更新日:2024年9月10日
犬の認知症とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
認知症は、認知力が低下することによる行動の変化で、犬では12歳を過ぎる頃から発生率が高くなることが知られています。
脳の病理学的な変化や、神経伝達物質の減少などもみられます。一般的に、行動の変化は進行性であり、徐々に多くの行動変化がみられるようになります。
多くの飼い主さんは、認知症の症状を、高齢により活動量が落ちている、耳が遠くなったり目が見えにくくなり反応が鈍くなっている、と感じたりします。
認知症である場合は、進行を抑える方法があるので、なるべく早く病院に行くことが重要です。
認知症の5症候
認知症を発症した場合、以下の5つの行動変化が現れます。
@ 見当識障害
A 社会性や周囲環境とのかかわりの変化
B 睡眠と覚醒の周期の変化
C 不適切な排せつ
D 活動量や内容の変化
具体的には……
・同じところをグルグルと歩き回る
・何もないところをぼーっと見ている
・狭いところに入りたがり、入って身動きが取れなくなる
・今までできていたことができなくなる
・知り合いや飼い主などへの態度か変わる
・生活が昼夜逆転する
・粗相が増える
・抑揚のない、単調な声で鳴き続ける など
このような症状が出たら、認知症が疑われます。
「年のせいで若い頃とは違うだけかも」と思っていたら実は認知症だったということもあるため、病院に行き、行動変化を確認してもらうことが大切です。
認知症のはっきりとした原因はわかりませんが、脳の実質的な変化や神経伝達物質の減少などが確認されています。
柴犬など、日本犬がなりやすい傾向にあります。
適度な運動や睡眠
生活の中で適度な刺激を与えることが大切です。運動をするように促したり、おもちゃを使用して一緒に遊んだり、触れ合う時間を増やしたりします。
また、夜によく眠れるよう日中にたくさん活動させることも重要です。
食事の変更、サプリメントの摂取
DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などがたくさん含まれたフードに変更したり、サプリメントで補ったりすることで、認知力や記憶力などの向上が期待されます。神経伝達物質を増加させるような薬を使用することもあります。
認知症は徐々に進行していく病気ですが、これらの治療を行うことで、進行を抑えます。
犬が認知症になると飼い主さんの負担も多くなりますが、家族で協力したり、高齢犬のデイケアを利用したりしながらできるだけ楽しい時間を犬とともに過ごすようにしましょう。
認知症にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
犬種:マルチーズ(7歳)
内容:通院1日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 500円 |
| 神経学的検査 | 3,000円 |
| 処置 | 2,100円 |
| 合計 | 5,600円 |
認知症の予防方法は、「年だから」と静かに過ごさせすぎないことです。過剰な運動をする必要はありませんが、一緒に過ごす時間を減らさず、スキンシップを大切にしましょう。また、DHA、EPA、抗酸化物質を含んだフードを与えることも有効であると考えられています。