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更新日:2025年7月8日

介護保険制度とは

介護保険制度とは、どんな制度かわかりやすく解説します。いつから加入するの?どんな保障が受けられるの?どうやって申請すればいいの?など疑問を解決!


介護保険制度の概要

介護保険制度は、2000年4月からスタートした市区町村が運営する制度で、3年ごとに見直しされ、介護の実情に合わせ改正が行われています。この制度では、40歳以上で医療保険(健康保険・共済組合など)の加入者は、被保険者として介護保険に加入する義務が生じます。 保険料は強制徴収されますが、市区町村に要支援・要介護認定を認定された場合に、所定の介護サービスを1割の自己負担(一定所得者は2〜3割負担)で受けることができる制度です。

(図1-1)介護保険制度の概要

介護保険制度の概要のイメージ
  • 令和3年 介護保険制度(厚生労働省)を加工して作成

介護保険の保険料

65歳以上の人(第1号被保険者)と、40〜64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)では、保険料の納付方法も計算方法も異なります。

65歳以上の人(第1号被保険者)の保険料

まず、保険料納付方法は、通常、年金からの天引きとなりますが、年金額が年間18万円に満たない場合は、市区町村へ個別に納付する必要があります。また、納付する保険料は、住民税の課税状況、つまり前年の所得に応じて13段階(市区町村によってはさらに細分化される)に設定されています。この保険料は介護保険法に基づいて、3年に一度は見直しが実施されています。

40〜64歳までの公的医療保険加入者(第2号被保険者)の保険料

まず、保険料納付方法は、ご加入の健康保険や共済組合の保険料に上乗せされて支払うことになります。通常は、事業者との労使折半(半額負担)となります。また、納付する保険料は、医療保険者ごとに計算方法が異なります。職場の健康保険に加入している場合は、原則として標準報酬月額に応じて決まります。国民健康保険に加入している場合は、前年の所得などに応じて決まります。

要支援・要介護認定の申請

介護保険を利用する場合、まず、介護が必要な状態かどうか市区町村の認定を受ける必要があります。市区町村に申請すると、原則30日以内に認定結果が通知されます。要介護度により、利用できるサービスの総額やサービスの種類が異なります。

(図3-1)介護認定の流れ

介護認定の流れイメージ

市区町村の窓口に申請すると、調査員が自宅や病院に来て、約70項目の質問項目に従い、心身の状態を調べたり、本人・家族への聞き取りや様子の観察をしたりして判断します。その結果をコンピューターに入力し、1次判定の「要介護認定等基準時間」を算出します。これは過去の調査データから、同じような心身の状態の人に対する介護の手間がどの程度かかるかを統計的に予測したものです。

ただし、統計データが被保険者の状態と一致するとは限らないため、調査員が家族から介護にかかる手間や時間を具体的に聞き取り、「特記事項」として記入することになっています。その内容と「主治医意見書」により、介護認定審査会にて2次判定が行われます。

介護認定の基準と利用できるサービス

要介護認定は、介護にかかる手間の時間を「要介護認定等基準時間」として算出し、(表4-1)の基準にあてはめ、さらに痴呆(ちほう)性高齢者の指標を加味して判定が行われます。
要支援1〜2の場合は、地域包括支援センターがどんなサービスをどれくらい受けるかを決める「介護予防ケアプラン」を作成し、それに則した介護予防サービスを利用することができます。
要介護1〜5の場合は、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)が「ケアプラン」の作成を行い、それに則した介護サービスを利用することができます。
要支援や要介護と認定された方が利用できる居宅サービスの目安を、1か月あたりの利用限度額範囲内で示します。目安としてご確認ください。

