更新日:2022年11月14日
「介護の手間」を時間に換算し、要支援1〜2から要介護1〜5まで7段階の分別されますが、それぞれの具体的な状態の違いとはどんなところになるのでしょうか?
平均的な目安に沿って説明します。
介護保険法で定義される要支援と要介護の違いは(表1-1)のようになります。簡単に言うと、「要介護」とは、入浴、排泄、食事等の日常生活動作について常時介護を要すると見込まれる状態のことをいい、「要支援」とは、現在は介護の必要が無いものの、将来要介護状態になる恐れがあり、家事や日常生活に支援が必要な状態をいいます。
(表1-1)介護保険法における定義の違い
介護認定 | 介護保険法における定義 |
---|---|
要介護 | 身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事などの日常生活における基本的な動作の全部または一部について、厚生労働省令で定める期間(※)にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの (要支援状態に該当するものを除く。)をいう。 |
要支援 | 身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事などの日常生活における基本的な動作の全部または一部について厚生労働省令で定める期間(※)にわたり継続して、常時介護を要する状態の軽減、または悪化の防止に特に役立つ支援を要すると見込まれ、または身体上もしくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間(※)にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものをいう。 |
要支援1〜2、要介護1〜5の認定は、「介護の手間」を時間に換算して区分別けすること前項で解説しましたが、具体的に、どんな状態が該当するのか、身体状態のめやすを(表2-1)に記載します。なお、あくまで状態は平均的なものなので、完全に個人の状態に一致しないことがあります。
(表2-1)要支援状態および要介護状態のめやす
介護 | 身体状態のめやす |
---|---|
要支援1 |
社会的支援を必要とする状態 ・排せつや食事はほとんど自分一人でできる ・部屋の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある |
要支援2 |
生活に支援を要する状態 要支援1の状態から、手段的日常生活を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援が必要となる状態。(日常生活に少し支援が必要だが、介護サービスを利用すれば、機能の維持、改善が見込める。) |
要介護1 |
部分的な介護を要する状態 ・排せつや食事はほとんど自分一人でできる ・部屋の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある ・問題行動や理解の低下がみられることがある |
要介護2 |
軽度の介護を要する状態 ・排せつや食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある ・部屋の掃除や身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする ・問題行動や理解の低下がみられることがある |
要介護3 |
中度の介護を要する状態 ・排せつが自分ひとりでできない ・みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりでできないことがある ・いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある |
要介護4 |
重度の介護を要する状態 ・排せつがほとんどできない ・みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできない ・多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある |
要介護5 |
最重度の介護を要する状態 ・排せつや食事がほとんどできない ・みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作がほとんどできない ・多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある |
今は介護を必要としていない高齢者が、同様の生活を続けていくと、要支援・要介護状態になる可能性があるかを判断するための「基本チェックリスト」(図3-1)が2006年の介護保険制度改正時に導入されました。
基本チェックリストの結果が、下記A〜Gに該当する場合、市町村が提供する介護予防事業を利用できる可能性があります。お住まいの市町村や地域包括支援センターにご相談ください。
A: 1〜10の10項目以上に該当(全般的な生活機能)
B: 6〜10の3項目以上に該当(運動器の機能)
C: 11と12の両方に該当(栄養状態)
D: 13〜15の2項目以上に該当(口腔機能)
E: 16に該当(閉じこもり)
F: 18〜20のいずれかに該当(認知症)
G: 21〜25の2項目以上に該当(うつ)