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人身傷害保険とは?
更新日:2022年5月20日
人身傷害保険は、事故が起きて加入者がケガを負った際、過失の割合に関係なく損害分の保険金が支払われます。また、事故後の示談交渉を待たずに損害額が決定したら速やかに保険金を受け取れる等のメリットがあります。ただし、受け取れる保険金は加入時に設定した保険金額までになります。
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人身傷害補償保険は2000年前後より各社から発売された比較的新しい保険商品です(人身傷害補償、人身傷害特約と呼称する保険会社もありますが同様の内容です)。
徐々に認知度を増してきた人身傷害保険ですが、充実の内容を「人身傷害のメリット」の表でおさらいしておきましょう。
自分の過失が多い事故 | 例えば1億円の損害で過失割合相手60:自分40の場合。 人身傷害非加入なら4,000万円分は自己負担だが、人身傷害加入で全額受け取り可能(1億円以上加入時)。 |
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相手の過失が多い事故 | 相手が任意保険に加入していても示談が長引けば保険金はすぐに受け取れないが、人身傷害加入で即座に受け取れる。また相手が任意保険非加入でも損害分をまかなえる。 |
単独事故 | 人身傷害から治療費、休業損害、慰謝料(精神的損害)などが受け取れる。 自損事故のみ加入の場合は通院費、入院費を日額で受け取れる。 自損事故と人身傷害の両方からは支払われない。 |
当て逃げ | 人身傷害から治療費、休業損害、慰謝料などを受け取れる。 人身傷害保険非加入で、死亡・後遺障害の場合、無保険車傷害から支払われる。 なお、両方加入時には人身傷害保険を超過する部分のみ支払われる。 |
歩行中 | 人身傷害保険から治療費、休業損害、慰謝料などが受け取れる。 過失割合は問わない。 ただし契約車両の搭乗時以外にも補償される契約のみ。 |
他の車に乗車中 | 他人の車のほか、バスやタクシーに乗車中での補償可能。 人身傷害保険から治療費、休業損害、慰謝料などが受け取れる。 ただし契約車両の搭乗時以外も補償される契約のみ。 |
人身傷害保険は、主に自分と家族のケガにそなえる保険で、自賠責保険の不足分を補う「任意保険」の一つです。
自分の過失が多い事故や相手の過失が多い事故、単独事故、当て逃げ、歩行中の事故など、様々な事故において自分や家族が死傷した場合に補償が受けられます。
自動車に乗っていなくても歩いている時や、バスやタクシーに乗っている時に事故に遭った場合でも補償が受けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
「人身傷害保険」と「搭乗者傷害保険」のどちらも死傷された方に対する補償ですが、実は様々なポイントで違いがあります。
保険の種類 | 頭部骨折で治療費が100万円 | 頭部骨折で治療費が30万円 |
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人身傷害保険 | 100万円全額支払い | 30万円全額支払い |
搭乗者傷害保険 | 部位・症状別に60万円支払い | 部位・症状別に60万円支払い |
人身傷害保険が治療などにかかったお金が全額支払われるのに対して、搭乗者傷害保険は部位や症状別に支払額が決められています。
さきほどの表のように過失割合に関係なく、厚い補償を受けられるのが人身傷害保険の特徴です。では実際の事故を例に解説します。
上記のような事故の場合、示談が長引くことも珍しくありません。
人身傷害保険ではどんなに示談がこじれても、治療費、休業補償、慰謝料などを算定し即座に支払いしてくれるメリットがあります。
さらに自分自身の単独事故で損害をこうむった際にも実損分の保険金を受け取ることが可能となり、費用の心配をすることなく治療に専念できます。
基礎知識の「搭乗者傷害保険」の回でもご紹介しましたが、ケガの場合は人身傷害保険、搭乗者傷害保険ともに一長一短があり、両者に加入することで最大の保険効果があります。
