更新日:2025年11月11日
持病(既往症)を持っている人が、海外旅行中に海外の病院に行く可能性が高いのは、持病が悪化したときです。けがだけでなく、病気でも補償される海外旅行保険ですが、持病があっても加入出来るのでしょうか?

この記事の監修者

ファイナンシャル・プランナー、株式会社プラチナ・コンシェルジュ所属、CFP®資格
内田 まどか
大学卒業後、FP資格取得し、独立。個人相談を中心に、夢や希望を叶えるためのライフプランニングを、シミュレーションを活用してアドバイスしている。
大学卒業後、FP資格取得し、独立。個人相談を中心に、夢や希望を叶えるためのライフプランニングを、シミュレーションを活用してアドバイスしている。
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持病といっても経過を見るため、1年に1回検査のみ受けているという人もいれば、投薬などで毎月病院へ通っている人など、さまざまだと思います。
オンラインで申し込むタイプの保険の中には、診察や投薬を受けていて、現在治療中の人は申し込み自体ができないところもあれば、その病気については補償されないが加入はOKなところ、31日以内の観光ならOKでも、留学の場合は申し込みできないところなどあります。
まず、自分が加入したいと思っている海外旅行保険に、自分の健康状態を伝えて申し込みが「できるか」「できないか」を確認してみましょう。
保険に加入できたとしても、基本の補償では、旅行前からの病気やけがに対しては補償されません。そこで付帯しておきたいのが『疾病に関する応急治療・救援費用担保特約』という特約です。
この特約は、渡航先で持病が悪化してしまった場合、治療や救援費用が支払われます。全ての保険会社で扱っているわけではありませんし、対面契約が基本で、保険期間は31日以内、保険金額も300万円が上限と制限があります。また、メディカルツーリズム(医療ツーリズム)のように、旅行前から渡航先で医師の治療を受けることが決まっていた場合や、インシュリン注射や透析などの継続的な治療や投薬については補償の対象外です。あくまでも、持病が海外旅行中に悪化した場合に補償されます。
当たり前のことですが、告知義務違反はやめましょう。契約時に正しく自分の健康状態について告知しなければ、保険金を受け取ることができない場合があります。「疾病に関する応急治療・救援費用担保特約」を付けられるか確認し、不安のある持病については、どのような場合に対象になり、どのような場合に対象にならないか、持病も含めた補償の範囲を確認しておきましょう。保険会社により、契約時に健康告知を求める会社もあれば、「重要事項説明書」をすべて読んでそれに「該当しない」と確認を取ることで告知にかえる会社もあります。契約するときは、保険が出るところはもちろん、出ないところもよく確認し、読み飛ばさず、わからないところはどんどん質問しましょう。
オンライン契約ができる商品の中にも「持病があっても入れます!」と大きくうたっている保険会社もあるので、オンライン契約が希望であれば、探してみましょう。
海外旅行や海外赴任中のけがや病気で、渡航先の医療機関で診療を受けた場合、加入している健康保険からも払い戻しを受けることができます(参考:海外旅行の必要性ページ 海外旅行中の治療に、日本での健康保険は使用できる?)。ただし、支給対象となるのは、日本国内で健康保険の適用になる治療に限られます。
持病があり、心配な人はあらかじめ治療内容の証明書(診療内容明細書)を、加入している健康保険のホームページから印刷して何枚か持っていくと安心でしょう。ダウンロードできない場合は郵送してもらえるところもあるようです。
渡航先で医療機関を受診したら、まず医療費全額を支払います。
この時、治療内容がかかれている「診療内容明細書」と、診療に要した医療費の明細である「領収明細書」(歯科の場合「歯科診療内容明細書」も必要になります)の発行を依頼しましょう。これらの用紙は、各月ごと、受診者ごと、医療機関ごと、入院・外来ごとに必要です。帰国した後だと書いてもらえない場合や、書いてもらえても、郵送のやり取りなど時間がとてもかかってしまいますので、受診時にもらっておきましょう。
帰国後、加入している健康保険の窓口へ、上記の書類に日本語の翻訳文をつけ、「療養費支給申請書」「領収書原本」「受診者のパスポートの写し」を添えて申請します。2年以内に申請しないと時効になりますので、早めに手続しましょう。
手続き後、日本国内で治療を受けたと同等の金額であれば、支払った額から自己負担分(原則3割)を引いた金額が払い戻されます。同じ治療でも日本の方が医療費が安かった場合、高い部分は払い戻しの対象外になりますし、安ければ、安いほうに合わせられます。また、日本国内で保険適用されていない医療行為は支給の対象外となりますので、海外旅行保険と補完しあう形で利用するとよいでしょう。また、外貨の換算は支給決定日の為替レートを円に換算された金額で払い戻されます。
日常的に薬を飲んでいる人は、旅行が決まったら早めにかかりつけ医に相談しましょう。
旅行日数に合わせた処方をしてもらったり、持参薬を証明する英文での「薬剤携行証明書」や処方せんのコピー等があると安心です。また、酔い止めなど、普段飲まない薬を飲む場合、普段飲んでいる薬との飲み合わせやタイミングも確認しておくとよいでしょう。
また薬は余裕をもって手荷物にしておきましょう。スーツケースが別の飛行機に乗ってしまったり、機械トラブルで搬入されなかったりすると、投薬と投薬の時間が空きすぎてしまうリスクを回避できます。
それでも余分の薬をスーツケースにしまう場合、薬剤携行証明書を一緒に入れておきましょう。スーツケース内の多めの薬を怪しまれて、中身を検査された場合でも安心です。
海外旅行保険に加入した時についてくるサービスもチェックしておきましょう。日本語で対応できるサービス、電話越しに通訳してくれるサービス、保険証券を見せればキャッシュレスで医療機関を受診できるサービスなど、最近どこの保険会社でもやっていますが、実際にサービスを利用するときにあわてず利用できるようにしておきましょう。事故の時の連絡先が書いてある冊子を余分にもらっておいたり、家族旅行の際はコピーして各自で携帯しておけば、はぐれてしまった時でも安心です。スマホなどのサービスのみで、冊子がない場合は出発前に一度アプリを開いてみて、パスワードなど覚えさせておきましょう。