生命保険の選び方 - 生命保険にかかる税金 -

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生命保険の保険金にかかる税金って相続税? 所得税? 贈与税?
生命保険にかかる税金について解説します。

保険金にかかる税金の種類は、「契約者」「被保険者」「受取人」を誰にするかによって「相続税」「所得税」「贈与税」と変わってきます。
それぞれの税金はどういったものなのか見ていきましょう。

相続税とは

誰かが亡くなった際にその亡くなった人(被相続人)が所有していた財産を配偶者や子供などの相続人が承継すること相続といいます。
相続財産額が基礎控除額を超えた人には相続税が課せられ、相続人に納税の義務が発生します。

相続税法改正

2015年(平成27年)からの相続税改正で、相続税を支払う対象となる人の範囲が広がりました。この改正のポイントを説明いたします。

(1) 遺産に関わる基礎控除額の引き下げ
今回の改正で一番大きく変わったのが、この基礎控除額の引き下げです。基礎控除額が引き下げられたことによって相続税の対象となる方が増えました。

【改正前】5000万円 +(1000万円 × 法定相続人の数)
【改正後】3000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

基礎控除額よりも相続する金額が小さければ、相続税は課税されません。
相続税がかかる人の割合は改正前は4%程度でしたが、改正により8%台に上昇しています。

(2) 相続税の税率構造
税率区分が6段階から8段階に変更され、相続金額によっては納税額が増加しました。

各法定相続人の取得金額 【改正前】税率 【改正後】税率
1000万円以下 10% 10%
1000万円超、3000万円以下 15% 15%
3000万円超、5000万円以下 20% 20%
5000万円超、1億円以下 30% 30%
1億円超、2億円以下 40% 40%
2億円超、3億円以下 45%
3億円超、6億円以下 50% 50%
6億円超 55%

(3) 税額控除
相続税額から一定額を差し引く未成年者控除と障害者控除については控除額が長い間据え置きでしたが、物価の動きや基礎控除額などの見直しを踏まえ、引き上げられることになりました。

●未成年者控除の控除額の引き上げ
【改正前】 20歳までの1年につき 6万円
【改正後】 20歳までの1年につき 10万円

※2022年4月1日以後に相続または遺贈により財産を取得する者については18歳まで

●障害者控除の控除額の引き上げ
【改正前】 85歳までの1年につき 6万円(特別障害者:12万円)
【改正後】 85歳までの1年につき 10万円(特別障害者:20万円)

(4) 小規模宅地等の特例
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算特例について、居住用宅地の限度面積および居住用宅地と事業用宅地の完全併用が可能になり、拡充されました。

●居住用の宅地等(特定居住用住宅地等)の限度面積の拡大
【改正前】 限度面積240平方メートル(減額割合:80%)
【改正後】 限度面積330平方メートル(減額割合:80%)

●居住用と事業用の宅地等を選択する場合の適用面積の拡大
【改正前】 特定居住用宅地等 240平方メートル
             +
      特定事業用等宅地等 400平方メートル
      合計400平方メートルまで適用可能

【改正後】 特定居住用宅地等 330平方メートル
             +
      特定事業用等宅地等 400平方メートル
      合計730平方メートルまで適用可能

課税金額の計算方法

相続税の計算手順は以下のとおりです。

  • (1)課税対象となる相続財産額を算出する
  • (2)相続開始の過去3年以内の贈与額を加え、課税価格を算出する
  • (3)基礎控除額を引いて、課税される相続財産額を算出する
  • (4)法定相続分で按分(あんぶん)する
  • (5)それぞれの相続税額を算出し、合計して全体の相続税額を算出する
  • (6)実際の遺産分割の割合に応じて、全体の相続税額を配分する

所得税とは

所得税とは、所得を得ている場合にかかる税金を指します。
所得税率は所得金額が多くなるにつれ、税率が段階的に高くなります。
所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、5%から45%の7段階(2007年(平成19年)分から2014年(平成26年)分までは5%から40%の6段階)に区分されています。

【所得税の税率(2015年(平成27年)分以降)】

課税される所得金額 税率 控除額
195万円未満 5% 0円
195万円以上、330万円未満 10% 97,500円
330万円以上、695万円未満 20% 427,500円
695万円以上、900万円未満 23% 636,000円
900万円以上、1800万円未満 33% 1,536,000円
1800万円以上、4000万円未満 40% 2,796,000円
4000万円以上 45% 4,796,000円

課税金額の計算方法

上記の表のように、所得税率は所得金額に応じて段階的にアップする「超過累進税率」が採用されています。

たとえば、所得金額が700万円の人は、700万円 × 税率23% - 控除額636,000円 = 974,000円が所得税となります。

また、扶養義務のある配偶者や子がいれば「配偶者控除」や「扶養控除」、生命保険料を支払っていれば「生命保険料控除」、ほかにも盗難や災害の被害に遭った場合に受けられる控除や、医療費がたくさんかかったときの控除などの所得控除の仕組みがあり、それぞれ所得から控除することができます。(関連ページ:確定申告 医療費控除の対象や申請方法と詳しい書き方