(表4-1)要介護度別の身体状態の目安と、利用できる居宅サービスの目安

介護認定 要介護認定
基準時間
 身体状態の目安  居宅サービスの目安
自立 25分未満 介護認定されず、自立した状態
歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行うことが可能で、かつ、薬の内服、電話の利用などの動作を行う能力もある状態。
対象外
要支援 1 25分以上
32分未満
社会的支援を必要とする状態
食事や排せつなどはほとんど1人でできるが、立ち上がりなど日常生活の一部に手助けが必要で、その軽減や悪化予防のために支援を要する状態。
週2〜3回のサービス
・週1回の介護予防訪問看護
・週1回の介護予防訪問リハビリテーション
・月3回の介護予防短期入所療養介護
2 32分以上
50分未満
生活に支援を要する状態
要支援1の状態から、日常生活動作を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援や部分的な介護が必要となる状態。
週3〜4回のサービス
・週2回の介護予防訪問看護
・週2回の介護予防訪問リハビリテーション
・月4回の介護予防短期入所生活介護
・介護予防福祉用具貸与
要介護 1 部分的介護を要する状態
要支援2の状態から、日常生活動作を行う能力が一部低下し、日常生活を送るには何らかの介助が必要な状態。
1日1回程度のサービス
・週3回の訪問介護
・週1回の訪問看護
・通所リハビリテーション
・月4回の短期入所生活介護
・福祉用具貸与
2 50分以上
70分未満
軽度の介護を要する状態
食事や排せつに何らかの介助が必要であり、立ち上がりや歩行などにも支えが必要。認知力や記憶力に衰えが見られることも。
1日1〜2回程度のサービス
・週3回の訪問介護
・週1回の訪問看護
・通所リハビリテーション
・月5回の短期入所生活介護
・福祉用具貸与
3 70分以上
90分未満
中度の介護を要する状態
食事や排せつに一部介助が必要。立ち上がりなどが1人でできない。入浴や衣服着脱などの全面的な介助が必要。いくつかの問題行動や認知力・理解力の低下が見られることも。
1日2回程度のサービス
・週3回の訪問介護
・週1回の訪問看護
・夜間対応型訪問介護
・通所リハビリテーション
・月5回の短期入所生活介護
・福祉用具貸与
4 90分以上
110分未満
重度の介護を要する状態
食事にときどき介助が必要で、排せつ、入浴、衣服着脱に全面的介助が必要。介護なしで日常生活を送ることは困難。多くの問題行動や全般的な理解力の低下が見られることも。
1日2〜3回程度のサービス
・週4回の訪問介護
・週1回の訪問看護
・夜間対応型訪問介護
・通所リハビリテーション
・月5回の短期入所生活介護
・福祉用具貸与
5 110分以上 最重度の介護を要する状態
食事や排せつなどが1人でできないなど、介護なしで日常生活を送ることがほぼ不可能な状態。多くの問題行動や理解力の低下が見られることも。
1日3〜4回程度のサービス
・週5回の訪問介護
・週2回の訪問看護
・夜間対応型訪問介護
・通所リハビリテーション
・月5回の短期入所生活介護
・福祉用具貸与
  • 令和3年 介護保険制度(厚生労働省)、介護サービス情報公表システム(厚生労働省)を加工して作成

介護サービス利用時の費用

自己負担割合の判定

介護認定されれば、介護サービス利用時に介護保険を適用することができますが、無料でサービスを受けられるわけではありません。(図5-1)の判定方法で、自己負担の割合が1割・2割・3割と変わります。
まず、65歳以上の被保険者のうち所得上位20%に相当する160万円以上の人を基準として判定します。次に、合計所得金額が160万円以上であっても、単身世帯での実質的な所得が280万円に満たないケースや、2人以上世帯にいて所得が346万円に満たないケースについては、その負担能力を考慮して1割負担にします。

(図5-1)介護保険における自己負担割合の判定

介護保険における自己負担割合の判定
  • 第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)、市区町村民税非課税の方、生活保護受給者は上記に関わらず1割負担
  • 出典:介護保険制度 一定以上所得者の負担割合の見直しについて 平成30年8月施行(厚生労働省)

