更新日:2024年9月10日
犬ジステンパーウイルスとは、どのような傷病なのでしょうか?
症状や原因、治療法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
犬ジステンパーウイルス感染症は、犬ジステンパーウイルスによる伝染性疾患で、空気または飛沫によって感染します。
母親からの移行抗体がなくなる時期の子犬で感染の危険性が一番高まります。
鼻や喉から侵入したウイルスは、その後、体内のリンパ節で増え、呼吸器、消化器、中枢神経など、全身に広がります。
感染初期には、発熱程度の症状しかみられないこともありますが、感染後2週から数カ月で死亡することも多く、死亡率の高い急性の病気です。
重度の症状が出るかどうかは、個体の免疫反応(生体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入した際に、これらを排除するために働く動き)が影響すると考えられています。犬ジステンパーウイルス感染症の予防として、ワクチンが存在しますが、まれにワクチン接種後に犬ジステンパーウイルス感染症と似た症状を起こすこともあります。
初期は、発熱、元気消失、食欲不振、鼻汁など一般的な風邪の症状と大差がないため、子犬で多くみられるケンネルコフだと思い、すぐに気がつけないことも多いでしょう。多くはその後、消化器や呼吸器で細菌の二次感染を起こし、症状がさらに悪化します。
鼻やパッド(肉球)の角化は、ジステンパーウイルスの典型的な症状だといわれています。
しかし、すべてのジステンパーウイルスで症状が出るわけではありません。ジステンパーウイルスに感染した犬の体内で、強い免疫反応が起これば回復が見込めることもありますが、免疫反応がほとんど起こらない場合は急死することもあります。また、初期の風邪に似た症状が治まったとしても、その後、痙攣や歩行異常などの重篤な神経症状を起こすこともあるので注意が必要です。
犬ジステンパーウイルスに感染することで発症します。
犬ジステンパーウイルスに感染した犬や野生動物との接触や、感染した犬の咳やくしゃみなどで空気中に飛散したウイルスを吸い込んでしまうことにより感染します。
どの犬種でもかかる可能性があります。とくに予防接種が済んでいない子犬がかかりやすいです。
対症療法
犬ジステンパーウイルスに有効な薬はないため、症状を軽減し自然治癒力を高める対症療法を行うことになります。ほかの犬への感染を避けるため隔離した場所で入院し、脱水や乱れた電解質バランスを整えるために静脈点滴などを行います。細菌の二次感染を防ぐための薬も使用します。
犬ジステンパーウイルス感染症にかかってしまった場合、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか?
保険会社の保険金支払いデータを元にした治療費の例を見てみましょう。
犬種:ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(3歳)
内容:通院1回
| 診療明細例 | |
|---|---|
| 診療項目(内容) | 金額(円) |
| 診察 | 1,000円 |
| 点滴 | 2,000円 |
| 注射 | 1,500円 |
| 合計 | 4,500円 |
ワクチン接種
生後6〜12週程で母親からの移行抗体が失われ、感染しやすい状態になります。この時期に複数回のワクチン接種を行い、犬ジステンパーウイルスに対する抗体をしっかりと作っておくことが大切です。また、ワクチン接種が完了していない子犬の場合は、ほかの犬や野生動物との接触を避けるようにしましょう。