更新日:2024年8月29日
犬の緑内障とは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
緑内障は、視神経や網膜に変化を起こして視力を失う恐れがある病気です。
眼圧を下げることにより目の障害を抑えられます。眼圧というのは、「眼球の圧」のことで、簡単にいうと眼球の硬さです。
眼球内は眼房水という液体で満ちています。空気がたくさん入ったボールは硬く、抜けると柔らかいのと同じで、眼球内の眼房水の量が多いと眼球が硬い、少ないと柔らかい、となります。眼房水は、常に分泌を繰り返し一定の量を保っているので、眼圧も一定に保たれます。
一般的に緑内障は、眼房水が増え眼球の圧が上昇することにより、視神経に障害を起こす病気です。
人では眼圧が正常なのに緑内障になることが多いですが、犬ではほとんどの場合に眼圧の上昇が見られます。
眼房水が多くなる原因は、産みだす量の増加よりも、流出量の低下が一般的です。流出量の低下は、遺伝的な素因により流出する場所に閉塞が起こったり、ぶどう膜炎などの眼の病気から続発して起こったりします。
おそらく、目が大きく見える、目を痛そうにしばしばさせる、などの症状が出ている時点で視野が狭くなるなどの視力の異常が起きていることが予想されます。
しかし、飼い主さんがそれに気付くことは難しく、眼球に異常がみられて初めて気付くのが一般的だと思います。
また、前述のとおり、ぶどう膜炎から緑内障になることは多く、ぶどう膜炎は角膜に深く傷がついた状態から進行していくこともあります。
そのため、角膜の潰瘍(角膜が白く濁っていたり、毛細血管ができていたりする)があるときも要注意です。
病状が進行し末期になると、視力の回復は見込めません。
先天緑内障
先天的な房水の流出路の形成異常によるもので、犬ではまれです。
原発性緑内障
遺伝的な素因による目の構造の異常により眼房水が正常量以上に貯留することにより発生します。
続発性緑内障
眼圧が上昇するような眼の病気があり、緑内障が発生します。ぶどう膜炎のほかにも、水晶体脱臼や眼内腫瘍なども原因となります。
眼房水が流れ出る場所の発育不全や狭窄などには、遺伝的要因があると考えられています。
シベリアン・ハスキー、秋田犬、サモエドなどの北極圏原産の品種や、スパニエル種、チャウ・チャウ、シャー・ペイ、トイ種などで発生リスクが高くなります。
投薬
治療の目的は視力低下や痛みの原因となっている眼圧を低下させることなので、眼圧を下げる目薬などを使用します。
場合によっては、経口薬をもちいることもあります。
外科治療
眼房水の流出がスムーズに行えるように、出口を広げる外科手術が選択されることもあります。
続発性緑内障の場合は、原因の眼の病気がなにであるかを特定し、必要な治療を行います。
緑内障にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金請求データをもとにした治療費の例を見てみましょう。
犬種:柴犬
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察料 | 1,000円 |
| 一般眼科検査 | 3,000円 |
| 眼圧検査 | 4,000円 |
| 外用薬 | 5,000円 |
| 合計 | 13,000円 |
角膜の傷からぶどう膜炎になり緑内障を起こすこともあるので、眼の異変に気付いたらすぐに病院に行くようにしましょう。
また、緑内障好発種では、眼科専門医などで定期的に検診を受けることも有効です。