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ALP | 血液検査
ALPの数値が基準値を超えるとどのような病気が疑われるのでしょうか?
検査値の見方、疑われる傷病、そしてその改善方法について医師が解説します。
2023年4月12日更新

胆汁の流れに支障をきたすような事態が発生していないかを判断するための指標です
ALP(アルカリフォスターゼ)とは、肝細胞の胆管側に存在しリン酸エステルを加水分解する酵素する酵素です。
胆道系の流れとしては、肝細胞が産生する脂肪分を消化する胆汁が、まず毛細胆管に分泌され毛細胆管は合流して細胆管になります。その後、さらに合わさって太い胆管を形成します。最終的に総胆管となって十二指腸に注ぎます。
この胆道系の流れが、胆石やがんなどの肝胆道系疾患によってどこかで妨げられると、胆汁のうっ滞が発生しこれら周囲の細胞からγ-GTPやALPが血液中に逆流し、値が上昇します。
γ-GTPやLAPとともに胆道系酵素と称されており、肝細胞のみならず骨、小腸,胎盤など生体内に広範に分布しています。
したがって、ALPの上昇は必ずしも肝胆道系疾患にのみ上昇するわけではありません。
ALPは多くの臓器に存在するため、ALPが高値を認めた場合にはアイソザイム(分画)を測定し、原因を特定する必要があります。
| アイソザイム | 臓器 | 上昇する病気 |
|---|---|---|
| ALP1 | 肝臓 | 閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)、肝臓病変 |
| ALP2 | 肝臓 | 肝臓・胆道疾患 |
| ALP3 | 骨 | 骨生成性疾患(小児) |
| ALP4 | 胎盤 | 妊娠末期,がん |
| ALP5 | 小腸 | 血液型O型,B型,肝硬変 |
| ALP6 | 免疫 | 活動性潰瘍性大腸炎 |
検査は採血による血液検査で行います。
ALP基準値
IFCC法(新法):38〜113U/L
胆汁の流れを阻害する胆道疾患で、疑われるものは以下となります。
肝細胞の形態は保たれますが、細胞内で形成された胆汁の成分が外部に排出できない状態です。薬剤性肝障害にしばしばみられます。
超音波などの画像検査で総胆管や肝内胆管に拡張がないにもかかわらず、血液検査での胆道系酵素やビリルビンが上昇しているときはこの病態を考慮します。
肝内胆管の閉塞で疑われる病気として原発性胆汁性肝硬変(PBC)、肝炎などがあります。肝内胆管の比較的上流での細胆管の細胞が免疫的異常により破壊されたり、胆管の閉塞を起こす病態です。
進行すると肝臓全体の細胆管系が破壊され,ALPの上昇を引き起こします。
結石や腫瘍による肝内胆管の閉塞では肝内胆管のどのレベルでも発生します。しかし胆道の上流、すなわち肝臓内胆管では病変が相当大きくならないかぎり、ALPの上昇がみられません。
疑われる病気として肝臓がんや原発性硬化性胆管炎(PSC)などがあります。
総胆管とは肝臓内の左右の胆管は総肝管となり、さらに胆のうから出る胆のう感が交流して以降、十二指腸に注ぐまでの部位で、1本にまとまった胆管です。
ここでの何らかの閉塞をさせる病変が存在すると,容易には胆汁の流れに支障をきたします。
疑われる病気として総胆管結石や、がん、膵頭部がん、十二指腸乳頭部腫瘍などがあります。早期からγ-GTPやALPなどの胆道系酵素の異常が現れます。
骨代謝が亢進(こうしん:過剰、活発になること)する疾患でALPは上昇します。腫瘍関係ではがんの骨転移、多発性骨髄腫、骨肉腫などがあります。骨代謝の亢進しない骨粗鬆症ではALPは変化しません。
骨に影響する内分泌(ホルモン)疾患としては副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症などがあります。
自己免疫性膵炎の活動期に出現します。
過量飲酒による肝臓障害、脂肪肝や肝硬変などでALPは高値となります。近年増加しているのは薬剤のみならず、健康食品による肝臓、胆道障害によるものがあります。
内科で原因を明らかにし、それぞれの病気に応じた治療を行いましょう。
<利用上の注意>
2023年4月12日時点の情報となります。
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