生命保険では申し込みの際に健康状態などについて、ありのままに告知しなければならない告知義務があります。
告知義務違反をした場合には、どうなるのでしょうか?
告知義務違反とは
生命保険契約申し込みの際には、被保険者の健康状態などについて、ありのままに告知しなければならない義務があります。この告知義務に違反した場合には、契約が解除される場合があります。また、保険金の支払い対象となる事故にあっていた場合でも保険金が支払われない可能性があります。
なぜ告知義務があるのか?
告知義務が存在する理由として挙げられるのは、生命保険は加入者が少しずつ保険料を負担して、困った人を支え合う「相互扶助」の仕組みになっているので、保険会社が公平に契約を引き受けることが重要だということです。(関連ページ:生命保険とは)
相互扶助 〜加入者がお金を出し合い、困った人を支え合う仕組み〜

初めから健康状態の良くない人も無条件に契約できて、保険会社から多額の保険金や給付金などを受け取ることができてしまうと、加入者間の公平性が保てなくなります。そのため、保険会社は申し込み時に被保険者の健康状態の告知などをさせることで契約の公平性を確保できるようにしています。
告知の方法は告知書の記入だけの場合と、健康診断書・人間ドックの結果表の提出や医師による診査も必要とする場合があります。
保険会社の社員や保険代理店の生命保険募集人などに口頭で伝えただけでは告知したことになりませんので注意が必要です。(関連ページ:誰でも入れるわけではない?知っておきたい保険会社の「審査」)
告知義務違反したらどうなるの?
@契約解除
故意または重大な過失によって事実を告知しなかったり、正しく告知しなかったりした場合は、責任開始日から2年以内なら告知義務違反として保険会社に保険契約を解除されることがあります。2年経過後でも保険金の受け取り事由が責任開始日から2年以内にあった場合などでは、保険契約を解除されることがあります。
この場合、保険金・給付金を受け取れる事由が発生していても受け取ることはできませんが、解除されたときに解約返戻金があれば、それを受け取ることはできます。
A取り消し
告知義務違反の内容が特に重大な場合は、保険金を請求しても受け取ることができず、詐欺として保険契約は取り消しになります。取り消しの場合、今まで払った保険料が戻ってくることもありません。
B契約解除されない場合について
下記の場合は告知義務違反があったとしても、保険会社は契約を解除できないことになっています。
時効 | 責任開始日から5年以内に保険金・給付金の受取事由が発生しなかったときや、保険会社が解除の原因を知ったときから1か月以上経過したとき |
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過失 | 契約締結の時点で保険会社が解除の原因となる事実を知っていたときや、過失によって知らなかったとき |
不告知教唆など | 告知をするときに生命保険募集人が正しく告知することを妨げたり、事実でないことを告知するようにすすめたりしたとき、告知義務違反の対象となった事実とは関係ない病気やケガで保険金・給付金を請求したときは、保険金・給付金を受け取れます。 |
告知義務違反にならないための注意点
ありのままを記入する
告知書の記入は被保険者本人が必ずしなければなりません(一部の保険契約を除く)。
質問を素直に読み、問われていることに対して事実をありのままに、正確にもれなく告知する必要があります。ただ、質問にないことまで答える必要はありません。
曖昧な表現にしない
質問事項によっては記憶がなく記入が難しい部分もあるはずです。そのようなときでも空欄にしておかず、診察券や診療報酬明細書などを頼りにできるかぎり記入して、健康状態を正しく伝える努力をしたほうがいいです。告知書の説明文や記入例に書き方の指示がかなり細かく載っているので、記入前に必ず目を通してください。
過去の病気については、現在の状況もあわせて記入する
質問項目で「はい」となった場合に記入する詳細告知欄では、「傷病名・診断名」「部位」「検査名」「医療機関名」「症状・原因」「診察・検査・治療・投薬の開始時期」「入院の有無と時期・期間」「手術の有無と内容」「後遺症・合併症」などのほかに、「現在の状況」まで記入が必要です。告知内容により保険会社が契約を引き受けるのに条件を付けたり断ったりする場合もあります。
告知項目例
最近(3か月以内)の健康状態について | |
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質問例 | 過去3か月以内に病気やケガに限らず、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか? |
過去(5年以内)の病気やケガについて | |
質問例 | 過去5年以内に病気やケガで、入院または手術を受けたことがありますか?7日以上の医師による診察・検査・治療・投薬(7日分以上)を受けたことがありますか? |
過去(2年以内)の健康診断について | |
質問例 | 過去2年以内に健康診断や人間ドックを受けて、異常(要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたことがありますか? |
身体の障害について | |
質問例 | 視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害はありますか?手・足・指に欠損や機能障害はありますか?背骨(脊柱)の変形や障害はありますか? |
妊娠(現在)について ※女性のみ | |
質問例 | 現在妊娠していますか? |
過去のがんについて | |
質問例 | 今までにがん(肉腫・白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫・上皮内がんを含む)になったことがありますか? |
過去のがんについて | |
質問例 | 過去1年以内に喫煙したことがありますか? |
- ※引受基準緩和型の保険は、持病のある人などでも加入しやすいよう告知項目が限定されています
告知不要で加入できる保険
無選択型保険
健康状態の告知が不要な死亡保障の生命保険もあります。被保険者の健康状態を問わないので、持病のある人でも加入することができます。
無選択型保険の注意点
無選択型の保険は健康状態に不安のある人が加入できるので、保険会社は加入後一定期間の保障を制限したり、保険料と保険金額の差を抑えたりして(保険金額に対して支払う保険料を高めにして)リスクをコントロールしています。
- まとめ
生命保険は加入者の相互扶助で成り立っているので、公平性が非常に重要です。申込者に健康状態の告知をさせることで公平性を保ち、保険会社も健全な経営に努めています。告知書は被保険者本人がありのままを正確に、もれなく記入しましょう。
- ※告知書の内容は保険会社や保険商品によって異なります。告知内容により、加入に際し条件を付けられたり加入を断られたりする場合もあります。告知書の記入方法がわからないときは、記入前に必ず保険会社や生命保険募集人へ相談してください
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