更新日:2024年1月31日
犬が肢を引きずる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、肢を引きずる原因として考えられる病気や対処法について見てみましょう。
この記事の監修者
獣医師
三宅 亜希
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
TRIPECT lab.代表、東京都獣医師会広報委員
犬が肢を引きずるしぐさには、さまざまなものがあります。
あきらかに肢を引きずる、といったわかりやすい場合や、少しつま先をするようにして歩く、といったわかりづらい場合もあります。
もしかしたら、重大な病気が隠れている可能性もあるので、散歩のときなどに犬の様子を観察しましょう。
気になるしぐさがみられたら、病院に行くようにしましょう。
学習(肢を痛めたときに、かまってもらった経験)
病気以外で考えられる原因はほとんどありません。前に肢を痛めた際に、飼い主さんが心配しておやつをくれた、いつも以上にかまってくれた、などいいことがあった経験を学習した犬が、悪いところがなくても肢を引きずることがあります。病院で検査しても異常が見つからない、飼い主さんが見ていないところでは普通に歩くという場合は、この可能性が考えられます。
軽度の痛み
関節や筋肉が軽度に痛む場合、肢を引きずることがあります。
強い痛みやするどい痛みの場合は、肢を引きずるよりも、肢をあげて地面と接触しないようにすることが多いです。
脊髄疾患
外傷、脊髄炎、馬尾症候群、椎間板ヘルニア、環軸椎脱臼などにより、脊髄に障害があると、神経の伝達が正常に行われず、肢にマヒが起こります。
脳炎
壊死性髄膜脳炎(通称 パグ脳炎)、壊死性白質脳炎などがあります。
腫瘍
神経や脳に腫瘍ができることにより、神経異常が生じることがあります。
重症筋無力症
神経と筋肉が接合している場所で、正常に神経伝達物質が伝わらないと起こる病気で、筋肉の虚弱が起こります。
突発性多発性筋炎
原因不明で筋肉が炎症を起こす病気で、筋萎縮や痛みが発生します。
肢を引きずるしぐさは、基本的に神経疾患によってマヒを起こしているときに多く見られます。
突然のマヒが見られることもありますが、病気によっては肢を引きずる前に、運動を嫌がる、ソファに飛び乗らない、段差を登らないなど、普段と違う様子が見られることもあります。そのような症状がある場合、早めに病院に行くように心掛けましょう。
また、肢を引きずる症状がある場合は、早急に、必要な検査を受け、適切な治療をしてもらいましょう。
※跛行
肢を引きずる、肢を地面につかないようにあげる、ひょこひょこと体重をかけないようにする、不自然に腰がゆれる、など、正常でない歩行のことをいいます。
跛行をする原因としては、外傷、神経疾患、関節疾患、筋疾患、骨・関節疾患などさまざまです。