居宅サービスの1か月の利用限度額

自己負担が判定され、1〜3割負担となったとして、すべてが無制限で利用できるわけではありません。要介護認定の度合いによって、居宅サービスを受ける場合の1か月の利用限度額が決められています。利用限度額を超えた超過費用については、全額自己負担となります(図5-2)。

(図5-2)居宅サービスを利用時の介護保険の自己負担(1割の場合)

居宅サービスを利用時の介護保険の自己負担(1割の場合)

要支援1では50,320円、要介護5では362,170円が上限となっており、うち自己負担は1割(一定所得者は2〜3割)となります。自己負担は1単位=10円となっており、1000単位=1万円の介護サービスを利用した場合、自己負担は1,000円で済みます。ただし、地域によって単位に差があり、1級地(東京23区)から7級地まで地域加算が上乗せされる場合があります。

(表5-1)居宅サービス利用時における介護認定別、1か月の利用限度額および自己負担額

介護認定 1か月の利用限度額 うち自己負担(1割の場合)
要支援 1 50,320円 5,032
2 105,310円 10,531
要介護 1 167,650円 16,765
2 197,050円 19,705
3 270,480円 27,048
4 309,380円 30,938
5 362,170円 36,217
  • 出典:介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 サービスにかかる利用料(厚生労働省)

表5-1より、受給者1人あたりの平均費用は、1か月の利用限度額を超えていないため、自己負担は数万円で済むことがわかります。しかし、毎月数万円の負担は決して軽いものではありません。また、要介護度合いが進むにつれて、利用限度額を超過する人が5%(20人に1人)の割合で発生している点にも注意が必要です。

施設サービスの自己負担の目安

施設サービスの利用限度額は、施設の種類、個室か多床室(相部屋)か、介護要員数など住環境の違いによって己負担額が変わります。また、おむつなどの消耗品や施設での食事、施設の滞在費は、介護保険の対象外となるため、居宅サービスと比較すると自己負担の費用は増します。

(図5-3)施設サービスを利用時の介護保険の自己負担(1割の場合)

施設サービスを利用時の介護保険の自己負担(1割の場合)

(表5-2)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1か月の自己負担の目安

費用項目 要介護5の人が
多床室を利用した場合
要介護5の人が
ユニット型個室を利用した場合
施設サービス費(1割負担) 約26,130円 約28,650円
居住費 約27,450円(915円/日) 約61,980円(2,066円/日)
食費 約43,350円(1,445円/日) 約43,350円(1,445円/日)
日常生活費 約10,000円(施設ごと異なる) 約10,000円(施設ごと異なる)
1か月の自己負担合計 約106,930円 約143,980円
  • 出典:介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 サービスにかかる利用料(厚生労働省)

高額介護サービス費でさらに軽減

公的介護保険の給付によって自己負担が1〜3割になることは前述しました。しかし、要介護者が同一世帯に複数名いた場合は、家計は火の車になります。そこで、同一世帯の自己負担が一定額を超えると、超えた金額が市区町村から払い戻される「高額介護サービス費」という制度を利用します。

(図5-4)高額介護サービス費の概要

高額介護サービス費の概要

月ごとの領収書をそろえておき、市区町村の窓口で申請しますが、払い戻されるのは約3か月後となります。

(表5-3)高額介護サービス費の自己負担限度額

区分 1か月の自己負担限度額
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 140,100円/世帯
課税所得380万円(年収約770万円)〜課税所得690万円(年収約1160万円) 93,000円/世帯
市区町村税課税〜課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円/世帯
住民税非課税 24,600円/世帯
  ・課税年金収入額+合計所得金額が80万円以下
・老齢福祉年金を受給している方
24,600円/世帯
15,000円/個人
生活保護受給者 15,000円/個人
  • 出典:介護保険 高額介護サービス費の負担限度額の見直し 令和3年8月(厚生労働省)

施設サービスを利用時の食費・居住費・日常生活費については対象外となります。


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