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生命保険のパンフレットを検討していると、「5年ごと利差配当」や「無配当」などの記載があり、配当金がどんなものか気になる人もいるかと思います。配当金の仕組みについて解説します。
2017年7月5日掲載
生命保険の配当金とは、保険会社が事業を行っていくうえで発生した剰余金を契約者に還元するもの
生命保険は配当金がある「有配当保険」と配当金がない「無配当保険」に分けられる
有配当保険であっても、必ずしも配当金が受け取れるとは限らない
以下、記事の詳細
生命保険の配当金は、どのような場合に受け取ることができるのでしょうか。配当金の仕組みについて詳しくみてみましょう。
契約者が支払う保険料は、3つの予定率(予定死亡率・予定利率・予定事業費率)により計算されますが、実際は予定していた死亡者数・運用利回り・事業費と異なる可能性があります。
予定と実際の差を計算し、発生した差益(予定と実数値の差による利益)を「剰余金」といい、剰余金が一定額を超えた場合に契約者にお金が還元されます。これを「配当金」といいます。
なお、配当金は、保険料の予定と実際との差である、「死差益」「利差益」「費差益」の3つの差益によって成り立っています。
配当金の3つの差益
死差益 |
保険会社は、統計データを基に作成される生命表から将来の死亡者数を予測して保険料を計算します。 実際の死亡率が予定死亡率よりも低かった場合、剰余金がうまれます。 その剰余金を「死差益」といい、死差益からの配当を死差配当といいます。 |
---|---|
利差益 |
保険会社は、契約者から受け取った保険料を、保険金の支払いが必要となる時までただ保管しておくのでなく、運用して運用益を得ます。運用利率をあらかじめ予定利率として決めておき、保険料から割り引きます。 実際の運用成績がよくて予定利率以上の利回りがあった場合、剰余金がうまれます。 その剰余金を「利差益」といい、利差益からの配当を利差配当といいます。 |
費差益 |
保険会社は、保険商品を作り、加入者を勧誘して保険契約を結び、保険料を徴収し、事故が発生したら保険金を支払います。この活動に必要と見込まれる経費を予定事業費といいます。 実際の事業費が予定事業費率よりも低かった場合、剰余金がうまれます。 その剰余金を「費差益」といい、費差益からの配当を費差配当といいます。 |
ある年齢の男性が年間10,000人に10人亡くなることを前提とする場合、0.001がその年齢の予定死亡率となります。
実際は9人しか亡くならなかった場合、支払わなくて良くなったその1人分の差益を契約者に還元します。
ある保険会社が、年1.5%の運用益を見込むとします(予定利率といいます)。しかし、実際には2%の運用益が得られたとします。
予定利率を上回った0.5%分を契約者に還元します。
生命保険には、有配当の保険と無配当の保険があります。
有配当の保険では、予定率と実際の率の間に利益を生む差が生じた際に、配当金が支払われます。種類は、3利源配当タイプと利差配当タイプにわけられます。
死差、利差、費差の3点すべてを使って配当金が支払われます。
「毎年分配金型」が主流で、通常、契約後3年目の契約応答日から毎年分配されます。そのほかに「3年ごと配当型」もあります。
利差のみを使って配当金が支払われます。
「5年ごと利差配当型」が主流で、契約後6年目の契約応答日から5年ごとに分配されます。そのほかに「3年ごと利差配当型」「毎年利差配当型」の保険があります。
有配当保険でも必ず配当が支払われる訳ではなく、利益を生む差が得られない場合には、配当金は支払われません。
無配当の保険では、最初から死差、利差、費差の発生を少なくする設計とし、その分保険料を下げ、配当を支払いません。
近年の低金利下では、運用益が得られる可能性が低下しており、利差益は得にくい環境にあります。
このため、最近は、有配当保険でも配当金が少額になる傾向が強く、配当がない代わりに保険料が低く抑えられる無配当保険が選ばれる傾向があるようです。
配当金の受取方法には、4つの方式があります。このうち、積立方式が一般的です。
配当金の受取方法は契約時に決めますが、保険によっては保険会社によって受取方法が決められていて、自由に選択できない場合もあります。
名称 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
積立方式 | 配当金を保険会社に積み立てる方法 | 配当金を積み立て、まとまった金額にして受け取れる |
保険会社に積み立てることで、利息が付く | ||
積立途中でも、一部の金額を引き出すことができる | ||
買増方式 | 配当金を保険料に振り向け、保険を買い増す方法 | 保険金が増額となり、保障が手厚くなる |
相殺方式 | 保険料から配当金分の金額を差し引く方法 | 保険料負担が減る |
現金支払方式 | 配当金を現金で受け取る方法 | 配当金が少額の場合、受け取った金額が有効に使われない可能性がある |
配当金を受け取れるのは嬉しいことですが、次の点は知っておく必要があります。
保険の配当金は死差、利差、費差によって決まるものですので、毎回の配当金額が同じとなる訳ではありません。
ある年の配当金が多かったからといって、今後も同等の配当金が貰えると考え違いしないようにしましょう。
生命保険の配当金は、株式の配当金などとは異なり、事後精算により生じるものです。
したがって、基本的には配当が割り当てられた時点で課税されることはありません。
しかし、保険期間中に配当金を受け取った場合は、支払保険料から配当金額を控除した金額で、生命保険料控除の申請をしなくてはなりません。(関連ページ:生命保険料控除)
一方、保険金と一緒に配当金を受け取った場合は、配当金額を保険金の額に含めて一時所得として申告する必要があります。
長期契約者に支払われる配当金として、特別配当があります。
特別配当には2種類あります。
特別配当が支払われる事由は通常配当とは異なりますが、配当金の支払い方法には、積立や保険の買増しなど通常配当と同様な手段が使われます。
また、配当金が保険金に加算して課税の対象となるなど、通常配当と同様な対応を必要とします。
特別配当を受け取る際には、保険会社の説明を良く確認して、必要な手続きを忘れないようにしましょう。
有配当の保険では、配当金が貰えるのでトクをすると思われるかもしれません。
しかし、有配当の保険は、もともと保険料を多めに集め、死差、利差、費差が一定の値に達した場合に、配当を支払っているのです。
運用が非常に好調で、予定より利差益が沢山得られた時などは、配当が増えてトクをする可能性があります。
しかし、低金利が長く続き、デフレ傾向の今日では、配当を期待して有配当の保険を選ぶことは得策ではなさそうです。
保険は、万一のことが起こった際に、受け取った保険金で危機に対処するためのものです。
この保険の仕組みの中で、配当金は、派生的に得られるようになったものと考えてもよいでしょう。
最初から配当金の有無を保険の選択材料とするのではなく、本来の目的に沿って選んだ保険に配当金があれば、幸運だったと考えるくらいが良いのではないでしょうか。
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