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更新日:2025年12月1日

ペット保険はいらない?そんな疑問におこたえ!加入者調査でわかった必要性

ペットの病気・けがへの備えとして、日本でもペット保険が普及し始めています。しかし、生命保険などに比べて新しい保険であるために、自分は加入する必要があるのかどうか、迷われている方も少なくはないでしょう。

なかには、日本でのペット保険の普及率が21.4%※と高くはないことから、「ペットを飼ううえで、保険はいらないのではないか?」と疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、価格.com保険が実施した「ペット保険の加入に関する調査」の結果を交え、ペット保険とはどのような人にとって、なぜ必要なのかを解説します。
※出典:アニコム ホールディングス株式会社 統合報告書 2025


この記事の要点
  • 公的医療保険のないペットの治療費は全額自己負担する必要があり、手術などを受けると高額になることがある
  • 通院補償のあるペット保険に加入することで、ペットの体調に小さな異変がみられたときも、気軽に受診しやすくなる
  • 加入を検討するときには、貯金の有無だけでなく、自分自身のリスクに対する考え方を整理することも大切である

この記事の監修者

平野 敦之

CFP(R)資格/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅ローンアドバイザー/宅建士/2級DCプランナー/平野FP事務所

平野 敦之

東海大学卒業後、証券会社・損害保険会社で実務を経験した後に独立。相談業務や執筆、大学講師や企業研修などを行う。メディア出演多数。

東海大学卒業後、証券会社・損害保険会社で実務を経験した後に独立。相談業務や執筆、大学講師や企業研修などを行う。メディア出演多数。


ペットの治療にかかる費用を知ろう

ペットの治療費は全額自己負担

ペット保険の情報を探している方のなかには、ペットを飼い始めたばかりという方も少なくはないでしょう。ペット保険に加入すべきか考えるときには、ペットが病気やけがをした際にかかる費用がどの程度なのか、知っておくことが大切です。

ペットが動物病院で何らかの診療を受けたとき、人の医療費のように自己負担額を軽減する公的な制度はありません。そのため、治療費が高額になった場合も、飼い主が全額を支払う必要があります。

では、ペットの治療費とはどの程度かかるのでしょうか。

1度の治療でも費用は高額になることがある

1年間にペットの診療にかかる費用の平均は、犬(0〜15歳の平均)が133,175円、猫(0〜15歳の平均)が93,014円となっています。

  • 出典:家庭どうぶつ白書2024(アニコム)

上述した数値は犬全体・猫全体を対象とした年間の平均額ですが、手術や入院が必要になった場合には、1度の治療でも費用が高額になることがあります。

ここでは、一例として小型犬によくみられる椎間板ヘルニアと、猫によくみられる異物誤飲の治療にかかる費用をご紹介します。

CASE.1

椎間板ヘルニアの場合

犬種:ミニチュア・ダックスフンド

治療費合計:337,650

明細

手術1回

入院6日

診療内容

階段を下りたとき、キャンと鳴き、触られるのを嫌がるようになりました。病院で検査をしたところ「椎間板ヘルニア」と診断され、手術を行いました。

診療明細例
診療項目 金額
診察 1,500円
入院(5泊6日) 20,400円
検査 39,700円
MRI 89,000円
検査 39,700円
全身麻酔 15,000円
手術 127,300円
点滴 12,200円
処置 7,100円
注射 23,000円
お薬 2,450円
合計 337,650

・上記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
・各診療項目の金額は、動物病院によって異なります。
※アイペット損害保険株式会社「犬のペット保険の選び方 犬の手術・通院費用はどのくらいかかる?」より許可を得て転載

CASE.2

異物誤飲の場合

猫種:スコティッシュフォールド

治療費合計:220,800

明細

手術1回

入院6日

診療内容

リボンを飲み込んでしまったようだったので、病院に連れて行きました。検査の結果、腸の中にリボンが見つかり、お腹を切って摘出手術を行いました。

診療明細例
診療項目 金額
診察 1,500円
入院(5泊6日) 27,000円
検査 10,000円
全身麻酔 15,000円
手術 130,000円
点滴 20,000円
処置 10,000円
注射 6,000円
お薬 1,300円
合計 220,800

・上記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
・各診療項目の金額は、動物病院によって異なります。
※アイペット損害保険株式会社「犬のペット保険の選び方 犬の手術・通院費用はどのくらいかかる?」より許可を得て転載

ここで紹介した例のように、1つの病気に対して20万円を超える費用がかかることも、実際に起こりえます。ペットと暮らすうえで、治療などにかかる費用は全額自己負担となること、また高額になる可能性があることは、あらかじめ理解しておきましょう。

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ペット保険で自己負担額はどの程度減る?