この所得控除は、総所得金額などの合計額から差し引かれ、残った金額が課税所得金額(税率をかける金額)となります。

贈与税とは

贈与税とは、財産の贈与を受けた者が、贈与のあった年の1月1日から12月31日までの1年間に譲り受けた財産の金額に対して課税される税金です。

贈与税の対象となるものは、お金や不動産以外にも「生命保険金」「低額譲渡(著しく低い価格で財産を譲り渡しが行われた場合)」「債務免除等(対価を支払わず、あるいは著しく低い価格で債務免除を受けた場合)」「定期金(毎年一定額の給付を受ける権利)」などがあります。

贈与税の改正

前述した相続税改正と合わせて贈与税も税制改正されました。2015年(平成27年)1月1日以後に贈与を受けた方が対象になります。

贈与税の課税には「相続時精算課税」と「暦年課税(毎年110万円までは申告不要・贈与税がかからない)」との2種類があり、一定の要件に該当する場合は相続時精算課税を選択できます。

(1) 相続税精算課税
相続時精算課税を選択した場合、まず贈与時に贈与税を納めます。贈与者が亡くなった際には、贈与財産を含めて相続税を計算し、この相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払う(もしくは還付を受ける)ことになります。

相続財産の価額の合計額から2500万円の特別控除額を控除した残額に対して一律20%の贈与税がかかります。

今回の改正では贈与者の年齢制限が65歳以上から60歳以上に拡大され、贈与を受ける受贈者が20歳以上の推定相続人(子供)だけでなく、孫も適用されることになりました。

【相続時精算課税の税額計算方法】
特別控除後の課税価格 × 税率20% = 税額

相続時精算課税を選択した場合は、それ以降のその贈与者からの贈与は暦年課税を適用できません。

(2) 暦年課税
最高税率の引き上げや20歳以上の方が、直系親族(父母や祖父母など)から贈与を受けた場合、贈与税率や控除額が特例税率として新設されました。

【贈与税の税率(2015年(平成27年)分以降)】

基礎控除後の課税価格 【改正前】 【改正後】
税率 一般税率 特例税率
(一般贈与財産) (特例贈与財産)
200万円以下 10% 10% 10%
200万円超、300万円以下 15% 15% 15%
300万円超、400万円以下 20% 20%
400万円超、600万円以下 30% 30% 20%
600万円超、1000万円以下 40% 40% 30%
1000万円超、1500万円以下 50% 45% 40%
1500万円超、3000万円以下 50% 45%
3000万円超、4500万円以下 55% 50%
4500万円超 55%

(3) 住宅取得資金の一括贈与
2015年(平成27年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間に、居住用家屋を新築または増改築するときに、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与について、一定の条件に当てはまる場合には、一定金額までは贈与税が非課税となる制度です。

(4) 結婚・子育て資金の一括贈与
2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの間に、金融機関との一定の契約に基づき、祖父母や両親が子や孫の結婚・出産・子育てを支援する目的で贈与した場合、一定額の贈与税が非課税となる措置です。

贈与を受けた子や孫が一定の年齢に達したときにその残額がある場合には、贈与税が課されるため、その適用には事前に十分な検討が必要です。
一括で贈与された1000万円、そのうち結婚費用は300万円までが非課税となります。

制度は1回のみ使用できます。贈与税は受け取る側にかかる税金ですので、受け取った子や孫1人につき1000万円までが上限となります。
このため、たとえば祖父から500万円、父親から500万円受け取るという使い方や、孫3人に1000万円ずつといった使い方は可能です。

(5) 教育資金の一括贈与
2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの間に、金融機関との一定の契約に基づき、30歳未満の教育資金が必要な受贈者に対し、父母や祖父母などのその直系尊属が教育資金を贈与すると、その教育資金のうち1500万円まで贈与税が非課税となるものです。(関連ページ:教育資金の贈与は非課税!?

贈与を受けた子や孫が一定の年齢に達したときに残額がある場合、贈与税が課されるため、その適用には事前に十分な検討が必要です。

この制度は孫1人に対して、この制度の対象期間中であれば1500万円まで使用できます。祖父から1500万円、祖母から1500万円を同じ孫に対して使用することはできません。

課税金額の計算方法

基礎控除額は110万円になります。

(贈与を受けた財産の合計額)−(基礎控除額110万円)= 課税額

死亡保険金にかかる税金

「契約者」「被保険者」「受取人」を誰にするかによって、「相続税」「贈与税」「所得税」となり、かかる税金は変わってきます。(関連ページ:生命保険の受取人

契約者 被保険者 保険金受取人 保険金にかかる税金
本人 本人 配偶者 相続税
本人 配偶者 本人 所得税
本人 配偶者 贈与税

死亡保険金で見る課税対象額の比較

以下の条件で、それぞれの課税対象額を比較してみましょう。課税対象額とは、税金がかかる金額のことです。

【前提条件】
・受取保険金額は3000万円
・受取保険金以外に相続・所得・贈与がないと仮定
・払込保険料合計額は受取保険金額の60%と仮定
・法定相続人は1人と仮定

