更新日:2024年1月31日
犬のフケの原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、フケの原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
フケは、古くなって剥がれ落ちた皮膚の角質です。そのため、皮膚が正常に代謝しているかぎりフケが出るのは当たり前です。
通常、日頃のブラッシングやシャンプーなどで除去されるため、フケが気になることは少ないでしょう。
もし、急にフケが気になるほど多くなっているのであれば、スキンケアの方法に見直しが必要かもしれません。
また、場合によっては皮膚の病気にかかっているおそれもあります。
乾燥
空気が乾燥していると皮膚も乾燥します。そのため、冬の乾燥した時期にフケが目立つことがあります。
加湿器を使用したり、被毛にスプレーする保湿剤などを活用したりするとよいでしょう。
誤ったスキンケア
ブラッシング不足やシャンプー不足でフケが出てくることもあるので、こまめなブラッシングや定期的なシャンプーが必要になります。
しかし、シャンプー剤で皮脂を取りすぎることで、フケが多くなることもあるので、洗いすぎには注意が必要です。
洗う回数を見直す、保湿性のあるシャンプー剤を使用する、シャンプー剤を皮膚に直接つけず泡立てたものをつける、などを実践するといいでしょう。
汚れが気になるので、こまめに洗いたいという場合は、毎回シャンプー剤を使うのではなく、湯船につからせお湯だけで汚れを洗い落とすというやり方を取り入れるといいでしょう。
極度のストレス
犬では、まれに極度の恐怖を感じた際に、急にフケが浮いてくるという症状がみられた事例もあります。
以下の病気などにより、口臭が生じることがあります。
感染性皮膚炎
@ 寄生虫によるもの(ツメダニ症、疥癬、毛包虫症など)
とくに、ツメダニ症は通称「歩くフケ」と呼ばれるほど大量のフケが出る特徴があります。
毛包虫は健康な犬の皮膚に常に存在する微生物ですが、犬の免疫が抑制される状態になると大量に増殖し、皮膚に症状がでます。
A 真菌(カビ)によるもの(皮膚糸状菌症、マラセチア皮膚炎)
皮膚糸状菌の主な症状は脱毛です。
マラセチアは健康な犬の皮膚に常に存在する菌ですが、高温多湿の環境や、ほかの皮膚炎が起こっている場合などに増殖し、皮膚に症状がでます。
B 細菌によるもの(膿皮症)
犬の皮膚に常にいる菌のひとつ「ブドウ球菌」が、異常に増殖してしまったために起こる皮膚の病気です。
犬の皮膚は人に比べると薄さやpHの違いなどから、皮膚の状態が健康であったとしても膿皮症を発症しやすいことがわかっています。
病変が表皮内にかぎられる表在性膿皮症と、もっと深い真皮に起こる深在性膿皮症があります。
アレルギー性皮膚炎
食べ物のたんぱく質に対してアレルギー反応を起こす食物アレルギーや、ノミの唾液に対してアレルギー反応を起こすノミアレルギー性皮膚炎があります。
アトピー性皮膚炎
生活空間の中に存在するハウスダストやダニなどに対してアレルギー反応を起こし、皮膚に症状がでます。
脂漏症
皮膚の角質が過剰に剥がれ落ちる症状で、特定の犬種に起こりやすいです。
一方で、さまざまな皮膚の病気が原因となり続けざまに脂漏症となることがあります。この場合は、どの犬種にも起こりえます。
脱水や栄養失調
重度の脱水や栄養失調を起こしている場合、皮膚も水分不足や栄養不足を起こし、毛がぱさついたり、フケが生じたりすることがあります。
フケ自体は皮膚の自然な代謝によるものですが、大量のフケが見られたり、フケとともに、かゆみ、赤み、脱毛、べたつき、などのほかの症状が出ていたりするときは、皮膚の病気が疑われます。かゆみから身体をかくことで、炎症がひどくなったり、細菌の二次感染を起こしたりすることもあります。皮膚の病気の原因にもよりますが、病院に行くと、内服薬やシャンプーなどが処方されることが多いでしょう。
脱水や栄養失調が起こっている場合は、食欲不振、元気がなくなる、体重の減少などや、尿から異常に水分を失う糖尿病・腎臓病による多飲多尿などの症状がみられます。そのため、フケという症状に気付く前に犬の異変に気付けるでしょう。異変に気付いたら、早めに病院に行き、検査と治療を行うようにしましょう。