更新日:2026年6月16日
病気やケガで入院すると、医療費以外に食事代や差額ベッド代といった費用も発生し、最終的な自己負担額が大きくなることがあります。
この記事では、入院費用の相場や自己負担費用の内訳のほか、公的制度や民間の医療保険を活用した備え方を解説します。

この記事の監修者

株式会社カカクコム・インシュアランス
CFP(R)資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、社会保険労務士
森谷 智彦
病気やケガで入院した場合、入院日数にかかわらず、自己負担費用は発生します。
ここでは、データをもとに入院費用の平均的な相場を解説します。
以下の図1にもあるように、入院1日あたりの自己負担費用は平均24,300円です。
金額別に見ると、自己負担が1万円未満の割合は全体の約3割にとどまっています。
つまり、約7割は、1日あたり1万円以上の自己負担が発生していることもわかります。
図1 入院1日の自己負担費用平均
以下の図2のように、入院1回あたりの自己負担費用は、平均18万7,000円です。
図2 入院1回の自己負担費用平均
また、入院日数が長くなるほど、自己負担が大きくなる傾向があることもわかっています。
たとえば、入院5日未満の自己負担費用の平均は11万円ですが、入院5日〜7日では平均14万8,000円(※)と、入院日数とともに自己負担が増えます。
近年は平均入院日数が短期化していますが、疾病や症状によっては、入院が数カ月に及ぶこともあります。そのような場合、自己負担はさらに膨らむため、貯蓄のみで備えるのは難しいこともあります。
入院時にかかる費用は、大きく2つにわかれます。
公的医療保険(健康保険や国民健康保険)が適用されて自己負担が抑えられるものと、全額自己負担となるものです。
それぞれの内訳を確認してみましょう。
公的医療保険が適用される費用には、入院中の治療費や入院基本料があります。自己負担は、年齢や所得によって1割〜3割負担と異なり、多くの場合は3割負担となります。
診察料、検査費用、手術費用、投薬料など
診察・看護費用、室料や寝具など
以下の費用は公的医療保険の対象外となるため、全額自己負担しなければなりません。
これらの費用が、入院時の自己負担額を押し上げる要因でもあります。
食事代
入院中の食事代は、1食約550円(※)で1日あたり約1,650円かかります。
入院日数が増えるほど、食事代の出費は大きくなります。
差額ベッド代
1人〜4人部屋など、希望して個室や少人数部屋を利用した場合に発生する費用で、1日あたりの平均は6,862円(※)です。
入院期間が長くなるほど負担が積み重なります。
先進医療費
公的医療保険の対象外となる高度な医療技術を用いた場合、その技術料は全額自己負担です。
場合によっては、数十万円〜数百万円かかることもあります。
そのほかの費用
日用品などの消耗品の購入費用や、見舞いに来る家族の交通費なども全額自己負担です。
入院時の医療費負担を軽減するほか、働けない期間の収入減少をカバーできる公的な制度があります。ここでは、その代表的な2つを紹介します。
高額療養費制度とは、1カ月間(1日から月末まで)の医療費の自己負担額が、一定額(自己負担限度額)までに抑えられる制度です。
自己負担限度額は、年齢と所得によって異なります。たとえば、70歳未満で年収約370万円〜770万円、1カ月の総医療費が100万円だった場合の限度額は87,430円です。
なお、2026年8月の診療分から、自己負担限度額が引き上げられます。同じく70歳未満で年収約370万円〜770万円、1カ月の総医療費が100万円だった場合の限度額は、92,940円になります(※)。
傷病手当金とは、病気やケガで長期間働けなくなった場合に、収入の減少を補うための制度です。
会社員や公務員が加入する健康保険から支給されます。なお、支給期間は最長1年6カ月、支給額は標準報酬日額の3分の2が上限となるため、元の給与が全額保障されるわけではありません。
また、自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度がありません。入院中や療養中の収入減少を補う手段が限られるため、会社員などに比べて収入減少のリスクが高くなりやすいでしょう。
公的制度を活用しても、次のようなケースでは自己負担が大きくなります。このような、公的制度でもカバーできない部分を、民間の医療保険で備えておくと安心です。
民間の医療保険(以下、医療保険)は、入院時の自己負担費用を補う選択肢の一つです。給付金を、治療費の自己負担分や、食事代・差額ベッド代といった全額自己負担の費用に充てることができます。
また、収入減少のリスクにも備えられます。入院・療養中の1日あたりの逸失収入(働けないことで失われる収入)は、平均22,300円です。
公的制度ではまかなえない収入減少への備えとして、特に自営業者・フリーランスに有効な選択肢となります。
もしものときの費用や、公的制度でカバーできない出費に備えて、医療保険を検討しましょう。
ただし、備えたいリスクや状況によって、適した医療保険は異なります。商品によって医療保険の保障内容や保険料はさまざまなため、複数の保険会社の商品を比較・検討し、自身にあった医療保険を見つけましょう。