(1)相続税の場合
相続税であれば、「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税のため税金がかかりません。また、保険金がこの非課税額を超えてしまっても、ほかの財産を含む相続税全体として「相続税の基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の範囲内であれば非課税となります。

このため、上記の前提条件であれば相続税は0円となります。

(2)所得税の場合
死亡保険を一時金で受け取った場合には、一時所得となります。

一時所得の金額は、その死亡保険金以外にほかの一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額からすでに払い込んだ保険料または掛け金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額をさらに1/2にした金額です。

所得税の課税対象額 =(受取保険金 − 払込保険料合計額 − 特別控除50万円)× 1/2
(3000万円 −(3000万円 × 60%)− 50万円)× 1/2 = 575万円

(3)贈与税の場合
贈与税が課税されるのは、被保険者、保険料の負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合です。

このため、上記の前提条件を当てはめた場合の計算式と所得税額は以下のとおりです。

贈与税の課税対象額 = 受取保険金 − 基礎控除額110万円
2890万円 = 3000万円 − 110万円

各課税金額の比較

算出した各課税対象額を一覧にまとめると以下のとおりです。このように、どの税金の対象となるかによって課税対象額は大きく異なってきます。

受取保険金 相続税の課税対象額 所得税の課税対象額 贈与税の課税対象額
3000万円 0円 575万円 2890万円

※あくまで死亡保険金部分のみで計算した値となります。実際には、他財産・控除などを考慮しなければなりませんのでご注意ください

満期保険金にかかる税金

契約者と受取人の関係による税金のパターン

契約者 被保険者 保険金受取人 保険金にかかる税金
本人 本人 本人 所得税
配偶者 配偶者 配偶者 所得税
本人 配偶者 or 子 本人 所得税
本人 本人 配偶者 or 子 贈与税
本人 配偶者 配偶者 贈与税

(関連ページ:解約返戻金と満期保険金

また、配偶者に所得がある場合には、満期保険金の金額によっては、契約者本人がその年の配偶者控除を受けられないこともあります。
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合に認められています。

各税金の課税について

●契約者と保険金受取人が同じ場合
契約者が満期保険金を受け取った場合は、「一時所得」として所得税が課税されます。

(収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除50万円)× 1/2

特別控除50万円がありますので、受け取った保険金からそれまでに払い込んだ保険料を引いた残りが50万円以下ならば、税金はかかりません。
50万円を超える場合、課税の対象になるのは、この超えた分を1/2したものになります。

また、満期保険金を年金で受領(じゅりょう)した場合には、雑所得となります。雑所得の場合は、控除がありませんので課税対象となります。
雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛け金の額を差し引いた金額です。

●契約者と受取人が違う場合
契約者と満期保険金受取人が違うと贈与になり、受取人が「贈与税」を支払うことになります。
満期保険金が贈与税の基礎控除額110万円以内の場合、税金はかかりません。

同じ金額の満期保険金でも「誰が受け取るか」によって、贈与税額が変わってきます。

(1) 子(20歳以上)が満期保険金を受け取った場合
契約者・被保険者が本人で、子(20歳以上)が満期保険金を受け取った場合、20歳以上の子や孫への贈与となる「特例贈与」になります。

【贈与税(特例税率)の税率(2015年(平成27年)分以降)】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
200万円超、400万円以下 15% 10万円
400万円超、600万円以下 20% 30万円
600万円超、1000万円以下 30% 90万円
1000万円超、1500万円以下 40% 190万円
1500万円超、3000万円以下 45% 265万円
3000万円超、4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

たとえば、契約者・被保険者が本人で、満期保険金受取人が子(20歳以上)にしている保険が満期を迎えて500万を受け取った場合、以下のようになります。

基礎控除後の課税価格 500万円 − 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 15% − 10万円 = 48.5万円

(2)配偶者が満期保険金を受け取った場合
契約者・被保険者が本人、受取人が配偶者だった場合は、「一般贈与」となります。

【贈与税(一般税率)の税率(2015年(平成27年)分以降)】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
200万円超、300万円以下 15% 10万円
300万円超、400万円以下 20% 25万円
400万円超、600万円以下 30% 65万円
600万円超、1000万円以下 40% 125万円
1000万円超、1500万円以下 45% 175万円
1500万円超、3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

たとえば、契約者・被保険者が本人で、満期保険金受取人が配偶者にしている保険が満期を迎えて500万を受け取った場合、以下のようになります。

基礎控除後の課税価格 500万円 − 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 20% − 25万円 = 53万円

このように、「契約者」「被保険者」「受取人」によって、保険金にかかる税金の種類は変わってきます。一般的には、贈与税が最も高い税率とされています。これから加入を検討している方も、すでに契約されている方も、それぞれの税金の課税の仕組みを理解したうえで、生命保険の加入および名義の変更などを検討してみましょう。

コンテンツ作成協力:野口五丈税理士 [野口五丈公認会計士事務所]

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