しかし、万一、加入者が死亡されてしまった場合、搭乗者傷害保険の保険金額が1,000万円に対して、人身傷害保険の保険金額の方が1億円と両者には金額に大きな差が生まれてきてしまいます(下表参照)。
事故はどんなケースも想定が不可能なだけに、万全の補償を受けられるようにしておきたいものです。
人身傷害保険 保険金1億円 | 搭乗者傷害保険 保険金1,000万円 | |
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お父さん | 1億円 | 1,000万円 |
お母さん | 6,500万円 | 1,000万円 |
大学生の息子 | 8,000万円 | 1,000万円 |
人身傷害保険のメリットは十分におわかりいただけたかと思いますが、困ってしまうのが保険料の負担です。充実の内容だけにさすがに保険料も高くなりがちです。
そこで以下に保険料節約の方法をまとめました。
お車の使用状況と照らし合わせて、どの内容が最も効果的かぜひご確認ください。
保険料は設定金額に比例して高くなります。1億円〜無制限といった契約でなくとも、5,000万円前後でも十分に機能するのが人身傷害保険の良いところです。数パターンの金額で見積りを出してもらいましょう。
人身傷害補償は契約車両以外に、他車に搭乗中、歩行中も補償可とする契約もあります。しかし契約車両に搭乗中のみ担保される補償を選べば、保険料は軽減できます。
ここまででご説明したように人身傷害保険のメリットは大きいですが、保険料が高くなってしまうというデメリットもあります。
そもそも人身傷害保険の必要性はどの程度あるのでしょうか。
人身傷害保険のメリットが最も発揮されるのは、示談交渉が長引いたときです。
例えば、信号無視や後方からの追突などの場合は、明らかに加害者側の過失が重くはなりますが、被害者側にも安全確認義務があり、被害者側の過失が全くないと判断されるのは被害者側の車が完全に停車しているなどに限られます。
しかし、過失割合などを決めるために行う示談交渉は、保険会社や当事者同士などの調整が難航してしまい長引くことがめずらしくありません。人身傷害保険に加入していると、このようなときに治療費や慰謝料などを保険会社が損害額の算定後、即座に支払ってくれるため、一時的な金銭の負担を減らすことができるのです。
事故は自分が安全運転をしているからといって100%起きないものではありません。
長期の収入低下などに対応できるほど手元にお金がなくて、保険もいつ払ってもらえるか分からないというときに備えて、加入を検討してもよいでしょう。
万が一事故に遭ってしまった場合、実際に人身傷害保険で支払われる精神的損害を補償する慰謝料はいくらくらいになるのでしょうか。
こちらに関しては、後遺障害の有無や等級、家族の有無などによって変わります。
ただし、自賠責保険の傷害による慰謝料は1日4,200円で、対象日数や被害者の傷害の状態、実治療日数などを勘案して算出されます。ただし、傷害による治療費や休業損害費などを含めて最高120万円までと決められています。
仮に、治療費が高額になるなどして、傷害による損害額は120万円を超えてしまった場合、人身傷害保険の慰謝料で補うことができます。
交通事故を起こしてしまい、自分または家族に障害が残ってしまった場合、自賠責保険でも後遺障害の等級に応じて、75万円〜4,000万円の補償が受けられますが、事故によっては人身傷害保険でも補償を受けることができます。
人身傷害保険の後遺障害は、損害保険料率算出機構が後遺障害の調査を行い保険会社が等級を認定します。その後遺障害の等級に応じて、損害賠償がなされる流れとなっています。
まとめ
記事の監修者
事故で相手を死傷させたときの損害を補償する対人賠償保険。自賠責保険の補償との違いや加入するメリットなどについて詳しく解説します。
運転手や同乗者が事故で死傷したときの損害を補償する搭乗者傷害保険。その補償内容や人身傷害保険との違いなどについて解説します。
事故の相手が自動車保険に未加入の場合も不足分の補償を受けられる無保険車傷害保険。その目的や使われるケースなどついて詳しく解説します。
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