更新日:2022年11月14日
介護サービスの種類とその利用法について解説します。
介護保健サービスは直接介護施設に申し込めば、利用できるというものではありません。市区町村の窓口に相談し、要介護認定を受け、支援センターに連絡の後、介護事業者との契約となります(図1-1)。
何からはじめていいのか、どこに相談すればいいのかわからないという方は、まずはお住まいの市区町村の窓口に相談してみましょう。
介護保険を利用するにあたって、原則は「償還払い(後で払い戻し)」で介護サービスの利用が可能になります。しかし、計画的な利用を条件に「現物給付(その場で給付)」が可能になります。この計画的な利用のためには、「ケアプラン(介護サービス利用計画書)」と呼ばれる計画書を事前に作成することが必要です。
介護給付を利用する場合は、利用者の依頼によって居宅サービスなら居宅介護支援事業者、施設サービスなら介護保険施設とそれぞれに所属する介護支援専門員(ケアマネージャー)がケアプランを作成します。また、利用者自身が作成することも可能です。このケアプラン作成の費用は、全額が保険給付となり自己負担は発生しません。
居宅介護支援事業者にケアプランの作成を依頼する場合は、事業者と利用契約を結びます。その後、利用者「居宅サービス計画作成依頼届出書(ケアプラン作成をどの業者に依頼したか)」を市区町村に提出することで現物給付が開始されます。
要介護状態で利用できるサービスは「介護給付」になり、(表3-1)のようなサービスがあります。
(表3-1)介護給付(要介護1〜5)
指定・監督者 | 利用できる介護サービス |
---|---|
都道府県 政令指定都市 中核市 |
■ 居宅サービス 訪問介護 / 訪問入浴介護 / 訪問看護 / 訪問リハビリテーション / 居宅療養管理指導 / 特定施設入居者生活介護 / 特定福祉用具販売 / 通所介護 / 通所リハビリテーション / 短期入所生活介護 / 短期入所療養介護 / 福祉用具貸与 ■ 施設サービス 介護老人福祉施設 / 介護老人保健施設 / 介護療養型医療施設 ■ 居宅介護支援 |
市区町村 |
■ 地域密着型サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 / 夜間対応型訪問介護 / 認知症対応型通所介護 / 小規模多機能型居宅介護 / 看護小規模多機能型居宅介護 / 認知症対応型共同生活介護 / 地域密着型特定施設入居者生活介護 / 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 |
居宅サービスとは、自宅で暮らしながら利用できるサービスになり、施設サービスは、施設に入居して利用する介護サービスとなります。また、地域密着型サービスとは、住み慣れた地域で暮らし続けるための介護サービスとして位置付けられています。
また、要支援状態で利用できるサービスは「予防給付」になり、(表3-2)のようなサービスがあります。
(表3-2)予防給付(要支援1・2)
指定・監督者 | 利用できる介護サービス |
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都道府県 政令指定都市 中核市 |
■ 介護予防サービス 介護要望訪問介護 / 介護予防訪問入浴介護 / 介護予防訪問看護 / 介護予防訪問リハビリテーション / 介護予防居宅療養管理指導 / 介護予防特定施設入居者生活介護 / 特定介護予防福祉用具販売 / 介護予防通所介護 / 介護予防通所リハビリテーション / 介護予防短期入所生活介護 / 介護予防短期入所療養介護 / 介護予防福祉用具貸与 |
市区町村 |
■ 地域密着型介護予防サービス 介護予防認知症対応型通所介護 / 介護予防小規模多機能型居宅介護 / 介護予防認知症対応型共同生活介護 / 地域密着型介護予防通所介護 |
予防給付と介護給付の違いは、予防給付では施設サービスが利用できないことと、地域密着型サービスの一部が利用できないことです。
訪問介護とは、ヘルパーが利用者の自宅を訪問して、次の3つの介護サービスを行います。
(表4-1)訪問介護のサービス内容
サービス | 具体的な内容 |
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身体介護 | 排泄(はいせつ)・食事(流動食の調理を含む)・更衣・入浴など身体に直接触れて行う介助とそれに伴う準備や後始末など。 |
生活援助 | 掃除・洗濯・調理などの家事の援助や薬の受け取りなど。 |
通院などのための 乗車・降車の介助 |
ヘルパーさんが運転する車両で通院を行う際の乗車・降車と病院までの歩行の介助・受診手続き。 |
訪問入浴介護とは、自宅での入浴が困難な利用の自宅に訪問して、専用の簡易浴槽を持ちこんで行う入浴サービスです。通常は、ヘルパー2名と看護師1名の3名体制で実施します。
訪問看護とは、看護師が利用者の自宅を訪問して、病状の観察、診療の補助、療養上の世話、機能訓練を行います。また、利用にあたっては医師の指示が必要になります。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問し、基本動作や日常生活動作、家事などの手段的日常生活動作、言語や嚥下などに関する機能訓練を行います。また、利用にあたっては医師の指示が必要になります。
医師、歯科医師などが自宅を訪問し、生活上の助言や服薬、栄養、口腔ケアなどの指導を行います。原則、利用者が通院などが困難である場合に利用できます。
デイサービスセンターに日帰りで通いながら受けられる介護サービスのことです。主に日中に、入浴、食事、介護や機能訓練を行います。通常は送迎も含まれます。
デイサービスセンターの職員には、介護職員・生活相談員のほか、看護師や機能訓練指導員が配置されます。
リハビリが必要な人が通う事ができる介護サービスで、事業者は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のうち1名以上の配置が必須とされ、医師も配置されています。また、通所介護同様に、通常は送迎も含まれます。
ショートステイとも呼び、特別養護老人ホームや養護老人ホームなどで短期間(原則連続30日まで)だけ入所し、介護や機能訓練のサービスを利用することができます。職員は、介護職員のほか、看護師や機能訓練指導員も配置されます。
リハビリや医療的ケアが必要な利用者を対象としたショートステイです。職員は、医師や看護師のほか、介護老人保健施設などの場合は理学療法士なども配置されます。
介護給付や予防給付では、要介護認定に応じて、介護保険の給付に月ごとの上限額が設定されており、これを区分支給限度基準額といいます(表5-1)。
介護サービスの単価は「単位」で表され、原則、1単位は10円となります。月に利用した居宅サービスの単価の合計額が、限度額の範囲内の場合に民間の介護保険から保険給付が受けられますが、上限額を超えた金額については、全額自己負担となります。
(表5-1)区分支給限度基準額
区分 | 区分支給限度基準額(月額/1割負担の場合) |
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要支援1 | 5,032 単位 |
要支援2 | 10,531 単位 |
要介護1 | 16,765 単位 |
要介護2 | 19,705 単位 |
要介護3 | 27,048 単位 |
要介護4 | 30,938 単位 |
要介護5 | 36,217 単位 |