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クレアチニン・BUN(尿素窒素)・eGFR | 血液検査
クレアチニン・eGFRの数値が基準範囲を超えるとどのような病気が疑われるのでしょうか?
検査値の見方、疑われる疾病、そしてその改善方法について医師が解説します。
2023年4月12日更新

腎臓の機能を評価するための指標です
腎臓は体内で作られた老廃物を、水分と混ぜて尿という形で体外に排泄する働きをする臓器です。
この排泄処理能力を評価する血液検査として、クレアチニン、BUN(尿素窒素)、eGFRがあります。
クレアチニンという物質は、筋肉中のクレアチンの終末代謝産物で血液中に存在します。
腎臓で排泄されますが、腎臓機能が低下すると排泄されにくくなり、血液中に残留して値が上昇します。基準値としては下表のとおりです。
| 性別 | 異常なし | 軽度異常 | 要再検査・生活改善 | 要精密検査・治療 |
|---|---|---|---|---|
| 男性 | 1.00以下 | 1.01-1.09 | 1.10-1.29 | 1.30以上 |
| 女性 | 0.70以下 | 0.71-0.79 | 0.80-0.99 | 1.00以上 |
(単位 r/dL)
筋肉量が多い人ではクレアチニン自体も多いため腎機能が正常でも腎機能低下と判断してしまいます。
反対に高齢者など筋肉量が少ないと、腎機能低下があってもクレアチニンが少ないため、機能低下を見出せない欠点があります。
さらに、腎臓機能が60%以下に低下するまでクレアチン値は変化しない問題点があります。
これらの欠点を克服したのがクレアチニン値から一定の式を用いて算出するeGFRです。
「GFR」は腎臓の糸球体ろ過量です。現在の医学では正確な腎機能評価できませんが、ほぼそれに近いものがeGFR(推算糸球体濾過量)です。
腎臓機能が低下するとeGFRも低下します。値により以下のように分類します。
| eGFR | 重症度 | 区分 |
|---|---|---|
| G1 | 正常または高値 | 90.0以上 |
| G2 | 正常または軽度低下 | 60.0〜89.9 |
| G3a | 軽度〜中等度低下 | 45.0〜59.9 |
| G3b | 中等度低下〜高度低下 | 30.0〜44.9 |
| G4 | 高度低下・腎不全 | 15.0〜29.9 |
| G5 | 末期腎不全 | 14.9以下 |
(単位 mmL/分/1.73u)
クレアチニンは少量の血液検査で行うことができます。 eGFRはクレアチニン値と性別、年齢を用いた補正式から算出されます。
eGFRはクレアチン値を用いて補正式で算出するため、筋肉量が相当少ない人は補正式を用いても正確には腎機能を評価できませんので代わりに、シスタチンCなどの代用物質を用いて検査をします。
腎臓機能が低下すると、クレアチニンとBUN(尿素窒素)は上昇、eGFRは低下と逆になるので注意が必要です。BUN(尿素窒素)は消化管出血、絶食などでも上昇します。
腎臓病には、CKD(慢性腎臓病)、ネフローゼ症候群、腎臓がん、などがあります。
CKD(慢性腎臓病)は、腎臓の働き(eGFR)が健康な人の60%以下に低下する(GFRが60m?/分/1.73u未満)か、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態をいいます。
腎機能低下を引きおこす病気(下表)をとりまとめた総称です。
| 慢性糸球体腎炎 | 感染症、遺伝性疾患、自己免疫疾患など、さまざまな病気が原因で発生する腎臓障害で、さまざまな病気の総称 |
|---|---|
| 糖尿病性腎症 | 高血糖による腎臓血管の傷害によって生じる糖尿病の合併症 |
| 腎硬化症 | 高血圧による腎臓血管の傷害によって生じる疾患 |
| 間質性腎炎 | 糸球体を取り巻いている構造を間質と呼び、この部位にさまざまな原因で炎症が起こる病気の総称。薬や有毒物質が原因 |
| 多発性嚢胞腎 | 腎臓に水の入った袋状の組織が多数作られ、正常な腎臓の組織が圧迫されて腎機能が低下する |
CKD(慢性腎臓病)のもっとも重症な状態を腎不全といいます。
急激に悪化する急性腎不全と、ゆっくりと機能が低下していく慢性腎不全があります。
急性腎不全は外傷による大量出血、消化管出血、脱水、重篤な細菌感染症など生じます。ほとんどが自分でも異常だとわかる状態です。
慢性腎不全は徐々に腎機能が悪化していくので、内科などでeGFRの検査を受けてどのような段階(上述の病状区分表参照)にあるかを把握する必要があります。主要な原因には高血圧と糖尿病があります。
機能低下を促進させている原因疾患を見出しその治療が重要になります。
高血圧、糖尿病のほか、コレステロールや中性脂肪が高い(脂質代謝異常)、肥満やメタボリックシンドローム、喫煙があればその改善も重要です。
腎臓は体内の老廃物を水分と混ぜて排泄するわけですが、水分が少ない状態では尿の色が濃くなります。
汚れをとるときに雑巾(ぞうきん)に多く水を含ませたほうがうまくいくように、体内に十分な水分があるように心がけることが大切です。
尿量を十分にするために1日2リットルの水分をとることは自分で改善できる予防法です。
また、体内の老廃物を血液に混ぜて腎臓で排泄してもらうために大量の血液が通過する臓器です。
身体を動かすことで、血液循環をより活発にすることも必要です。座りがちの生活は改めましょう。
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2023年4月12日時点の情報となります。
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