対象となる治療費の50%・70%を補償する商品が主流

ペット保険とは、おもに犬や猫などのペットが検査や治療を受けたとき、かかった費用の一部を負担してくれる保険です。

多くのペット保険では、補償の対象となる診療区分(入院・手術・通院)が決められており、また、保険金として受け取ることのできる補償割合は、50%〜100%などと設定されています。かかった費用全額を保険金として受け取れるわけではない点に注意しましょう。

たとえば、70%補償のペット保険の場合、補償の対象となる治療費※のうち、約7割を保険金として受け取ることができるため、自己負担額は約3割となるとイメージするとわかりやすいでしょう。

  • 後述する「ペット保険の補償で押さえておきたい制限事項」にて詳説
補償の対象となる治療費

ペット保険の補償で押さえておきたい制限事項

ペット保険に加入していても、病気やけがの種類、診療内容によっては、補償の対象とならない場合もあります。また、保険会社が支払う保険金には、上限設定なども設けられています。

次に挙げる5つのポイントを確認し、ペット保険の補償には制限があることを理解しておきましょう。

補償範囲 通院・入院・手術のうち、どの区分で受けた診療に対して保険金が支払われるかが定められている。
入院・手術のみを対象としている商品と、通院も含め3つの区分すべてをカバーする商品とがある。
補償割合 支払い対象となる治療費のうち、何%の保険金が支払われるかが定められている。
ペット保険では50%や70%補償の商品が多い。
補償限度額・限度日数 診療区分ごとに、1回あたりの限度額や1年間の利用日数の制限が定められており、さらに1年間でかかった治療費に対し、補償できる金額上限や日数、回数なども設けられている。
診療区分ごとの限度額や限度日数が無制限となっている商品でも、年間の最大補償額には上限が設けられている。
免責金額 治療費のうち、必ず自己負担しなければならない金額が定められている。
かかった費用から免責金額を差し引いた額が、保険金の支払い対象となる。
免責事由 保険金の支払いの対象とならない病気やけが、診療内容にはどのようなものがあるかが定められている。

【一般的なペット保険の主な免責事由(一例)】
・生まれつきの病気
・健康診断や予防接種
・去勢や避妊手術
・飼い主の過失によるけが
・出産
・ワクチン接種などの予防に関する費用
・地震、噴火これらによる津波などの自然災害による病気やケガ 
  • このほか、商品ごとに補償の対象外となる病気やけがが定められていることがあります。

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契約者の加入理由からペット保険の必要性を読み解く

補償限度額や免責事由など、受けられる補償に制限もあるペット保険。加入すべきか迷ったときには、すでにペット保険に加入している方からの情報も役立ちます。

価格.com保険が実施した「ペット保険の加入に関する調査(以下、加入者調査)※」の結果から、ペット保険の契約者が、どのような目的や必要性を感じてペット保険に加入したのかを考えていきましょう。

  • 2021年4月2日〜9月29日の期間に加入した契約者を対象にWebアンケートを実施(回答者数:556人)

ペット保険加入理由1位は「高額な支払いに備えるため」

Q. ペット保険に加入したきっかけはなんですか?

ペット保険に加入したきっかけはなんですか?

ペット保険に加入したきっかけは、「高額な治療費に備えるため」が43.9%で最多となりました。つづいて、「高額な治療費への不安があったため」が18.7%となっています。

これらの回答から、加入者はあらかじめペットの治療費が高額になる可能性を認識していたこと、また、今はまだ生じていないリスク(出費)を担保するという目的をもって加入したことが伺えます。

通院補償により、不安なく通院したいという声が多数

Q. 今回ご加入のペット保険に通院補償は付けましたか?

今回ご加入のペット保険に通院補償は付けましたか?

