更新日:2022年11月14日
介護保険では一定額を保険給付することができます。
しかし自分で負担しなければならない費用もあります。
介護認定されれば、介護サービス利用時に介護保険を適用することができますが、無料でサービスを受けられるわけではありません。介護保険が適用される費用については、自己負担の割合は、1〜3割のいずれかになります。
まず、65歳以上の被保険者のうち本人の合計所得金額が上位20%に相当する160万円以上の人を基準として判定されます(図1-1)。次に、本人の合計所得金額が160万円以上であっても、単身世帯であり実質的な所得が280万円に満たないケースや、2人以上世帯であっても所得が346万円に満たないケースについては、その負担能力を考慮して1割負担となります。
一方で、本人の合計所得金額が220万円以上である場合で、かつ単身世帯で340万円を超えるケース、もしくは2人以上世帯において463万円を超えるケースについては現役並み所得として3割負担となります。
自己負担割合が判定され、1〜3割負担となったとしても、例外があります。
介護給付における居宅介護支援事業者でのケアマネジメント費用、または、予防給付における地域ほうかつ支援センターなどのケアマネジメント費用は、全額が介護保険から給付されます。自己負担はありません。
事業者が運営規定で定める「通常の事業の実施地域」の範囲を超えて訪問や通所の送迎を行った場合、その交通費は利用者が全額負担しなければなりません。
食材に相当する費用や、おむつ代、新聞台、デイサービスが行うレクリエーションの費用も全額負担する必要があります。
居宅サービスを受ける場合、要介護認定の結果に応じて、1か月の利用限度額(区分支給限度基準額)が決められています(表2-1)。利用限度額を超えた超過費用については、全額自己負担となります。
(表2-1)居宅サービス利用時における介護認定別、1か月の利用限度額および自己負担額
介護 認定 |
1人あたりの 平均費用 |
1か月の 利用限度額 |
うち自己負担 (1割の場合) |
利用限度額を超過している人 | |
---|---|---|---|---|---|
人数 | 利用者に 占める割合 |
||||
要支援1 | 18,918円 | 50,030円 | 5,003円 | 1,595人 | 0.4% |
要支援2 | 33,434円 | 104,730円 | 10,473円 | 836人 | 0.2% |
要介護1 | 74,507円 | 166,920円 | 16,692円 | 16,053人 | 1.7% |
要介護2 | 104,047円 | 196,160円 | 19,616円 | 29,710人 | 3.6% |
要介護3 | 156,020円 | 269,310円 | 26,931円 | 14,180人 | 3.0% |
要介護4 | 189,613円 | 308,060円 | 30,806円 | 12,656人 | 4.0% |
要介護5 | 235,565円 | 360,650円 | 36,065円 | 10,093人 | 5.0% |
施設サービスの利用限度額は、施設の種類、個室か多床室(相部屋)か、介護要員数など住環境の違いによって己負担額が変わります。また、おむつなどの消耗品や施設での食事、施設の滞在費は、介護保険の対象外となるため、居宅サービスと比較すると自己負担の費用は増します。
(表2-2)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1か月の自己負担の目安
費用項目 | 要介護5の人が 多床室を利用した場合 |
要介護5の人が ユニット型固室を 利用した場合 |
---|---|---|
施設サービス費 (1割負担) |
約25,000円 | 約27,500円 |
居住費 | 約25,200円 (840円/日) |
約60,000円 (1,970円/日) |
食費 | 約42,000円 (1,380円/日) |
約42,000円 (1,380円/日) |
日常生活費 | 約10,000円 (施設ごと異なる) |
約10,000円 (施設ごと異なる) |
1か月の 自己負担合計 |
約102,200円 | 約139,500円 |
公的介護保険の給付によって自己負担が1〜3割になることは前述しました。しかし、要介護者が同一世帯に複数名いた場合は、家計は火の車になります。そこで、同一世帯の自己負担が一定額を超えると、超えた金額が市区町村から払い戻される「高額介護サービス費」という制度を利用します。
月ごとの領収書をそろえておき、市区町村の窓口で申請しますが、払い戻されるのは約3か月後となります。また、所定の手続きを行わずに申請すると、自己負担区分は(表3-1)の「現役並み所得」に区分けされてしまうため、注意が必要です。
(表3-1)高額介護サービス費の自己負担限度額
区分 | 1か月の自己負担限度額 | |
---|---|---|
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 | 140,100円/世帯 | |
課税所得380万円(年収約770万円)〜課税所得690万円(年収約1160万円) | 93,000円/世帯 | |
市区町村税課税〜課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円/世帯 | |
住民税非課税 | 24,600円/世帯 | |
・課税年金収入額+合計所得金額が80万円以下 ・老齢福祉年金を受給している方 |
24,600円/世帯 15,000円/個人 |
|
生活保護受給者 | 15,000円/個人 |
施設サービスを利用時の食費・居住費・日常生活費については対象外となります。