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生命保険の加入を検討しようとして資料や記事を読んでいるときに見かける言葉の一つに「予定利率」があります。予定利率は、保険会社が契約者に約束する運用利回りのことで、保険料の決定に深く関わります。低金利の時代が長く続くなか、予定利率の変化は今後の保険料にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
2021年3月4日更新
「予定利率」は保険料を計算する3つの要素「予定死亡率」・「予定利率」・「予定事業比率」の1つ
予定利率の水準は、特に貯蓄性の高い保険種類の保険料に大きな影響を及ぼす
予定利率が上がると保険料は下がる。予定利率が下がると保険料は上がる
2020年1月から、金融庁が国債利回りを基に決める「標準利率」が過去最低の0%になっている
以下、記事の詳細
そもそも保険という金融商品は「相互扶助の精神」で成り立っています。簡単にいうと「万が一の事態が起こっても経済的に困窮することがないように、多くの人が日頃から少額のお金を出し合って備え、そのなかから、不測の事態で困っている人にお金を渡して助け合おうという考え方」です。
保険の仕組みを効率的にうまく運営していくには、契約者全員が支払う保険料の総額と、受取人が受け取る保険金の総額を等しくする必要があります。ただ実際は、保険会社が業務を遂行するための諸経費がかかっていたり、契約者から集めた保険料が資産運用されていたりもします。そのため保険の収入と支出の関係は、以下の計算式のような構造になっています。
この式によれば、生命保険では、契約者が支払う保険料(保険料総額)は、「保険会社が運用でどれくらい増やしたか(運用収益)」、「何人が死亡していくらの保険金が支払われたか(保険金総額)」、「保険会社の運営にどの程度諸経費がかかったか」によって決まることがわかります。
保険会社はこれらをあらかじめ予測して、「予定利率」(運用利回り)、性別や年齢別の「予定死亡率」、「予定事業費率」(保険料や保険金額に対する諸経費の割合)を設定します。契約者が支払う保険料はこの3つの「予定基礎率」に基づいて計算され、原則として保険期間中に変更されることはありません。
生命保険には、終身保険、定期保険、学資保険、医療保険、がん保険、個人年金保険など、さまざまな種類がありますが、なかでも一般的に貯蓄性が高いといわれる終身死亡保険、学資保険、個人年金保険などは、「予定利率」の水準によってどの程度お金が増えるかが決まります。予定利率が低いと、せっかく積立貯蓄のつもりで加入したのにお金がほとんど増えなかったり、場合によっては「元本割れ」をしたりすることもあるため注意が必要です。
予定利率は預金金利とは異なります。預金金利は、金融機関に預けたお金に対する利率ですが、予定利率は、契約者が支払った保険料から保険会社の諸経費を差し引いた額に対する利率です。したがって、預入額と保険料が同額で、金利と予定利率が同じでも、保険よりも預金のほうが金額は大きくなります。
単純な事例で考えてみましょう。
預金金利と保険の予定利率を単純に比較して、どちらが有利かを判断しないようにしましょう。
同じ条件で同額の保険金を受け取る契約が2つあった場合、予定利率が高い保険は、低い保険よりも保険料が安くなり、契約者の家計への負担が低くなります。
ここでも単純な例で考えてみましょう。
同じ期間に同じ金額に到達させるには、利率が高いほど毎月積立額は低くなります。利率を予定利率、目標金額を保険金額、毎月積立額を保険料に置き換えると、予定利率の高い保険に加入するほうが、低い保険に加入するよりも保険料が安くて有利になります。
解約返戻金の額も、予定利率が高いほど多くなっていき、解約返戻率(支払保険料総額に対する解約返戻率の割合)も高くなります。(関連ページ:解約返戻金と満期保険金)
予定利率は保険会社が各社の経営判断によって決定しますが、その時に参考にするのが「標準利率」です。標準利率は、金融庁が国債の利回りを元に決めています。国債の利回りの低下に伴って標準利率も下落を続けていますが、2020年1月にはそれまでの0.25%から0%に引き下げられ、過去最低水準となっています。
標準利率と10年物国債利回りの推移保険会社は、契約者から預かった保険料の多くを国債で運用していますが、近年の利回り低下に伴って運用難をきたしており、保険会社によっては、既に一部の保険商品の販売を取りやめたり、予定利率を引き下げて保険料を上げたりするケースが出てきています。
2017年4月以降は、さらに予定利率が引き下がり保険料が上がる商品が増えそうです。
また、財務体質が健全な会社や経営戦略が明確な会社は、予定利率の引き下げ幅を抑えて保険料の上昇を抑えたり、得意な保険種類に経営資源を集中させて魅力を高めるなどの施策を行い、保険会社間の差別化が進む可能性もあります。
日本銀行が現在実施している長期金利(10年物国債利回り)を0%に誘導する政策は、経済が安定的に成長し、物価上昇率が目標の2%になるまでは継続することが想定されます。したがって、生命保険の予定利率を取り巻く環境も当面は変わらないでしょう。
近々貯蓄性の高い保険に加入しようと考えている方は、保険会社が保険料の値上げをする前に加入したほうがいいでしょう。また、値上げしたあとでも、加入する前には複数の商品をよく比較、検討した上で、保障内容や貯蓄性と、保険料負担のバランスを見極めて契約したいものです。
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