更新日:2022年2月24日
近年、健康寿命という言葉を耳にすることが増えてきていますが、平均寿命となにが違うのでしょうか? 健康寿命と平均寿命の違いについて詳しく解説します。
この記事の執筆者
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
松浦 建二
CFP(R)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/青山学院大学非常勤講師
CFP(R)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/青山学院大学非常勤講師
まず平均寿命について確認しておきましょう。平均寿命とは、0歳のときに何歳まで生きられるかを統計的に予測した「平均余命」のことです。
日本は世界トップレベルの長寿国であり、厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性81.64年、女性87.74年となっています。前年より男性は0.22年、女性は0.30年延びて過去最長を更新しています。また、特定の年齢まで生存する確率も年々上がっており、男性が90歳まで生存する確率は3.5人に1人(28.4%)、女性は2人に1人(52.5%)となっています。
生命表上の特定年齢まで生存する者の割合の年次推移
男性 | 女性 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
65歳 まで |
75歳 まで |
90歳 まで |
95歳 まで |
65歳 まで |
75歳 まで |
90歳 まで |
95歳 まで |
|
2000年 | 84.7% | 66.7% | 17.3% | 5.7% | 92.6% | 83.7% | 38.8% | 17.7% |
2018年 | 89.5% | 75.6% | 26.5% | 9.6% | 94.5% | 88.1% | 50.5% | 26.0% |
2020年 | 89.7% | 76.1% | 28.4% | 11.1% | 94.6% | 88.4% | 52.5% | 28.3% |
この年齢まで生存する確率を示しています
そして、健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされており、簡単にいえば健康でいられる期間ということです。日本は平均寿命だけでなく健康寿命でも世界トップクラスで、2019年(令和元年)時点では、男性72.68年、女性75.38年となっています。
平均寿命と健康寿命が同じということは通常なく、平均寿命のほうが長くなっています。健康寿命は健康な期間であることから、平均寿命と健康寿命の差は不健康な期間といえるので、この期間は当然短ければ短いほどよく、いかに短くするかは国の大きな課題のひとつでもあります。
厚生労働白書から2001年から2019年までの健康寿命と平均寿命の推移をグラフにしてみました。
2019年(令和元年)時点で、男性は平均寿命81.41年に対し健康寿命は72.68年、女性は平均寿命87.45年に対し健康寿命は75.38年になっています。平均寿命と健康寿命の差は男性が8.73年、女性が12.07年で、女性のほうが3年ほど長くなっています。
平均寿命と健康寿命の差がどのように変化しているのか確認してみると、3年前と比べると、2016年時点では男性が8.84年、女性が12.35年なので、健康でいる期間が延びているといえます。
健康寿命は平均寿命と同様に地域によって異なるため、都道府県別の健康寿命で寿命が長い県と短い県を、男女それぞれ10県ずつグラフにしてみました。
健康寿命が最も長い県は、男性は大分県の73.72年、女性は三重県の77.58年となっており、共に全国平均より1〜2年程度長くなっています。
健康寿命が長い県では、ほかに山梨県・静岡県・大分県・宮崎県・鹿児島県が男女ともに上位に入っています。健康寿命が短いほうでは、大阪府・鳥取県・愛媛県・岩手県が男女ともに入っています。
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誰でも人生最後の直前まで健康でいられるのが理想ですが、不健康な期間(健康寿命と平均寿命の差)が平均で9〜12年あることから、この期間を問題なく過ごすために、事前に何らかの対策を講じておくことがのぞましいです。
経済的な備えをしておくなら、不健康になる理由の多くは病気やケガですので、貯蓄や生命保険で備えるのが適しています。
・保険で備える
病気やケガをしたときに経済的な心配をしなくて済むようにするには、医療保険などが考えられます。また介護が必要になったときの心配に備えるなら、介護保険などが考えられます。いずれの場合も健康寿命を超えての備えなので、保険期間はできるかぎり終身にしておくのが無難です。
・将来に向けて貯蓄
保険に頼ることなくコツコツと貯蓄をして備える方法もあります。貯蓄(現金)はあらゆる分野へ対応できるので備え方としては最適ですが、小さな備えで大きな保障を確保できる保険とは違い、貯蓄額と備えの大きさは同じなので、長期間かけて計画的に貯蓄をしていく必要があります。
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上記のように貯蓄や保険で経済的な備えることも大事ですが、そもそも健康であり続けるほうが最善なわけで、昨今は健康増進をサポートする動きが増えています。たとえば生命保険商品のなかには、良い健康状態を続けていけば保険料が安くなる商品も登場しています。
・健康増進型保険
将来の病気やケガに備える保険で、健康寿命を延ばすための行動(適度な運動など)を習慣づけておくと、加入時より保険料が安くなる保険もあります。つまり、健康であり続けることで保険料を節約できる効果が期待できます。
長寿化への備えとして健康で長生きすることの社会的重要性は今後も増していくと考えられます。保険会社から新たな健康増進型商品が登場するだけでなく、ほかの分野でも健康であることで優遇されることが増えてくるのではないでしょうか。
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多くの人にとって長生きできることはうれしいはずです。しかしそれには二つの前提条件があり、「健康であること」そして「経済的自由がある(生活費が確保できている)こと」です。逆にいえば、大病を患っていて経済的に困窮しているような状態であれば長生きしてもうれしくないはずです。楽しい人生にするためにも、寿命と健康寿命が同じになることを目指して健康維持の努力をしつつ、必要な経済的備えは確実にしておきましょう。
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