ペット保険を選ぶ際、迷いやすい補償内容のひとつに、「通院補償をつけるかどうか」が挙げられます。

同加入者調査では、全体の約8割の方が、加入中のペット保険に通院補償をつけていると回答しています。その理由についても、詳しくみていきましょう。

Q. 通院補償を付けた理由を教えてください(複数回答可)

通院補償を付けた理由を教えてください(複数回答可)

通院補償をつけた理由としては、「通院治療による1回の治療費も場合によっては高額になると思ったから」が58.8%、「ちょっとした体調の変化でも病院へ連れていきたいと思ったから」が49.7%となりました。

これらの回答から、ペット保険に加入することで、全額自己負担の場合よりも、気軽に動物病院で診てもらいやすくなると考える方が多いことがうかがえます。

ペットの体調に少しの変化がみられた場合を想定し、ご自身やご家族の通院に対する考え方や思いを確認してみることも、ペット保険の加入を検討する際のヒントとなるでしょう。

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ペット保険への加入に向いている人・向いていない人とは

貯金で治療費をまかなえる場合、ペット保険はいらない?

加入者調査で上位となった「高額な治療費に備えるため」「高額な治療費への不安があったため」という加入理由から、仮に支払う額が高額になったとしても、経済面での不安が少ないという方は、必要性が低いといえるかもしれません。

具体的には、ペット用の貯金が十分にあり、治療費を全額自己負担した場合も、そのほかの貯金(ご自身の医療費やご家族の学資金など)を圧迫する心配が少ないという方が該当します。

貯金は、ペットだけでなく、ご自身やご家族の「いざというとき」にも大切です。現在の貯金総額のうち、ペットの治療のために使える額はいくらか、考えておきましょう。

ただし、ペット保険への加入に向いているかどうかは、一概に貯金の有無だけで判断できるものではありません。後述するペット保険のメリット・デメリットを確認し、ご自身の保険に対する考え方を整理することも重要です。

ペット保険はあると安心?もったいない?自分の考え方を知ろう

ペット保険にかぎらず、すべての保険商品には、起こるかもしれないリスクに備え、経済的な損失を回避するという重要な本質があります。そのため、保険に加入することを「安心を買う」と表現することもあります。

このような性質を踏まえたうえで、次に示すペット保険のメリットとデメリットを確認し、ご自身の保険に対する考え方を整理してみましょう。

メリット ペットが治療を受けた際、家計を圧迫するリスクを軽減できる
貯金との併用により高額な治療も選びやすくなる
経済的負担の軽減により、気軽に病院に足を運べるようになる
デメリット 保険料は掛け捨てで、毎月保険料の支出が発生する
一般的に、ペットが高齢になると保険料は高くなる
補償対象外の治療や補償制限が設けられている

いかがでしょうか。

保険料の支払いが生じることを前提としたうえで、リスクに備えたい、安心を得たいという考えをお持ちの方は、貯金の有無にかかわらず加入が向いているといえます。

ペットの種類・年齢によっては、月々の保険料が1,000円以下の商品もある※ため、各商品の保険料を比較してみるのもよいでしょう。

  • 加入初年度の保険料(2023年6月時点)であり、一般的にペットの年齢が上がると保険料は高くなる傾向がある。

一方、ペットの病気やけがのリスクや、治療費が全額自己負担になることを理解したうえで、毎月の保険料の支払いには抵抗を感じるという方は、不向きといえるかもしれません。

このページでは、ペット(犬と猫)がかかりやすい病気や発症する年齢の傾向、手術の必要性が生じやすい年齢などを紹介しています。あらかじめリスクを知り、ペット保険の必要性を考えるために、あわせてご参照ください。

ペットの罹患率

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まとめ

高額になることもあるペットの治療費。公的な負担軽減制度が存在しないなかで、ペット保険は経済的にも心理的にも大きな安心をもたらしてくれるサービスといえます。

ペット保険の必要性を考えるときには、もう一度次のポイントを振り返ってみましょう。

  • ペット用の貯金から治療費をまかなえるかを確認する。
  • ペットの小さな体調の異変でも動物病院で診てもらいたいなど、ペットの治療に対する自分の考え方や家族の方針を決める。
  • ペット保険は月々の支払いを伴うものであり、補償には各種の制限があることを理解しておく。


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