発育していく段階で十分に骨や筋肉が成長しない、などが原因となります。
また、事故などによる外傷によっても発症します。
一般的に小型犬(ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、チワワなど)にみられることが多いといわれています。
投薬など
脱臼があっても症状がみられない場合や、軽い症状はあるものの数か月に1回程度脱臼する場合では、内科的な治療(内服薬、サプリメント、筋肉注射など)で経過をみることがあります。
外科手術
症状が進行する前に整復手術を行えば、手術時間も短縮され、回復も早まります。
脱臼の状態が長く続くと、後肢の骨がねじれて変形したり、膝蓋骨を支える靭帯が損傷したりすることもあります。
また、重症化した場合、手術を受けられなくなることもあるので、早期の外科治療が必要になります。
膝蓋骨脱臼(パテラ)にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
犬種:トイ・プードル(2歳)
内容:手術1回 入院6日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 800円 |
| 入院(5泊6日) | 15,000円 |
| 検査 | 25,000円 |
| 全身麻酔 | 15,000円 |
| 手術 | 165,000円 |
| 点滴 | 14,400円 |
| 処置 | 10,500円 |
| 注射 | 6,000円 |
| お薬 | 2,300円 |
| 合計 | 254,000円 |
体重管理
膝への負担を軽減します。たとえば2sの犬が2.3sになった場合、あまり変化がないように感じるかもしれませんが、60kgの成人が69kgになったのと同じだけ負担がかかるので、体重管理は重要です。
運動制限
適度な運動は健康維持には大切であり、筋肉の発達は膝関節を支えるうえでも重要です。
しかし、膝蓋骨脱臼(パテラ)との診断を受けた場合は、運動制限が必要な場合があります。
床材の見直し、足裏のケア
四肢が滑りやすいと思わぬ事故が起こったり、関節に負荷がかかったりすることがあります。
コルク板やカーペットなど、滑りにくい素材のものを敷く、フローリングに塗れる滑り止めなどを利用するとよいでしょう。
また、伸びすぎた足裏の毛や爪も、滑りやすくする要因ですので、定期的にチェックしてください。
歩き方、筋肉のつき方などを観察し、膝蓋骨が緩くないかなどを触診でチェックします。
具体的には、膝蓋骨が正常な位置から内側へ脱臼するものを内方脱臼、外側へ脱臼するものを外方脱臼と診断します。
また、レントゲン検査を行い、膝蓋骨の位置、大腿骨の溝の状態、骨の湾曲の有無などを確認します。
なお、「犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)ってどんな病気?」の症状の項目で説明したように、脱臼の程度によって、グレード1〜4にわけられます。グレードの分類は、レントゲン検査の結果なども考慮します。
前十字靭帯の断裂が併発している場合もあるため、前十字靭帯断裂の有無も触診などで確認します。