更新日:2024年9月10日
犬のチェリーアイとは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
チェリーアイとは、目頭にある第三眼瞼(瞬膜)が飛び出してしまう病気です。正式には「第三眼瞼腺脱出」といいます。
第三眼瞼は下まぶたの内側にあり、眼球を保護したり、涙を分泌したりする大切な役割を担っています。普段は目頭の中に隠れているため見えることはありませんが、睡眠時などに確認できるかもしれません。チェリーアイは、第三眼瞼の根元の付け根がゆるむことによって起こり、ほとんどは1歳未満の子犬で発症します。
片方のチェリーアイを手術で治してから、もう片方もチェリーアイになることがありますが、これは防ぎようがなく、予防薬などもありません。
チェリーアイと似た病気として、第三眼瞼の腫瘍(扁平上皮癌、リンパ腫、線維肉腫)や、第三眼瞼腺の腫瘍(腺腫、腺癌)があります。これらは通常、高齢犬でみられる病気ですので、高齢犬でチェリーアイの症状がある場合は、腫瘍かどうか検査をする必要があります。
片側もしくは両側の目頭に赤いものが飛び出しているのに気がつくと思います。これがさくらんぼのように見えるため、通称チェリーアイと呼ばれています。
腫れた第三眼瞼の刺激により、涙や目やにがみられたり、角膜や結膜に炎症を起こしたりすることもあります。
違和感から眼をこすり、眼球を傷つけることがあるため、エリザベスカラーなどを装着します。
多くは、先天的に第三眼瞼の付着が弱いことが原因となります。
外傷などでチェリーアイになることもありますが、ビーグル、コッカー・スパニエル、ペキニーズ、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグなどは先天的に起こりやすい犬種といわれています。
投薬
炎症を抑える点眼薬を持続的に使用します。
あわせてエリザベスカラーなどで眼をこすらせないようにすることも重要です。
外科治療
軽度であれば、綿棒などで押し込むことで一時的に治せますが、すぐに再発してしまいます。
一般的な外科治療は、飛び出した第三眼瞼を元の正常な位置にもどして縫い合わせる方法です。この治療をしても再発の可能性はあります。
昔は飛び出した第三眼瞼腺を切り取る処置をしたこともありました。しかし、涙を作る大切な器官を切り取ると涙が足りず眼球が乾き、乾性角結膜炎を発症する危険が高くなるため、今はこの処置をすることはありません。
チェリーアイにかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金支払いデータを元にした治療費の例を見てみましょう。
犬種:シー・ズー(1歳)
内容:通院1日
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 500円 |
| 眼科検査 | 1,000円 |
| 処方 | 1,500円 |
| 合計 | 3,000円 |
遺伝的な素因が多いため予防は難しいです。
初期のうちに、再発しないようしっかり治療しましょう。